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40 エミリア学校へ行く

「エミリアも学校に行く~」

「「ええええ?」」


一週間様子を見ていたが、エミリアはしばらく経っても元に戻らなかった。


「学校って遊びじゃないんだぞ?」

アルトがたしなめる。


「でも、家に居ても暇だし・・お兄ちゃん!一緒に行きたい!」

エミリアはアルトに抱きついた。


「わぁ、お前やめろって・・」

アルトは狼狽うろたえていた。


「うふふ。かわいい」


エミリアはアルトより身長が高くて170センチくらいだろうか。

アルトはまだ成長期で150センチほど。

アルトは完全にエミリア揶揄からかわれていた。

アルトの反応が面白くて仕方がないようだ。


「どちらにしても、学校には通わせるつもりだったし・・頼んでみるか」

僕は学校長にお願いすることにした。



*****アルト視点



教室の黒板の前に立つ、マイア先生とエミリア。

「今日からこのクラスに入る事になりました。エミリア・ウィンザーさんです」


マイア先生からクラスの皆へ紹介される。


「エミリアです。よろしく!」

エミリアは笑顔で元気いっぱい挨拶をした。



「あの・・あの方ウィンザーって仰ってますが、アルト君の親族の方なのかしら?」

隣のブリアンナさんが、眉をひそめてぼくに耳打ちしていた。


「あ~ブリアンナさんには言っても良いかな?あれ、妹のエミリアなんだよね・・内緒だけど。一応従妹(いとこ)という事でお願いします」


「「えええっ?」」


「あ、ごめん。つい名前呼びしちゃった。気分悪いよね。親しくもないのに」

「え?そういえば・・わたしもアルト君って言っちゃいました。これからはそう呼んでも良いですか?わたしは名前呼びしても全然構いませんので」


「う、うん」

ぼくは急に恥ずかしくなった。


「妹さん?なのですか?でも以前見た時は姿が小さかったような・・」

「特異体質なんだろうね?急に大きくなっちゃってさ・・」


エミリアはぼくと同じクラスにしたらしい。

本人が不安がっているのと、何かあった時はぼくが助けられるからだ。

魔法学校は基本年齢制限がないから、エミリアみたいな年上?でも問題はないみたいだ。

元々来年には入学する予定だったらしいし。


「おい、アルトお前の親族か?」


ニルスが話しかけてきた。

さーてどうしようか。


「従妹のエミリアだよ。学校は初めてみたいだから優しくしてやってよ」

「へえ~そうなんだ。可愛いし、お近づきになれないかな」


あれ?あんな事言ってるし。

エミリアは姿はああだけど、中身は変わって無いからな気を付けてあげないとな。




「エミリアさん♪」


早速エミリアの周りには男子が取り囲んでいた。

少し大人?な女子が来て浮かれているようだった。


「ねえねえ、彼氏とかいるの?」

「趣味とか何?」

「お家はどこら辺?」


矢継ぎ早に質問されているみたいだな。

本人は・・アワアワしているみたいだ。


「ぼくの従妹なんで、お手柔らかにお願いしますね」

エミリアの近くに行ってフォローする。


「ちっ!出てくんなよ。アルト」

「お前、女子から人気あるんだからエミリアさんから手を引けよ」

「そうだそうだ!」


途端に男子たちの発言が変わった。


「アルト君虐めないで!」

「そうよ!」


女子たちが男子たちを睨みつける。

何なんだこれ。

クラス内は異様な雰囲気に包まれていた。


「疲れた・・・」


一日目が終わり、エミリアはぐったりしていた。

あれから男子からの質問攻め。

適当に返事していたらしい。


「それにしても、お兄ちゃん驚いたぞ。まさかあんなに人気があるとは・・」

「それを言うならアルトもじゃないの。女子からどれだけ好かれてるのよ」


肩を落として校門のところまで来ると、後ろから声をかけられた。


「アルト君、それとエミリアさん大丈夫?」


ブリアンナさんが走って追いかけて来たらしい。

少し息が上がっていた。


「ブリアンナさんには本当の事言ってあるからな」

「へえ~仲がいいんだね?」

「お二人とも仲が良くって焼いちゃいますわ」


「ん?何か言った?」

「何でもありませんわ。もしよろしかったら、馬車で送っていきますけどいかがですか?」


ぼくはブリアンナさんの好意に甘えることにした。


ガタゴト・・。

ぼくたちはエミリアさんの馬車に乗っていた。


「いつも徒歩で学校まで来ているんですか?」

「徒歩と言えば徒歩かな?」

「魔法だよね」

「え?」


「いやさ、風魔法がようやく上達してきたんで飛んで来てるんだよね」


魔力量消費がえぐい事になるけど、練習にはなる。

お父さんは年中風魔法で飛んでたって言ってたけど、魔力量相当ないと無理じゃないかな。


「片道が精いっぱいだけどね」

「往復したら魔力枯渇で倒れちゃうもんね」

「まあっ!そうでしたの」


何故かブリアンナさんに尊敬の眼差しで見られる。

何で?


「そこまでして練習しているなんて素晴らしいですわ。アルト君の一面を知れて嬉しいです」

ブリアンナさんはニコニコしていた。


「わたしも練習したら飛べるようになるでしょうか?」

「ブリアンナさんって風魔法使えたっけ?」

「少しなら・・」


「じゃあ、今度家で練習してみない?」

「良いのですか?是非お願いしますわ」


エミリアが口を大きく開いて驚いている。


「わぁ~お家デートだね?」


何言ってんだこいつ。

何故かブリアンナさんは、エミリアの言葉を聞いて頬を赤らめていた。

そういえば、またブリアンナさんが家に来るのか。


「そういえば、魔法使って大丈夫なの?」

この前の授業で怖がってなかったっけ?


「えっと、皆に注目されるのが不安だったのですわ。アルト君の家なら平気です・・」

目を反らして俯くブリアンナさん。


「バカ、察しなよ」

エミリアに肘を突かれる。


「察すって何を?」

何を言ってるんだ?こいつは?


「鈍感でごめんなさいね。兄に悪気は無いんですけど」

「・・・わかっていますわ。そういう所が好きなんですもの」


馬車は街道を抜け、ぼくの家の近くまで来ていた。

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