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第三十二話 機械都市②

「問題はその地下にどうやって入るか、ということ。きっと軍も策を張り巡らせているに違いない。……だとすれば、どうすればいいか?」

「普通に考えれば、二手に分かれるのがベストだろうな」


 言ったのはリニックだった。


「ええ、そう考えるのが普通でしょう。そこで、私たちは二手に分かれることにしたわ。私とリニックが地下にある祠に向かう。その扇動を、ライトニングとレイニー……あなたたちにお願いできるかしら?」

「出来るの。頑張るの」

「了解です!」

「ライトニングは祠に行かなくて良いのか?」

「剣に選ばれたのはあなたなのだから、必要なのはあなただけで十分よ」

「そんなもんなのか」

「そんなもんよ」


 メアリーはある場所を指さす。

 そこは、都市の中心部から少し離れた隧道だった。


「ここに地下トンネルの入り口がある。正確に言えば、地下鉄の入り口ね。ここから潜入して、隧道を経由して、地下の祠へ向かう。でも、地下への入り口は全て軍が警備しているでしょうね。このあたりをさらりと見た限りでも軍の人間がかなりの数居たし。けれど、意外と私たちには気づかれなかった」

「泳がされている可能性は?」

「無きにしも非ず、ね」


 可能性としては有り得る、ということか。

 リニックはそんなことを考えつつ、メアリーの話を聞いていた。

 メアリーの話は続く。


「……なので、とにかく二人には派手にやって欲しい訳よ。勿論、捕まるわけにはいかないわよ? 捕まってもいいぐらいにドンパチやらかして、捕まってしまっては元も子もないわけだし」

「それぐらい、分かりますよ。……じゃあ、決行日はいつにしますか?」

「早いほうが良いわね。でも、明日なんていうのは準備が出来ていないし、無理だと思う。だから、次の満月の日の夜に……でもしましょうか。次の満月っていつ?」

「三日後なの」


 ライトニングが即答する。


「じゃあ、それで行きましょう。三日後、私とリニックは地下のトンネルへ。ライトニングとレイニーは……好きに爆発なり何なりさせれば良い。ただし、善人を殺しちゃだめよ?」

「機能停止は?」

「許可します。必要に応じて」


 許可しちゃうのか、とリニックはそう思った。

 そして三日後、作戦の決行をするべく今日、僕たちは別れるのだった。



 ◇◇◇



 アントへのフライト中。

 ロマ・イルファとオール・アイは会話をしていた。


「次の満月はいつ?」

「次? ……ええと、確か三日後だったと記憶しているけれど」

「三日、ね。なら全然間に合う速度かしら」

「満月と何か関係性が?」

「シルフェの剣は月の力を使うと言われているわ。それに、魔力は満月に満ちている、とも言われているのよ。だから満月の日は一番剣と月が呼応しているタイミングと言ってもいいかしら。その意味が分かる?」

「……いいや、まったく分からないわね……。どういうことなの?」

「シルフェの剣は特殊な魔力を込められている。それが月と呼応するということ。月がアースやその他惑星に隠れてしまうと、その力は減少してしまう」

「じゃあ、満月のタイミングに行くのがベストなの?」

「まあ、そういうことになるわね」

「ふうん、成程ね。面白いことをよくまあ知っているわね。……私なんて、魔力の塊ではあるものの、そんなことまったく知らないのに」

「魔力の塊……そうね、あなたはそういう存在だったわね」

「メタモルフォーズと人間のハーフ……よくも人間は考えたものだと思うわよ」

「……恨んでいるかしら?」

「何を?」

「作られた命を、作られた人生を」

「……いいえ。今は、お兄様を救うために動いている。それはあまり考えないようにしているわ」

「じゃあ、やっぱり」

「でも、もし今度お兄様と私を使うようなら、たとえ創造主でも殺す」

「……、あなたたちもう自由よ、はっきり言って。問題はあなたが『お兄様』を助けたいために彼らをつきまとわせているだけ」

「問題でも? 私のことを『モノ』と扱った代償と思えば軽いものでしょ?」

「それも、そうなのかもしれないけれど」

『間もなく本機体は、アント国際空港に着陸します。……しかし、このまま進むと管制塔の指示を受けることになりますが、如何なさいますか』


 彼女たちの会話を切るように、コックピットに居るライラックの言葉が聞こえてくる。

 無論、会話は一方通行となっているので、ロマとオール・アイの会話が聞こえることは無い。


「……問題ない、とは言いがたいわね。上手く空港から離れることは出来る?」


 近くにあるマイクの電源をオンにして、オール・アイは言った。


『離れることは、出来なくは無いですね。けれど、何だか軍の戦闘機がたくさん飛び交っているような気がするんですよ。今のところ怪しまれていないようですけれど』

「……軍の戦闘機ですって? まさか、カトル帝国の連中、既に剣を集め終えたとでも……?」

「だとしたら、都合が良いじゃあない」


 オール・アイの独り言をロマが拾い上げる。


「今こちらに一本、メアリーが一本、帝国が三本持っている状態なら、ここで戦闘を始めてすべて奪い取ってしまえば良い。あとは『祭壇』へそれを持って行けば……」


 ロマの言葉を聞いて、オール・アイは何度も、何度も、頷いていた。


「うん……うん! 確かに、そうですね! それならばなんとかなりそうです!」

「じゃあ、それで行きましょうか」


 ロマは小さく笑みを浮かべた。

 決戦の時は、三日後。



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