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遠い夏の日に。
暗い部屋の中に輝く画面に張り付いて。
サボテンが枯れてる。
ボサボサの髪が。
言葉が流れる。
鈍い灰色の光が。
子供の笑い声が聞こえる。
遠くで。遠くで。
約束も何もかも放り出したエアコンの効いた部屋。
誰かの嗤い声が聞こえる。
耳元でずっと。
より返す波の音。
イヤホンの向こうで。
咲き誇る花火の色。
暗い画面の向こうで。
降り募る焦燥。
エアコンの効いた部屋で毛布にくるまる。
あの青色の中で。
死ぬにはいい日だった。
憂鬱な思いと。
真っ暗な視界と。
死ぬにはいい日だった。
きっとそれに理由はなかった。
遠い夏の日に。
…僕はまだ生きてる。