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憂鬱より愛を込めて。
青い空はいつしか忘却の彼方にあり、
戦乱は世界を飲み込んだ。
遠くで悲痛に泣き叫ぶ少女の声が聞こえる。
イかれた兵隊どもの怒号が聞こえる。
あとはただ軽薄な爆音と、乾いた爆風だけ。
白いはずの雲は煤と煙で真っ黒で、
赤いはずの夕焼けは爆撃機の陰でセピアに染まる。
遠くで気がふれてしまった夫人の口笛が聞こえる。
遠くで気がふれてしまった少年の笑い泣きの声が聞こえる。
あとはただただ真っ暗な心象だけ。
私の頭の中でまた多くの人が死んだ。
私の心の中でまた多くの人が死んだ。
私は悲しい気持ちになって、また眠りについた。




