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転生者は世界を紡ぐ  作者: 金剛 奏
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第6話

 新たなスキル【身体強化】を得た俺は、今までやっていなかった【剣術】の練習に修練に取り組む。【剣術】の練習をやりながら【身体強化】を発動することになるし、一石二鳥だ。しかもそれだけじゃない。【鑑定】も常時起動させている。

 実は最初の魔力枯渇から一週間、限界ギリギリまで魔力を使っていたところ、最初の魔力枯渇よりも魔法が長続きすることに気づいた俺は、寝る前に魔力枯渇をさせて寝るようにしていた。実はこうすることで体内で貯められる魔力の量を増やすことができる。それに、寝る前に魔力枯渇をさせているから時間も無駄にはしていない。ただ毎日頭痛に悩まされてはいるが、この程度のことは我慢しなければ強くはならないと思っている。

 そんな感じで、時間をかければかけるほど強くなっているため、最近では常にスキルを発動していても魔力枯渇が起こらないようになってきた。

 俺は手に持った木刀を【鑑定】で覗き見る。


 


 名称  木刀

 所有者 クリストフ

 素材  木

 

 説明

剣を用いた訓練などで致命傷を防ぐために使われる木製の剣。刃はないが、叩かれるとかなり痛い。




 だいたい最近は全部のものがこんな感じで表示される。所有者と素材がみれるのはかなり有能なんじゃないかと最近は思っている。この後どれくらい情報が開示されるのかが楽しみなところだな。


「じゃあそろそろ始めるか。よし。」


 一呼吸置いて気合を入れる。魔法とは違って魔力だけでなく体力も使うからな。とりあえずはスキルを発動させながら素振りをするか。


「いちっ、にっ、さんっ、しっ、ごっ、…」


 やはり【身体強化】のお陰で全然疲れないし、息も上がらない。というか、かなり楽しい。地球にいた頃はあまり運動が得意じゃなかったから楽しくは感じなかったが、こうも運動に適した体だととても楽しいと感じる。これを前世で感じてたやつは恵まれてるな。俺は少しだけ、運動が得意だった親友を思い浮かべて恨めしく思う。これでイケメンとか人生楽勝だな。まあ、今の俺もかなり人生を楽しんではいるがな。

 正直言ってしまうと、地球で生活していた時よりもこっちの方が楽しい。自分で一から考えて行動することは大変だがとてもやりがいを感じるしな。ただ、やはり4年間一度も知り合いに出会えないのは悲しい。誰でもいい、早く誰かと会えるといいんだが。


 いろいろなことを剣を振りながら思い返しているうちに、少しずつ疲労が溜まってきた。気がついたら数えることもやめていた。というかどこまで数えたか忘れてしまったのだ。最後に数えたのは1300くらいだったかな?気がついたら太陽も頂点の方まで登っている。2、3時間は木刀を振っていたのかもしれない。


「とりあえず今日の【剣術】の修練はこんなもんでいいか。一回家に帰って、昼ごはんを食べに行こう。」


 俺は朝に来た道を戻っていく。最初の頃は丈の短い雑草が生えていたが、俺が毎日通うようになったせいなのか、獣道のように地面の禿げたところがぽつぽつと見えるようになってきている。そろそろ場所を変えた方がいいかもな。もしかしたら村の人に気づかれるかもしれない。まあもうバレてるかもしれないけど。

 そんなことを考えながら歩いていると、道からすこし外れたところにある期の根元に小さな穴が開いているのを見つけた。大きさとしては、直径が今の俺の肩幅よりも少し大きいくらいだ。モグラの巣穴にしては大きい気もするし、もしかしたら魔物のものかもしれないから迂闊に近づかないでおこう。

 


 帰り道で謎の穴を見たが、それ以外には特に変わったものはなくいつものように村についた。村の警備をしている男性のもとへと行き、先ほど見た穴について何か知らないかを尋ねる。


