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28 トワの家のメイド達

僕は屋敷に数人のメイドを雇う事にした。

ウェンディが、家事をしてくれていたから僕たちは普通に生活できていたのだ。

本来なら僕たちが分担してやるべきところのだけれど。

今更で申し訳ないと思いつつ、雇う事にしたのだ。


「メイドさん?しかも3人も?」


大広間でメイドを紹介した。

ウェンディは驚いていたが、そもそもこの家は広くて掃除も大変なのだ。

一人で全部やるとなるとかなりの労働力だ。

子供たちも居るし、妊婦もいる。

レーシャは具合が悪いらしく今日はベッドで休んでいた。


「今まで、ウェンディにすべてやってもらってたからね。少しは楽が出来ると思うよ」

ウェンディは複雑な表情をしていた。


「ほら、すぐ考え込む。悪い癖じゃ」


「だって・・私の仕事無くなっちゃう。私だけ子供が出来ないから・・」

「えっと、考えていたんだけど・・ウェンディ、僕の仕事手伝わない?」

「え?」

「結構慣れない事務仕事多くてさ、丁度秘書とか欲しいなって思っていたんだ」


「トワ!」

ウェンディがぎゅっと抱きついてきた。


「いいの?私なんかで・・」

「バカ。ウェンディだからいいんだよ」


僕はコツンと彼女の頭を軽く小突いた。




*****ガイ視点



「あの女既婚者だったのか・・」

冒険者ギルドで男は今日も酒を飲んでいた。


「ああ、領主の妻だ。手を出すとやばかったかもな」

「それにしても美人だったな・・酔っているうちにちょっと胸を触っても良かったかもな・・」


男は手で何かを掴む動作をする。

妄想しているのだろう。


「お前大丈夫か?まあ、気持ちはわからんでもないが・・」


俺も実はウェンディが好きだったりする。

最初から望みはなかったんだけどな。


何処(どこ)かにいい女いねえかな~」


男は呟く。

トワは最初魔力無しだったはずで、《《俺が》》魔石をあげてから色々あって今は領主をしているのだ。

多分今領主になっているのも、俺のお陰だと言っても言い過ぎではない。


「トワ、女紹介してくれねぇかな・・。今度会った時に頼んでみるか?」

「ガイ!俺にもお願いできるか?」


俺の呟きに男が反応する。


「えええ~?そっちは自分で探せよ。っていうか冒険者で誰か居ないのかよ?」

「居たらそんな事言わねえよ」

「まあ、確かに」


不毛な言い争いをしてしまった。

まさか奥さん三人のうち一人くれとは言えないが、女性の知り合いがまだ居そうな気がする。

っていうか、そもそも何で三人と結婚するってことになったんだ?

今度会った時、詳しく訊いてみるか。



*****



「「ええ?領主様の所ですか?」」


わたしたちは貴族御用達のお抱えメイド。

わたしはスズ30歳、メイド歴10年のベテランだ。

銀髪で茶色い瞳をしている。


領主様の所でメイドを募集していると聞いた。

てっきりもうすでに誰かしら働いていると思っていたのだけど。

今は奥様が家事をやられているらしかった。


「恐らく、初めて領主をやられているから思い至らなかったのだろうさ」


メイド斡旋所の所長は顎髭を撫でながらそう言っていた。

メイドはこの斡旋所から主に各貴族のご家庭に赴くことになっているのだ。


「君たちは前の所を解雇されただろう?丁度いいと思ってだな」


雇い主が雇用出来なくなってしまったから、突然解雇されてしまったのだ。

ちなみにわたし以外の二人は、サラ25歳赤髪でメイド歴5年と、アユミ20歳白髪メイド歴3年だ。


「それにしても新しい領主様ってどういうお方なんでしょう?」

わたしが尋ねると


「まだお若いと聞いてるわ」

サラが言い


「奥様が三人とか言ってた」

アユミはそっけなく言う。


同じ職場で、顔見知りの親しい間柄のわたしたちが選ばれた。

初めて知らない場所に行くにあたり気持ちがだいぶ楽になる。


「行く前に少し不安になってきたのですけど・・」

「まさか、メイドに手は出さないよね?」

「出したら奥様に加えてもらえばいい」


アユミさんは相変わらず個性的だわ。





ところが、実際来てみたところわたしたちは驚いていた。


「トワ様ではありませんか!」

「あ、あれ?君たち久しぶりだね~」


頭を()きながら、気さくに話しかけてくる人は以前勤めてた屋敷の息子だった。


「じ、じゃあ領主というのは・・」

「ああ、うん。僕がね何かなっちゃったんだよ。まあ、君たちなら安心して任せられるかな」


驚いた。

確か数年前、もと旦那様に家を追い出されていたと聞いていたけど。

こんな立派になっていたなんて。


「これなら手を出されても良い」

「ん?何か言った?」


アユミさんは相変わらずマイペースね。





「安心したわ・・まさかトワ様だったなんて」

「本当に奥様3人居た~」


以前のお屋敷より少し広いらしく、わたしたちは個別に部屋を用意してもらっていた。

それだけ部屋があるという事なんだろうけど。

今はわたしの部屋でソファに座って話をしていた。


「そういえば、一人奥様が居なかったけど体調が悪いとか聞きましたね」

「妊婦さんなら仕方ないわ」

「一人確か王女様が居たはずだけど・・」


「「王女様?」」


え?わたし初耳なんだけど?

「確か名前は、レーシャ王女だったと思う」


トワ様の元であまり緊張しないで過ごせると思ったら、まさかの王女様ですって?

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