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under 500 Ⅱ

ヒッチハイク=リッチハイク

何もない風景に、ため息が出る。

アクセルを踏んだり、ブレーキを踏んだり。ステアリングを操作したり。

車好きではないから、飽きてきた。


誰かに頼まれる。誰かが困っている。それを、無視する訳にはいかない。そんな性格なんだ。


助手席で、暢気にネコの歌なんか歌っている。にゃんにゃんにゃにゃにゃん。まあ、可愛いからいいけど。


ボードを頭の上に掲げた人。そんな人が、遠くに見える。ヒッチハイクだろうか。


そのボードの字面を認識したとき、トリハダがたった。いつも、見ているやつだったから。


「えっ、嘘でしょ? 本物だ!」

「にゃに?」


ネコの歌につられて、『何?』を『にゃに?』と言ってしまった友人。それも、特に強い印象とはならなかった。それくらい強い出来事だった。


「本当にいるんだ!」

「ああ。リッチな俳句でヒッチハイクする『ヒッチハイク=リッチハイク氏』ね」

「そう。SNSで拡散されていたけど、まさかいるなんてね」


「スゴいね。停まってあげようよ」

「でも、用事は?」

「私の用事は、後回しでいいよ。はやく停まらないと、通りすぎちゃうよ」

「うん、分かった」


路肩に車を止めて、ボードの俳句に近づいた。

薄目で近づいて、目の前に着いたら、目を開ける方式にした。

楽しみは、あとに取っておきたかったから。


ボードの俳句で、絶品高級グルメを要求する。そんな、手口が清々しい。

フカヒレや大トロなどなど、ご馳走するはめになる。それが、オチだ。


安いものならいいな。それだけを願って、目を開いた。


『湘南の しらすに埋もれ 眠りたい』


助手席にいる友人と、まったく同じ夢だ。にゃんにゃん歌っていた、可愛い友人。その友人に、しらす食べたいと言われて今、車を走らせていたのだ。


埋もれるくらいのしらすを、買うために必要なお金。それを、脳内で計算しながら、運転席に乗り込んだ。

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