43 告白そして・・・(終話)
「おーい。平気か?」
お父さんたちが上から降りてきた。
ぼくが座り込んでいたから、心配していたのかもしれない。
「大丈夫じゃ。それより、ウェンディの風魔法は上達したのかの?」
ぼくは、二階の自分の部屋にブリアンナさんを連れて行った。
ドアに鍵をかける。
他の人に邪魔されないように。
「ここはぼくの部屋だよ。誰も入ってこない。大事な事だから、ここの方が良いと思ったんだ」
二人きりになるには自分の部屋しかない。
ぼくとブリアンナさんはベッドに腰かけた。
落ち着かせるために一旦、深呼吸をする。
「ごめんね。全然分からなくて。ぼくも最近自覚したところだったんだ」
「えっ、それは・・」
「ぼくも君の事が好きみたいだ」
*****トワ視点
少し離れた所で女性陣が話し合っていた。
ブリアンナさんが告白していたのをアルが聞いていたからだ。
「やっぱり、あの二人くっついたね」
「まぁ、予想通りじゃな」
「問題はその後かしらね」
「何々?何か面白い事でもありましたの?」
女性たちは恋バナが好きなようで。
僕は成り行きを見守る事にした。
「ブリアンナ・フィールド・・あ、子爵令嬢か」
思い出した。
王様から名前を聞いたことがあったんだよな。
娘を溺愛しているとか言ってたっけ。
大丈夫か?アルト。
ブリアンナさんのお父さんから怒られたりしないだろうな?
*****アルト視点
ぼくとブリアンナさんは付き合う事になった。
貴族同士なので、親にも一言いっておかないといけないらしい。
それで何故か、ブリアンナさんの親御さんがぼくの家に来ることになった。
ぼくの家は男爵で、ブリアンナさんの家は子爵だから逆だと思うんだけど。
「元王女様がいらっしゃるからと言ってましたわ」
とブリアンナさんが言っていた。
客間で父と、フィールド子爵が話している。
フィールド子爵は、短い金髪で銀色の瞳。
口髭を生やしている。
聞いたところ城の騎士をしているらしい。
「まだ、12歳ですし婚約は早いのでは・・」
「いえいえ、大事な娘なので生半可な気持ちでは止めて頂きたい。領主様の息子さんですし念のため・・大丈夫かと思いますが」
フィールド子爵は笑顔なんだけど、目が笑っていない。
正直怖い。
「ぼくは婚約でも大丈夫です。彼女を幸せにします」
「え?アルト君?嬉しい」
ブリアンナさんは涙ぐんでいた。
「さすが、トワの息子ですわね。是非お祝いしなくては」
レーシャさんが珍しく部屋に入ってきて、紅茶の入ったティーカップをテーブルに置いた。
付き合いのないお客様なので、普段は絶対会話に入ってこないと思うのだけど。
「お祝い?」
父は聞き返した。
「王様からも婚約祝いをしたいと言われておりますのよ?」
お母さんがドアの所に立ってニヤニヤしている。
フィールド子爵は王女の言葉に弱い。
正確には王家だろうけど。
(これ、わざとなのだろうか)
案の定、子爵は驚いて固まってしまっていた。
「いやーまさか、婚約するなんて思ってもいなかったよ・・まだ12歳だし」
「あら?不服ですの?」
「いやいや、そんな事ないよ」
学校の教室内で、ぼくとブリアンナさんは喋っていた。
婚約したことは、直ぐに知れ渡ったらしくぼくたちは噂になっていた。
「ちょっとびっくりしただけ・・」
貴族って大変なんだな・・・。
それから靴箱に手紙も入らなくなり、女子から話しかけられることも無くなった。
結果的には良かったかもしれない。
エミリアの周りには相変わらず男子が居たりするけど。
本人は男子の相手をするのに疲れているようだった。
「エミリアは大変そうだな」
「そうですわね」
*****トワ視点
家の執務室でウェンディと話していた。
「まさか、アルトがもう結婚相手見つけてくるとはなぁ」
「ホントね。まだ12歳だっけ?アルト君は一人の人と一緒になるのかしらね」
「あっという間に大きくなりそうだな」
「いやーね。私たちもすぐ歳を取っちゃうじゃない。そういえばエミリアちゃんも学校でモテモテなんだって!お父さんも困っちゃうわね?」
「「ええっ?」」
「何今更驚いているの?アルさんに似て美人だもの。モテない訳ないでしょうに」
学校に行かせたの失敗したかな。
「今、後悔したでしょ?お父さんだわね~」
僕たちはゼノベア城に来ていた。
今日はアルトとブリアンナさんが婚約するので、王様がわざわざお祝いをしてくれるというのだ。
内輪だけのお祝いみたいだけど。
各々ドレスやタキシードなど着用している。
「いやーめでたい。アルトはわしの孫みたいなものじゃからの」
王様は上機嫌だ。
場所は大広間で家族以外には居ない。
「お父様、あまりお酒を飲み過ぎないで下さいね」
レーシャがたしなめる。
「わかっておるわ」
「私共の為に有難うございます」
深々と頭を下げるフィールド子爵。
緊張しまくっているみたいだ。
「ご馳走・・沢山・・」
テーブルには色とりどりの料理が並べられている。
エミリアもキレイなドレスを着用しているが、目が食べ物にくぎ付けだ。
「何だか夢のようですわ」
「まだ、婚約なのにね」
本人たちは戸惑いを隠せないようだ。
僕たち以上に王様の歓迎ぶりに少し引いてしまいそうだな。
祝ってくれるのは有難いのだけど。
まるで結婚式の披露宴のようだ。
これから先が思いやられる。
「結婚式を思い出すわね」
「あれは大変だったな」
「アルトはそうはならんじゃろ」
「そうですわね」
僕たちの家族がまた増えていって、騒がしくなりそうだ。
これからが楽しみだな。
僕はグラスを片手に、主役の二人を眺めていた。
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