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買い物、からの~?

いい感じ……?


9話です

「智華、智華これ見て見て~。なかなか良くない~?」

「私も悪くないでしょ」


 二人はアパレルショップで服を選びながら、試着室で着替えて互いに評価を下している。俺はまったく興味がない二人の応酬を単に眺めていた。


「う~ん、どれも違うわね~」

「先に涼馬の服でも選ぶ? 私達のこと待ってて暇そうだし」

「そうね、さんせー♪」


 こうして俺は二人にメンズの服へと連れられる。試着室に行き、あ~でもない、こ~でもないと言いながら二人が選んだ服を着る。自分で着るとはいえ、なんか着せ替え人形の気分だった。

 そして二人がそれぞれ自分で選んで、コーデを終えた上下一着が決まる。つまり二人の合わせて計二着だ。


「う~ん、確かに智華のも良いけど、やっぱり私のが良いんじゃない?」

「なに言ってるの? 当然私の方が涼馬に似合っているわ」

「……」


 この展開はもしかしてまずいのでは……?


「ねぇ、どっちにする?」


 二人が同じタイミングでファッションセンス皆無の俺に訊いてきてどうすんだ!?


「当然私のよね~涼君?」

「なに言ってるの友美? 私が選んだ組み合わせたこの至高の上下に決まってるじゃないの!」

「……」


 一体どうすれば……!?


「勿論私よね?」

「私にする? それとも智華にする?」

「いいえ、私よ!」

「いや、私に決まってるわ!」


 なんか話が変わった感じがするのは俺だけ?


「さあ、涼君(涼馬)どっち!?」

「~~~~!!」


─・─・─・─


「会計ありゃした~」

「ま、負けてしまったわ……」


 結局俺は友美が選んだ服を選んだ。ファッションセンスがない俺からしたら本当に区別がつかんものだから、()()()を理由に友美のにしたのだった。


「何が駄目だったのかしら……?」

「いや、別に悪かったわけじゃあー……」

「~♪ww」


 二人は自分のした買い物よりもさっきの勝敗の方が気になっているようだ。


「じゃあ、なんで友美のを選んだのよ…!?」

「別に大した理由じゃないよ。今着てる服が前に智華が選んでくれたやつだから、今回は友美の服にしようと思っただけさ」

「そ、それだけ……?」

「うん、それだけ」


 智華にそう説明しているのをよそに、俺の隣を歩く友美が驚いた声を出す。


「え? この服智華が選んだ服だったの!?」

「え……? あ、うん。そうよ」

「そうそう。遊ぶ代わりに服買いに行こうって言われてさ~」

「へー………」

「それはあんたの格好がダサいから、隣に居て恥ずかしかったからよ!」

「なんだとー?!」


 俺は智華と文句を言い合いながら、昔のことを少しだけ思い出す。しばらくガミガミ言い合っていると、友美から強烈なアッパーカットをおみまいされる。


「……その頃はまだ仲良かったのねー」

「ぅ………!」

「そう……、()()()は……ね」


 そうしたら気まずい空気になり、しばらく無言になりながら歩く。そうしたら雑貨屋売り場の前を通りかかり、智華が俺達に向かって言う。


「あ、ちょっと私なんか面白いグッズ売ってないか見てくるわ!」


 そう言ってそそくさと見に行ったので、俺が友美に詰問する。


「お前な~~」

「何よ……?」

「どういうつもりであんなこと言ったんだ~~!」

「分かんないわよ……! ただしゃくに障っただけよ……」

「~~……? とにかく俺もここへ行くからな」

「はいは~い」


 俺は彼女と別れて智華の後を追った。そうしたらあいつは鏡を見ながら、小声でブツブツ言っている。


「う~ん、うさ耳……。悪くないかしら……?」

「何やってんだ?」

「きゃっ!!」


 彼女はビクッと体を揺らして、顔を真っ赤にしながらこっちを見る。その恥ずかしいとこ見られて羞恥心丸出しの表情、か、可愛い……。からかいたく………は、いかんいかん。こんな発想だからフラれるのだ。優しく、優しく……。


「智華」

「な………何よ……?」

「うさ耳姿、とても可愛くて、似合ってたぞ!」

「な、何よそれ………。バカ……///」

「……」


 …………ん?? 智華は照れて怒ってないし、目を逸らしながらも嫌そうな顔じゃないで、なんかこれ良い雰囲気じゃね? 智華の気持ち……確認、確認するか!??


「と、智華……」

「なに?」

「あ、あのさー(どきどき)」

「はーい!! 猫ちゃん、ガオー!!」

「わっ!? 友美……?!」

「そう皆の可愛い天使、友美ちゃんでーす」

「友美……、ガオーはライオンよー」

「あ、そうね。メンゴメンゴ♪」

「……」


 そうしてうさ耳と猫耳購入した後、もう夕方だから帰ることにした。そして最寄り駅を降りての帰りしな俺は先に友美と別れ、智華と無言で自転車を漕ぐ。


「……」

「……」


 俺はやっぱり彼女の真意が気になるので、智華に声をかけた。


「と、智華……!」

「何?」

「……! あ、いや……、何でも無い……」

「……そ」


 しかしもう彼女はいつもの少し冷ためな目になっていたのだった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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