08,
スマホ変えてきました!
結論から言うと私は一週間経った今でもこの家で暮らしている。
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庭を少し見て回ってから玄関に向かった。
庭は自然そのままと言ってもかなり整備されている。
玄関に向かう道にはシンプルだけれどオシャレな石畳みが敷いてある。しかも、石畳みが敷いてあるのは玄関までの道だけじゃなく、裏庭にあった東屋に行く通りにまで敷いてあった。
裏に続く道が気になり家に入る前に少し裏も見させてもらった。
東屋の周りには花畑があり、ネモヒィラなどの青い綺麗な花が沢山植えられてあった。
ネモヒィラみたいな小さくて綺麗な花が好きだったのでこの裏庭をすごく気に入ってしまった。
この花畑は領主様たちの趣味だって思いたい。
決して私の趣味嗜好を調べたとかじゃないと思いたい。
裏庭を出てからは若紳士に森の中へと連れて行かれた。
正直に言って森には熊とか猪とかが沢山いて、コケがビッシリと生えているのかと思っていた。
けれどそんなことはなく、この森はかなり整えられていて、コケは少ししか見つからなかったし、熊とか猛獣の唸り声ではなく可愛らしい鳥のさえずりが聞こえてきた。
森を十分程歩いた所になんと、もう一つ家があった。
先程の家とは違い、こちらは丸太で出来たログハウスだった。
さっきの家ではなくこちらの家に住むのかと尋ねると「ここも貴方の家になるのですよ」と言われた。
意味わかんない。
家を二つも?
もう御貴族様の思考を考えるのはやめた。
考えても平民には分からない。
それにこのログハウスも私の好みにドンピシャ。
何故ここまで私の好みと一致しているのだろう。
やっぱり私の趣味嗜好を完璧に調べあげてるんじゃない?
レンガの家よりも先にこのログハウスの中に入った。
ログハウスの中には無駄にデカい暖炉や、その暖炉を囲むようにでっかいソファーが三つ。
そして、使い勝手が良さそうなキッチンやら、書斎まである。
寝室は無駄にデカいベッドが二つもあり、部屋はものすごく広い。部屋が広ければ当然窓もデカかった。
窓から見える景色はすごく美しく、なんと川まで見えた。
正直、この内装大好き。
全部大きさはアレだったけれど、シンプルなデザインで家全体がすごく落ち着いた雰囲気で包まれていて、はっきり言ってもう住みたい。
と言いたいところだけれど、まだもう一つ家がある。
この目立たない家がここまで私好みだったら、あっちの家はどれほどの物なのだろうか。
すごい気になる。
ログハウスを出てレンガの家に向かった。
帰りの道も特に猛獣に出会すことも無く、無事にレンガの家に着いた。
あ、そういえば、リビングにいたんですよ。
熊が。
毛皮の絨毯になった姿で。
鳴き声も何もしないと思ったらあそこにいたんだね。
多分会わなかったのもそう言う理由だと思う。
レンガの家に着き期待を胸に玄関を開ける。
どうかシャンデリアとかありませんように!
扉を開けた瞬間目の前に広がるシンプルな内装!
床に敷いてあるのは赤い絨毯でもなく、大理石でもない、普通のタイル!
部屋を照らすのは普通のランプ!
良かったシャンデリアとかじゃなくて!
でも、内装以上に驚いた事がある。
家にはメイドさんと執事さんがいた。
それも、メイドさん二人に、執事さん一人。
てっきりもっとドバーっているのかと思ってた。
貴族の家にはそれぐらいいると思ってた。
ここは別荘らしいし、これぐらいが普通なのかもしれない。
でも、よくこんな少ない人数でこの敷地を管理できるよね、しかも私まで住んじゃって大丈夫かな?
何か自分にも出来ることがあったら積極的にやっていこう!
そう思ってました。
このメイドさんたち少数精鋭だったみたい。
一人で十人分ぐらいの仕事はやってのけちゃう人達でした。
当然私の出る幕はなく、いたれりつくせりの一週間でした。
まずはご飯。
一回の食事でメインからサイドメニューまで十品ぐらいあり、そのどれもが絶品。
パンはかったい黒パンではなく、フワッフワな白パンや食べたことないサクサクフワフワなパンもあった。
サラダも何故か絶品で今まで食べてきたサラダとは比べ物にならなかった。
お肉とかも一緒で焼いただけな筈なのに絶品。
一体私は今まで何を食べていたんだろうと思っちゃったりもした。
次にお風呂。
これが一番驚いた。
だってメイドさん達が体を隅々まで洗ってくれたんだもの。
初めてはすっごい嫌だったけれど、体を洗っている時にされるマッサージがものすごく気持ちよくてすぐに慣れた。
勿論、お風呂から上がった後にもマッサージが待っていて、こちらはアロマオイルなどを使った本格マッサージで一瞬で眠りに入ってしまうほど気持ちがいい。
マッサージを受けるようになってから肌がモチモチピカピカになった気がする。
最後にメイドさんや執事さんの心遣いだ。
さすがにいくらご飯が美味しくったって、マッサージが気持ちよくったってずっと一緒にいるのは疲れる。
たまには一人で休みたい。
そんなことを考えているとメイドさん達は私を一人にしてくれる。
私何も言ってないのに。
心でも読んでるのか?って思うぐらいに私が一人で休みたい時を分かってくれている。
もう、ここの暮らし最高すぎる。
凄いメイドさんや執事さんに囲まれて、美味しいご飯がタダで食べられて、マッサージも受けられる。
もう硬いパンは食べたくないし、マッサージ無しに生きていける自信がない。
それに、一週間の内にメイドさんや執事さんともすごく仲良くなった。
三人ともすごく優しくて三人の事が大好きになった。
その三人からここでずっと一緒に暮らそうと言われた。
多分ご夫人辺りからそう言えって言われてるのかもしれないけれど、その言葉に頷いた。
若紳士にもここで暮らすと伝た。
実は、この若紳士も一週間ずっと一緒に暮らしてたんだよね。
なんか護衛とか言って。
これからも私がこの家を出ていかない限りここで一緒に暮らすらしい。
勿論メイドさん達も。
4話ぐらいまでは主人公をガチの天国に行かせようとしたんですけど、設定多すぎじゃない?とか、あらすじ詐欺にも程があるだろ、と思っちゃいました。なので辞めました。
でも、このニセ天国が完結したらガチ天国編を書きたいな〜、と思ってます
よろしくお願いします┏○┓