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転生者は世界を紡ぐ  作者: 金剛 奏
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第4話

 初めて町に行った日の翌日。

 よし、とりあえずスキルについては昨日のうちに全部試し打ちができたから、今日からは本格的にスキルの熟練度を上げていかなければならない。俺は父と母が家にいないタイミングを見計らって、家を出る。


「ここまでくれば誰にも見つからないかな。」


 村から出て、隣にある森の中を少しだけ進んだところまで行く。ここなら村からも見えないだろうから練習できそうだ。俺が最初にスキルを発現させたのが2日前だから今はまだほかのスキルを持っていることを悟られてはいけない。1年後ぐらいならまあみんなに知られてもいいころだとは思っている。


 今持っているスキルは大まかに分けると、近距離攻撃型の【剣術】と遠距離攻撃の【炎魔法】をはじめとしたその他もろもろの魔法だ。まだ4歳の俺には剣を扱うには体の成長が追い付いていないし、魔法みたいないかにも遠距離に向いているスキルのほうが安全だと思うしな。おとなしく魔法の練習をしていこうと思う。


「まずは、スキルを発動させてっと」


 俺は心の中で【炎魔法】をイメージして発動させる。手に出している間は体から少しづつ魔力が抜けていく感じがするがまだ大丈夫そうだ。

 俺はふとあることを思う。スキルの説明では魔法を使うことで熟練度を上げていくみたいだったが、それ以外でスキルの成長速度を上げられないのか。もしくは、スキル熟練度を上げずに魔法の威力を上げることはできないのか。思い立ったらすぐに行動に移す、前に何かの本で読んだ気がする。俺は魔力についてわかっていることを再び思い返す。俺がスキルを使うときはいつも、体をめぐる魔力の流れを早めることでスキルを使ってきた。もしここで魔力の流れをさらには早くすることができたらどうなるのだろうか。


「少しだけ難しいな。かなり集中しないといけないみたいだ。」


 俺は【炎魔法】の発動を意識しながら、体をめぐる魔力の流れをいつもよりも早くしていく。すると次第に体の中を流れる魔力の消費も大きくなっていく。しかし、次第に手の平に発動していた炎の燃える勢いが強くなっていく。何もせずにスキルを使うと赤色だったが、炎の色が次第に黄色に近づいていく。確か理科で習ったが、炎っているのは温度によって熱さが変わってくるはずだ。つまり、俺の仮設通り、魔力の流れを早くすることで、炎に変化を与えることができた。実験は成功だ。


「狙い通り、魔法の効果を上げられたんだが...」


 しかしおかしい。いや、おかしくはないが少し引っかかる。魔力の流れを早くすることによって炎の温度は上げられたが、炎の大きさは変わらなかったのだ。つまりまだ何か変化を加えることができるのではないだろうか。俺はふとそんな考えに至る。何かないだろうか、さっき加えた変化は魔力の流れをより早くさせることだった。


「ん、待てよ。魔力の流れる量を大きくすることはできないのかな。流れる量を多くすれば炎の大きさも大きくなる気がするぞ。」


 ひらめいたぞ。魔力の流れを川の流れと同じようにとらえれば、たくさんの魔力を流すには一つ一つの流れを太くすればいいんじゃないのか? 俺は再び【炎魔法】を発動する。体中からくる魔力の流れを一つずつ順番に、そして丁寧に太くしていく。すると手の平の上で拳くらいの大きさしかなかった炎の球がみるみる大きくなっていき、僕の顔ほどの大きさへとなっていく。どうやらこれ以上は大きくはならないようだ。それに言うまでもなく魔力の消費も大きい。


「これ、流れる量も流れる勢いも強めたら、めちゃくちゃ強くなるんじゃないか?」


 やっぱり最後は合わせたくなるものだろう。おれはスキルを発動させて、まずは炎の大きさを大きくしていく。


「よし、限界まで大きくなったな。それじゃお最後に...」


 準備は整った。俺は魔力の流れをガンガン上げていく。すると大きくなった炎の球の色がどんどんと黄色に変わっていく。


「実験成功だな。じゃあほかの魔法で...も...」


 なんだか意識が遠のいていく。炎魔法だけじゃなくてほかの魔法でも試したいのに、体が言うことを聞かないぞ。

 俺はそこで意識を失った。







 俺は目を覚ました。視界に見えているのは慣れ親しんだ光景である。


「ここは...家か?」


 なんで俺は家にいるんだ? それにさっきから少しだけだが頭痛もする。目を覚ます前は何をしていたんだっけ。そういえば...


「レオ、やっと目を覚ましたのね!」


 目を覚ました俺に気が付いたのか、母さんが俺に駆け寄ってくる。


「心配だったのよ! あなたが森の中で倒れてるのが見つかったって聞いてお母さん、いてもたってもいられなくて。お父さんは魔力切れで気を失ってるだけだろうから心配するなって言ってたけれど。」


 思い出した。そういえば俺は森で魔法を使っていたんだった。確か魔法の威力を上げる実験をしていたら気を失ったんだ。

 自分に何があったのか思い出す。それと同時に気がかりなワードが俺の耳に入ってくる。


「母さん、魔力切れって何のこと?」


「あら、お父さんからスキルについて教えてもらうときに説明してもらわなかったの? 魔力切れっていうのはその名の通り、魔力が枯渇した状態のことよ。」


「魔力切れになるとどうなるの?」


「スキルを使い過ぎて体が魔力切れを起こすと、その人は少なくとも1時間、人によっては1日近く目を覚まさないこともあるわ。レオは見つかってから3時間は気を失っていたわね。」


 さ、3時間?! 見つかってから3時間だからもしかしたらもう少し長いのかもしれないのか。というかそんな大事なことなんで言わないんだ。あの親父! まあ大方、スキルが使えるようになってすぐのやつが魔力切れなんてするとは思わなかったのかもしれない。


 それにしても森でどれだけ気を失っていたのかわからないなんて恐ろしいな。もしもっと深いところに行っていて、誰にも見つけてもらえなかったら。魔物とか動物とかに襲われて死んでいたかもしれないと考えるとゾッとする。今後は魔力消費が大きい時は気を付けないといけないな。


 

第4話までご愛読いただきありがとうございます!

間違いなどございました、教えていただけると幸いです!感想なども全て目を通しますのでどしどしお願いします。


引き続き次回作をお楽しみください

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