俺、女子二人と食堂に行く
いい感じに……?
6話です
俺達三人は食堂へ向かって、始めてこの組み合わせで食事をする。智華とは小さい頃に度々二人で食べていたが、友美ち……友美とは高校からの付き合いだから、一緒に食べたことは……あ、最近一緒に喫茶店行ってるわ……。
いやいや、だからって智華、友美と一緒に食べる組み合わせは今までなかった! 今まで無かったし、それに俺をフってるのにまだ関わってくる不思議な幼馴染と、その彼女から機嫌悪そうに対応されるのに、終始ニコニコする幼馴染の親友と俺は楽しく食事をする訳だ。
…………いや、どう考えても無理じゃね????? そう感じるのは私の取り越し苦労ですか?
ともかく静かに黙々と弁当を食べる智華と、この状況下で依然ニコニコとしながら食堂のカレーを頬張る友美を前にして、俺はいたたまれない気持ちの中で智華が用意した弁当を食べる。
中身は冷凍食品でなく、手作りでどこか懐かしい感じだ。
もぐもぐ……。
あれ?
もぐもぐもぐ……。
あれれ??
この状況下だからてっきり味が分からなく感じるだろうと思っていたが、素朴でしつこくなく、バランスがとても良いメニューだった。確かに智華(だよな?)が作る料理を食べるのは初めてだったが、丁寧な味付けだからか意外にも……、
「美味しい……」
「……え」
俺はつい言葉を漏らす。智華がすかさずこっちを見て反応する。いかんっ、俺はいまなんて言った!??
「美味しかったの……?」
彼女は少し驚いた顔でこっちを見る。どうやら俺は『美味しい』的なことを言ったようだ。このチャンスに乗じてすかさず褒め言葉を畳みかける。
「うん、美味い美味いっ! これは日本一の美味さだよ!!」
「もう、それは褒めすぎよ~……」
少し過剰に褒めた気がするが、智華はなんか満更でもなさそうな顔をする。
「智華が作ったのか?」
「うん、そうよ~」
彼女はやたら嬉しそうに言うので、まあ良いことにしよう。
「料理はよく作るのか?」
「ううん、そこまで得意じゃないから、ときどき作るぐらいかしら」
「そうなのか? こんなに美味いのに」
「そ、そうかしら……? じゃ、じゃあ涼馬がこれからも食べてくれるなら……、偶に弁当を作っても良いかしら?」
「え? ……良いのか?」
「うん。……涼馬は何の料理が好きだっけ? やっぱり卵焼き?」
「えとー、そうだなー。卵焼きはもちろん好きだが、それ以外ならやっぱりしょうが焼…………」
しかしこの良い感じなタイミングでまさかの横やりが入る。
「ねえ、智華ー」
「ん、なに?」
「貴女のこと散々いじめてきた奴をそんなに優しくして良いの?」
「!」
「ぅへ……!?」
い、いきなり何を言い出すんだ友美!??
「いやいや、今は別に悪い感じじゃなかった……」
「……確かにそうね、まさにその通りよ。週に一か……いや、月に一回のペースにするわ……」
「へっ……!?」
えーーーーー!???? 折角良い雰囲気だったのにーー! なに考えているんだ友美の奴ーー!! 君は一体どっちの味方なんだっ!!?
友美はこっちを見ては口角を少し上げて、やたらニマニマしていた。そうこうしているうちに予鈴のチャイムが鳴る。
「あ、そろそろ授業だから戻ろっか」
「そうね」
「あっ……え、ちょっ……」
食堂から出てさっさと教室に戻る二人を俺は後ろから追うだけだった。
「おう涼! 今日も両手に花か!?」
「花は花でも、真っ赤な薔薇だよ……」
「ひぇー、それは怖え~ぜ!」
このクソ友は本当のところまったく怖くないものだから、他人事の口ぶりで言う。
「涼馬君大丈夫? 僕はいつだって涼馬君の味方だからね!」
「ありがとよ……。広人……」
俺はさっきのあの麦野郎とは違った心強い友人に励まされ、あやうく感涙しそうであった。
いや、しかしそれにしても……!
「くそーー! 二人っきりになったら、友美のやつをとっちめて詳しく話を訊かねーと……!」
そして放課後、俺は部活をするために道場へ向かってドスドスと校内の廊下を歩いていた。そしてある教室の前を通りかかるその時だった。
「今だっっ!!」
「………はっ? えっ! わっ……!??」
シャルルと音が聞こえ、長めのヒモがグルグルと体に巻き付く。そしてさっと縛られた俺はずるずる~と抵抗の甲斐無く、その教室に引きずられたのであった。
“糞”を漢字で書いて偏を分けてみると……?
“米”と“異”なんですよね?