友美ちゃん、交換条件を提示する
友美ちゃんがどう出る……?
二話です
友美は俺に眩い瞳でじっと見つめる。
「…………な、なに言ってんだよ。そんなことしたら、益々智華に嫌われちまう!」
「ふふ、冗談よ、冗談っ。そんなことするわけないでしょー? な~にマジになってんのよ?」
「……」
そう言って彼女はニヤニヤしながら、人差し指を俺の鼻に当ててちょんと弾かせる。
「冗談の通じない男はモテないわよー」
「~~~!」
本気で答えた質問がただの思わせぶりだったので、俺は少しイラッとした。
「で、なんでフラれたからか分かっているの?」
「……そりゃあ、俺が散々智華にちょっかい出していたから、ウンザリして、付き合う気とかにならないからだろ?」
「うーん、成る程ね~……」
彼女はすっと立ち上がり、河川敷の斜面を下へ下へと降りていく。
「あの時に言った涼君への断りの文句はそうかもしれないけど、あの子の本当の気持ちは違うわ!」
「……え?」
「貴方が単に好みの男じゃないからよ!」
「…………えっっっ??」
衝撃的事実だった。俺が好みの男じゃないだって?????? その予想だにしない事実に俺の頭は当然鳴門の渦潮のように混乱した。
「……え、ちょ……、え……??」
「だって考えてもみなさいよー。好きな女子からニヤニヤしながら積極的にからかいに来られたら、嬉しいもんでしょ?」
「…………」
そう言われて俺は好きな女子が俺にニヤニヤしながらからかってくるところ想像をした。
俺の肘にオッパイを当てる彼女。
『涼馬ー』
後ろからどーんと抱きついてくる彼女。
『涼ー馬~♪』
優しく微笑みながらワイシャツのボタンをいじる彼女。
『涼馬♡』
「…………確かに」
俺はいたくショックを受けた。確かに友美ちゃんの言う通りだ。そうなのか……、あいつは俺のこと好きじゃないのか……。
そして俺はしばらく項垂れていると、
「だからね涼君っ」
「?」
「私が智華にモテるコツを教えてあげるわ!」
「え……!? 本当か!? 今からでも逆転出来るのか!?」
「えぇ!」
彼女は微笑みながらコクンと頷いた。
「その方法は……!?」
「その代わり~条件があるわ~」
「…?」
翌日、俺はいつものように登校するのだがしかし、いつもと違うあることのために通学路の時から周りの目線が集まる。
「…………離れろよ」
「……」
校内に入ったら、更にざわざわとする。
「お、おいどうなってんだよあれ……」
「えー、やだーー…」
「離れてくれって」
「ふふ~ん。やだ~~」
どうなっているのかというと、実は俺の左腕に友美が両腕で組んで、そして頭をのせて甘えてくる。そんな彼女は国体に選ばれるほどスポーツ万能で、それで学校でも有名であり、おまけに智華の親友だ。ただでさえ目立つ彼女が俺に親しげにするのだ。注目浴びるのは当然だ。
「えー? あの新居さんを諦めて、彼女の親友の姫野さんに鞍替えしたのか……?」
「マジでー? さいてー……」
周りから冷たい視線が俺に集中する。
「や、これは…………」
「そうよ~。これはねー……」
「友美……!?」
後ろから聞き覚えのある女子の驚く声が聞こえた。
「智華……?」
「……」
「周りがざわざわしていると思ったら、二人で何やってるの!? 友美、一体どういうつもり!?」
友美ちゃんに向けるかなり険しい智華の顔を見て、俺はバクバクして心臓がはち切れそうだった。
「なにって~、涼君にくっついているだけよー」
「……仲良いわね」
「まあ、私と涼君の仲だからね~」
「……」
智華は無言で友美ちゃんの方を見る。明らかに機嫌が悪い。怖いよ~~~。
「…で、二人はどういう関係なの?」
「それはねー。……ただの友人関係よっ」
そしたら「えぇ!?」と周りは驚く。
「なんだ……ただの友達なのか……」
「それにしたら、えらく親しげだな……」
周りがそう言い合うと、彼らの思い思いの言葉を代弁するように智華は友美に尋ねる。
「本当にただの……友達……?」
「そうよっ。昨日楽しくデートした……ただの友達」
「えーっ!?」とまたざわざわ周りの人達が騒ぎ立てる。その状況が嫌なのか智華はその場から離れるのだが、その去り際に睨むように俺を見てこう言い放つ。
「馬鹿……」
◇◇◇
俺は昨日行った河川敷で絶望的に叫ぶ。しかし友美ちゃんは逆のテンションだった。
「終わったーーー!!!!」
「ふふっ、これは手応えありね」
「一体何がっ!?」
「まあ、明日見てて」
「……?」
翌日。
「はぁ、憂鬱だなー……」
「涼馬」
「え……? 智……華……?」
「どうしたのお化けを見たような顔をして? さっさと行くわよ!」
「どこに??」
「なに言ってるの?! 学校によっ」
「え…?」
え……? あれ……、まじ……?
◇◇◇
河川敷での友美ちゃんが条件を提示した時の話。
「なに~~!? カモフレー?!」
「そうよ~。良いアイデアでしょ?」
「そんなことしたら、益々智華に嫌われないか……?」
「いやいや、妬かすためには丁度良いわ!」
「しかしそんなことしたら、友美ちゃんにまでも火の手が来ないか……?」
「ふふっ、そこは私が上手くやるから任せて~♪」
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