反骨1
今日も平和な市立竜胆中学に、珍しくも転校生がやって来た。
見るからに逆ハーヒロイン、といった感じで、彼女が微笑んだだけでクラスの殆どの生徒を虜にしている。
が、そんな彼女に靡かないのが数人・・・。
そのうちの1人、椎名由里は転校生の自己紹介などに耳を貸さず、教師に隠れてスマホをいじっていた。
(・・・後であいつ〆る)
由里が“誰”に対して怒っているかは後で分かるのでここでは置いておく。
自己紹介を終えた転校生は、早速逆ハーヒロインっぷりを発揮しようとしていた。
由里と同じクラスで、竜胆中でも多くのファンを擁するサッカー部レギュラー、鳥丸鴉の隣の席が、転校生の席となった。
転校生は“普通”なら一発で恋に落ちるような笑顔で挨拶をしていたが、鳥丸はそれに対して素っ気無い。
(うわぁ・・・ほんま勘弁してよ。後でアックスにも知らせんと)
一連の出来事を視界の端で認識しつつ、由里はラインを送った。
―――――アックス
あいつから迷惑メール来た(#^ω^)
アックスにも来て欲しいけん、都合のええ時間教えて
すぐに返信が来て、次の授業時間となった。
サボる事になってしまったが、仕方がない。
そうしたやり取りの間も、転校生は鳥丸と交流を図ろうと頑張っていた。
全く相手にされていなかったが。