「子供が入れそうな大きさの穴か。この辺に住んでいる動物か、もしかしたら魔物のものかもしれないな。俺じゃわからないから、レオ君のお父さんにあとで聞いてみるよ。」


 どうやら大人の人でもわからないみたいだ。まあ開拓村の役目は文字通り、新たな地を開拓することだからな。わからないことがあることもある。そんなに気にしないでおこう。

 警備の人への報告を終えた俺は、家に帰って飯を食べる。育ち盛りだしご飯を欠かすことはできないもんな。

 しばらくはこんな感じで【剣術】の訓練に時間を使うことになりそうだ。魔法の練習に使う時間が減ってしまうが、毎日魔力枯渇をさせるときに魔法を使っているから、熟練度も少しずつは稼げるだろう。今までは避けてきたが、【剣術】がそれなりに使えるようになってきたら、いよいよ魔物を狩るために森の奥へ入ってみようかと思う。まあ、最初は魔物じゃなくて動物とかで練習しようと思うけどな、怖いし。

 考え事をしながらご飯を食べていると、家の入口から父さんの声が聞こえてくる。


「レオ、いるか? さっき聞いたんだが、森の中で穴を見つけたみたいだな。それについて聞きたいんだ。どこにあったか覚えているか?」


「うん、お父さん。覚えているよ! 何をしたらいい?」


「そうだな、昼ご飯を食べ終わったら俺のところにきてくれ。そのあとに穴を見つけたところまで案内してくれ。」


「わかった! すぐに食べ終わるから待ってて!」


 意外と声をかけられるのが早かったな。まあ俺も気になていたから全然いいんだけどな。

 昼ご飯を食べ終わった俺は足早に父さんのところへと向かう。先に待っていてくれた父さんと合流して僕たちは森の中へと入っていく。少し歩いたところで道を外れたところにある木の根元までやってくる。


「これが例の穴か。見た感じ小動物から中型の動物が入れそうな穴の大きさだな。穴を掘っているところを見ると、肉食動物とかじゃなさそうな気がするな。この辺にはよく来るのか?」


 まずい。意外と突かれたくないところを突いてきたな。まあ、一人の時間を見計らっては森に来ていたから、ここは正直に答えておくか。


「そうだね。よく来るよ。この辺のところなら危なくなさそうだって聞いたし、森にいると落ち着くから。」


「そうか、わかった。あまり深いところに行かなければ俺も何も言わないから、それだけは約束してくれ」


 お、意外と納得してくれたぞ。息子思いのいいお父さんだ。


「わかってるよ。絶対に守るからさ。」


「よし。それじゃあもう一つ。いつもこの辺に来るなら、変わった動物とかを見なかったか?」


 変わった動物か。鳥やウサギをたまに見たが、よく見るわけでもない。


「ごめん。見てないかな」


「そうか、なら大丈夫だ。レオはもう村に戻ってもいいぞ。畑の手伝いでもしてくれ。」


「はーい」


 父さんと一通りの会話を終えた俺は父さんを残して村へと戻る。森への出入りについて聞かれたときは少し焦ったが、それ以上は聞かれなくてよかった。

 そうして俺はそのまま畑へと行き、日が暮れるまでの間、村の畑仕事を手伝ってその日が終わった。

 



 次の日。俺は朝起きてご飯を食べ、畑の手伝いをした後にいつものようにスキルの練習へと向かう。昨日から【剣術】の練習をしているから木刀も忘れずに持っていく。初日と同じようにお昼まで木刀を振り続け、また村へと帰る道を進む。ここで俺はあることをひらめいた。


「もしかして、【鑑定】を使ったら、なんの動物の巣なのかわかるんじゃないか?」


 よく考えたらわかることだったのだが、昨日は気づくことができなかった。とりあえず今日も再び例の穴まで行く。俺はそこで早速、【鑑定】を使う。



 名称  小人族の隠れ家

 所有者 なし

 素材  土

 

 説明

小人族が住んでいた家。穴を掘って隠れ家を作る。今は使われていない。



「小人族...?」

 【鑑定】の見せてきた思いがけない答えに俺は驚くのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分的には説明回が、多いので分かりやすいですね。 ただ、なろう読者が好きな内容ではなさそうですね・・ なろう読書は起承転結の「起」「結」だけを求めてますからね・・ [気になる点] 鑑定ス…
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