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15/43

15 警報

王都に帰ってきた。

流石に魔法の消費が激しい。

魔力が250くらい減ってるかな。


門番さんは飛んできた僕を見ても驚かなくなった。

挨拶をして、城に入る。


「ただいま~って、うわっ」

ドアを開けた途端、ウェンディが抱きついてきた。


「心配したんだから・・」


「おかえりなさいませ」

レーシャ王女も声をかけてきた。


「あの、お願いがあるのですがわたくしを呼び捨てにしてくれませんか?」

「レーシャ・・でいい?どうしたの突然」

「もっと親しくなりたいのです」

「それじゃ、僕からも・・丁寧語はやめて砕けた感じで話せない?」

「ど・・努力します」


いきなりは無理だろうけど頑張ってもらおう。

和やかに話していると、外から鐘の音がきこえた。




カンカンカンカン・・。


王都に来て初めて聞く音だ。

どうしたのだろう。


「トワ居たか。まだ未確認だが、魔物が王都に現れたらしい。冒険者たちは向かっているようだが、行けるか?」


「アスマさん・・トワは・・」


ウェンディが何か言おうとして止める。

やば・・魔力ずいぶん減ってるかも。

でも。

疲れているとか言ってられない。


「はい。行けます。一緒に行くんですよね」

「もちろん」


城を出たところでカイ兄に会う。

丁度良かった。


「カイ兄、マジックポーション余ってる?」

「トワか。ああ、あるけど・・どうした」

「さっき飛行魔法で結構使っちゃってさ」

「ほら、特別だぞ」


青い小瓶を渡された。

「試作品だが、普通のより多く回復するはずだ」


蓋を開けて一気に飲む。

苦いが我慢して呑み込んだ。


『ステータス』


----------------------------------------------------------


トワ・ウィンザー 15歳 魔法使い

生命力 550/800

魔力  1200/1200

攻撃力 300

守備力 300

素早さ 250

スキル

火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・光魔法・闇魔法

炎石・水石・癒石


--------------------------------------------------------------


確認するためにステータスを見た。

魔力が少し上がってるな。

使うと成長するのかもしれない。


「ステータスを見たか。魔力回復しただろ?」

カイ兄が訊いてきた。


「うん。ありがとう。最大値まで上がったみたいだよ」



僕たち勇者パーティは走って移動する。

王都の街中では、大型の魔物が暴れていた。

見たこと無い魔物だ。


「オークだな。気を付けろ」

アスマが言う。

数匹のオークが人々に襲い掛かっていた。


氷結の矢(アイスランス)


僕は近くにいた、オークに氷の矢を放った。

矢に当たったオークはたちまち凍り付く。


「容赦ねぇな・・その調子で頼む」

アスマは言いつつ、他のオークに剣で切りかかっていった。


『ウォーターボール』


ウェンディも詠唱し、水の塊をオークの顔に投げつけた。

水で息が出来なくなりオークは倒れる。


各々得意分野で倒していく。

勇者パーティにしてはさほど脅威では無かった。



「何で急に王都に魔物が出て来たんだろう」

「さあ?とにかく倒すしかないな」


アスマは冷静に返す。

確かにそうなんだけど。

僕たちは他の場所に移動していた。

あちこちで魔物が出現していたからだ。


戦っている冒険者のサポートに入る。

ブラックベアだ。

魔物はさほど強くないけど、冒険者はだいぶ苦戦しているようだった。

ゴダイが剣で、切りかかる。

ユウリが火魔法で、他の魔物を焼き払った。


「ありがとうな」

冒険者に感謝され、他の所に行こうとした時


「あれ、何だろうな」


アスマが何かに気が付いた。

倒れた魔物の腕に銀色の腕輪がはめられていた。

全然気にしていなかったけど、他の魔物も似たようなものが付いていたようだった。


「「キャアアアア」」


女性の叫び声が聞こえた。


「南西方面だ!」


アスマが叫び、声のする方に慌てて駆け付ける。


「嘘だろ・・」


アスマは目を見開いていた。

そこには巨大なレッドドラゴンが火を吐いていた。

都は炎で燃え盛っていた。

大勢の人が逃げ惑っている。


「これは流石にやばいわ。一匹なのが幸いなのかしら」

ユウリはレッドドラゴンを見て呟いた。


「全く勝てる気がしない、アスマどうする?」

ゴダイはドラゴンを見て身構える。


「トワなら何とかなるわよね?」

ウェンディは僕に期待しているみたいだ。


レッドドラゴンか・・。

どこか弱点があるだろうか。

そうだステータスを見てみよう。


『ステータス』


-------------------------------------


レッドドラゴン

生命力 1000/1000

魔力  500/500

攻撃力 300

守備力 250

素早さ 100

スキル

炎のブレス・風魔法

*状態異常 思考操作


--------------------------------------


これ、攻撃受けたら死ぬじゃん!

他の人のステータスは分からないけど、生命力が300以上の人はいないだろう。

弱点は表示されない・・ん?状態異常?

遠くて見えないが、レッドドラゴンの首元には銀色に輝く何かが見えた。


もしかして、もしかするかも?

一筋の望みをかける。


取り合えず僕は、街周辺にドーム状の巨大な魔法障壁を張った。


魔法障壁バリヤー


レッドドラゴンのブレスで一瞬で死んでしまうからね。

バリヤー持つかな?

念のため重ねがけしておこう。

ぼくは魔法障壁を3重にかけておいた。

そして勇者パーティの皆に気が付いたことを伝えた。


「トワそれ、本当か?魔物の状態異常?その首輪が外れたとしてその後どうするんだ?」

「どうするって・・まだ考えていないけど」

「ねえ、アスマ、トワ普通に頭狙った方が良くない?」

とユウリが言う。


話し合った結果、頭を狙う事にした。

どんな生物も頭が一番弱いと考えられているからだ。

動けるのは・・。


「アスマとトワだね。二人しか飛行魔法使えないし」


レッドドラゴンに立ち向かうのは僕とアスマになったようだ。

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