表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/17

智華の異性の好み

え……? 鞭打つ……?


4話です

 友美ちゃんの想定外の言葉に俺は驚きを隠せなかった。なに、鞭打って悦ぶ男が好きだって……!??


「ゲホゲホ……! マジで……!?」

「マジで…! 見た目は落ち着きはらって、そうは見えないけど、あの子もSッケがあるの。いわゆる隠れSッケね」

「……」


 そうだったのか……。それは全く知らなかった。確かにあいつはしっかり者の面があるが、それ以上にSッケも兼ね備えていたのか……!

 今まで散々からかってきたんだから、それは告白してもフラれる訳ですわ……。………ん?


「じゃあ、それとあの必死な声とどういう関係なんだ?」

「んー、それはね~。あの子も所詮は女、数少ない心を開いている男子を取られるのは嫌なんでしょう。Sッケのある女ってはっきりしてる性格が多いから、対立関係も出来やすいの」

「……」


 そうか……。いや、確かにその通りだな。俺は女同士の派閥みたいなのをあんまり知らないが、智華のあのはっきり物事を決める性格だ。反対意見の側には容赦なく意見をぶつけるから、忌み嫌う女子達もいるだろう。

 たとえ俺とも意見の食い違いがあったとしても、俺はずっとあいつの味方でおろう。


「後はね、思いやりのある男子が好きね」

「成る程……」


 俺は友美ちゃんから教わったことを忘れないように、メモ帳に書き留める。


「ふふふっ」

「どうかしたか?」

「いえ、別に~♪」


 対面に座っている謎に上機嫌な彼女の顔を見ながら、俺はまた違うタイミングでコーヒーを飲んだ。


「ゴホっ!! 熱っ!!」


◇◇◇


 翌日。俺は昨日友美ちゃんから聞いた話を、整理してこれから智華とどう接していくかのイメージトレーニングを寝る前に100回はした。起きてからもずっとしている。

(よし、これで今日の智華への対応は完璧だろう……。いや、あと50回はしとくか……?)


「涼馬、塀に向かって何してるの?」

「げっ、智華!?」

「?」


 彼女は不思議そうに俺を見てくる。こんな変な状態を見られてしまい、かなり小っ恥ずかしかった。いや、しかしこれはイメトレを生かす時がやってきたのだ。よし……、やるぞ……!


「きょ、今日は良い天気ですね~」

「え? えぇ」

「こんな晴れた日だと、洗濯日和で家も外もポカポカしてて、気持ちがいいなー」

「ま、まあね…」


 よし、出始めは悪くないぞ……! 智華も険しい表情もしていないしっ。


「最近バレーの調子はどうだ?」

「んー、一段とトレーニング内容が上がって大変になったわ」

「それはお疲れさまだな」

「そっちはどうなの? 合気道部は?」

「まぁ、体力は使うが、基本型稽古だから内容がハードになるとかはないな」

「そう」

「智華はサーブ、レシーブ、アタックの中でどれが一番好きだ?」

「うーん、そうね~。やっぱりアタックかしら」

「やっぱりアタックの時は快感か?」

「そうね……入ると気持ちいいわ」


 やっぱりそうなのか……。Sなんだな。


「でも俺はいつだってお前の味方だからな!」

「え……あ、ありがとう……?」


 よしよし、とりあえず言いたいことは言えたぞっ。


「………あのさ涼馬」

「ん? なんだ?」

「私はね、昔からはっきりした性格だから、優しく接してくれる男が好きなの」

「……」

「それにもし意中の女子がいるにも関わらず、他の女にも尻を振る軽薄な男は嫌いね」

「…………」

「だからね、涼馬」

「お、おう……」

「そういう男になっちゃ駄目よ」

「はい……」


◇◇◇


 そして通学路のいつもの橋に通りかかると、友美ちゃんが立っている。


「やっほ~、涼くーん♪ おやおやー? 今日も一緒に登校してお熱いことですな~~」


 彼女はニヤニヤしながら俺達を見る。


「おはよう友美」

「おはよう智華♪ 今日も今日とて良い日になりそうね」

「えぇ、そうね」


 なんだろう……。いつもの仲の良さげな会話と違って、今はお互いの腹の探り合いをしている気がする。


「それじゃあ行こっか、涼君♪」

「え、あっ、うn……」


 と俺はその時ブリザードが吹き荒れる極寒のような冷たい目線を感じ、おもわずはっとする。振り向くと彼女はじーっと静かに俺の方だけを見ていた。

 た、試されている……。


「どうしたの涼君、行かないの……?」

「あ、いや……その~……」

「(じー)」

「早く行かないと遅刻するわよー」

「……」

「(じー)」

「涼くーん……!?」


 あわあわあわ………………っ。


「……友美ちゃん、僕ちんの自転車貸すから。智華と一緒に行ってくれ」

「え?」

「俺は走って学校に行くからーーー!!!」

「あっ、涼馬ーー!?」

「えー!? ちょっと待って、涼くーん…!?」


 とうとう俺は二人の圧力に耐えきれず、一人さっさとこの場から走り去って学校へと向かったのであった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ブックマーク、評価を頂ければ励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