プロローグ
「ねみい...もう朝かよ」
そう言いながら俺、後藤大輔はベッドから起き上がり散らかった部屋を出る。父と母のいる典型的な一人っ子の俺だが、リビングに降りても誰もいない。父さんも母さんももう仕事に行ったみたいだ。
見もしないテレビをつけながら朝食をとる。続いて歯磨き、洗顔と、慣れたように学校に行く準備を済ませていく。靴を履こうとしたときにふと、テレビを消し忘れていることに気づく。
「やべ、テレビ消さないと」
リビングに戻ってテレビを消そうとする。
「昨夜、○○県△△市の女子大生が失踪しました。現在警察は、...」
テレビの内容を聞き、少し物騒だなと思いつつもテレビを消して足早に家を出る。
そんなこともありつつ学校に到着。教室に入ろうとする俺に後ろから誰かが声をかけてきた。
「おっす!大輔」
こいつは幼馴染の佐々木一。幼稚園からの腐れ縁だ。少し頭がよくないがいつも明るくてスゲーいいやつだ。勉強はできないが運動神経は抜群、おまけにイケメンときた。対して俺は、勉強は得意だが特にこれと言って秀でた特徴はない、もちろんだがモテるようなこともない。
キーンコーン、カーンコーン
「ほらお前たち、席に着けー」
担任の田中先生がチャイムと同時に教室に入ってくる。
「よし全員いるな。今からホームルームを...なんだ?!」
「キュイーン」
教室中が真っ白に光り、今までアニメでしか聞いたことないような音が教室中に鳴り響く。
「全員、今いるところから動くんじゃないぞ!!」
なんだこれっ!先生もこんな経験ないみたいで焦っている。そりゃそうだろう。こんなのアニメや漫画の世界でしか見たことない。みんなも焦っているみたいだ。その間にも教室はどんどんと光に飲まれていく。
俺の意識はそこで途切れた。
どれくらい気を失っていたのだろうか。根拠はないのだが、とても長い間、気を失っていた気がする。
目を開けてみるとそこは見慣れない天井だった。
(ん、どこだここ。てか喋れない)
声を出そうとしてもひねり出した泣き声みたいな声しか出ず、それどころか、体も自由に動かない。慣れない筋トレをした後に筋肉がプルプルする感覚。それを体の全身に感じる。痛いわけではないのだが、思い通りに体が動かないのがなんとももどかしい。
やっとの思いで頭を横に動かすと、近くにある鏡に顔が映った。
(...あ、赤ちゃん?)
誰だこれ、俺か、俺なのか?! 待て待て待て、頭の理解が追い付かない。白い光と、見たことない部屋、それに自分の姿が赤ちゃんときた。思い出した。俺はこの状況を知っている。アニメや漫画で見たことがある。
(俺、異世界転生しちまったのかぁーー!!!)
「オギャァーーーーー!!!」
その日、小さな開拓村に一人の男の子が生まれたのである。
プロローグを最後までお読みいただき、ありがとうございます。
初めての投稿なので手探りですが、読者様に楽しんでいたただけるように頑張らせていただきます。
週2話以上の更新を目指してやっていきます。
お付き合いどうぞよろしくお願いします。