第5話
初めての魔力枯渇から、約2ヶ月程たった。俺はこの2ヶ月間、時々畑の手伝いをしたりするなどで開拓村の発展に貢献しつつ、時間の合間を縫っては人目につかないところでスキルの練習を続けていた。父さんや母さんには
「レオは目を離すとすぐにいなくなるな。あまり遠くに行くんじゃないぞ。」
と言われているので、なにをしているのかはバレてなくとも、何処かに行ってるのは気づかれてしまっている。まあ父さんと母さんにならバレてもいいのではないかと思ってる自分もいるしな。この村の第一子は俺みたいだし、他に同年代の子がいないこともあり、俺としては邪魔もないから過ごしやすい。さらにこの世界では、日本みたいな保育環境が整っていないことから、子供も幼いうちから働くことになる。まあ今の俺の周りには大人が多いから、肉体労働はほとんどない。適度な運動も大事だしな。
話が戻るが、おれは2ヶ月の間に目に見える程の成長を遂げた。まあ、スキルを見て貰えば分かる!
スキル名【皇帝】
<能力>
対象者と契約することで、自らの庇護下におくことができる。契約には双方の同意が必要である。
より多くのものと契約をすることで、スキル保持者の力へと変換される。
<対象者への効果>
・スキルの効果、威力が10%上昇。
現在の被効果付与者…36名
<解放されたスキル>
【鑑定】【剣術】【魔力操作】【炎魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【千里眼】
これはスキル【皇帝】の詳細である。何?特に変わったところがないって? そう、実は成長したのはここの部分ではない。
名称 レオナルド
年齢 4
種族 人
性別 男
所有スキル
【皇帝】【鑑定】【剣術】【魔力操作】【炎魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【千里眼】【氷魔法】【農作業】【身体強化】
称号 「転生者」
まずこの文字列はなんなのか。そう、これこそが俺の著しい成長の一つ、【鑑定】によって見られる情報の増加である。俺はこの2ヶ月間、【剣術】以外のスキルを練習してきた。【剣術】まで練習すると身体に負担が大きいのと、村の手伝いに支障が出てしまうからな。そんなわけで発動できるスキルはなるべく常に発動させていた。そんな感じで【鑑定】を使いまくっていると、いつからかみんなの頭の上に名前が出るようになってきたんだ。すぐに【鑑定】の力だとわかってからも俺は使い続けた。その結果がこんな感じだ。それで使って見てわかったが、このスキルはめちゃめちゃ使える。だって地球にいた頃は気になったことがあったらスマホで調べてたけど、スキル使うだけでわかってしまう。こんなものが現実世界にあったら、絶対に依存しちゃうね。
わかってるとは思うが、成長したのは【鑑定】だけじゃない。所有スキルの欄に新しく【氷魔法】【農作業】【身体強化】が増えてるのがわかると思う。これは【皇帝】によって新たに使えるようになったスキルではなく、日々の生活によって得られたスキルだ。
【氷魔法】については、【水魔法】と【風魔法】を使ってどうにかして氷が作れないかと考え、試行錯誤していると氷が作れるようになり、それを繰り返しているうちにスキルとして発現したものだ。
次に【農作業】については村の人たちと混ざって畑の手伝いをしているときにできたものだ。前に父さんに聞いた時はスキルの発現は普通は長い月日をかけるものだと聞いていたが、俺は実質2ヶ月もかからずに手に入れることができた。そこで気がついたんだが、もしかしたら【魔力操作】の影響なのではないかと思い始めた。このスキルを軽く説明すると、他スキルを使用することにより段々と魔力の扱いが上手くなると言うものだ。俺はこの効果による恩恵だと思っている。それに俺のステータスにはそれ以外に考えられる要素がないからな。実は他のスキルも【魔力操作】によって成長しやすくなっているのではないかと思っている。
最後に【身体強化】だな。これは【魔力操作】のスキルの有能さに気づいてから、もしかしたら身体に巡る魔力をうまく使えば身体能力の補助になるんじゃないかと思い始めてから、練習して使えるようになったものだ。扱い方は他のスキルを扱うのと同じで魔力の流れを早くしたり、大きくしたりすればいい。ただ意識しないといけないのが筋肉だったりと体の特定の器官に注意を向けて扱うようにしないといけない。これが最初は難しかったのだが、スキルとして発現してしまえば後は簡単だな。もう今は歩くのと同じ様に【身体強化】を使うことができる。
おまけなのだが、【鑑定】で俺のステータスを見ていて気づいたことがあるのだが、ある時から自分の称号に「転生者」というのが表れるようになった。それ以上のことはまだ見れないのか、単純に説明がないのかは分からないが今はそんな感じだ。ただ、他人のステータスを見れば、転生者かどうかわかるようになるということなら、かなりありがたいことになる。ただ、いつか自分も他の人から見られてしまうかもしれないという意味でもあるのだ。これからはなるべく街に出るのは控えよう。村の人に【鑑定】を持ってる人はいないみたいだしな。
とりあえず今後の課題としては他に現段階で発現させられるスキルがないかの確認、それと【身体強化】が使えるようになったから、ぼちぼち【剣術】の練習もしていこうと思う。あとは村の住人が少し増えてくれるといいなと思っている。新しいスキルも解放したいからね。
やることがまだまだ山積みだが確実に一つずつこなせていると思う。いつになったら村を出ることができるのかは分からないが、今は自分にできることをするのみだな。
この度は第5話までご愛読いただきありがとうございます!! 着実に強くはなっていますが、行き過ぎないように調整して行ってますのでお楽しみください!!