変わってしまった日常
今日は2018年2月14日。
今日から一年前に私は死んだ。
死因はとある事故。バレンタインチョコを好きな人に渡そうと、いつもとは違う遠回りした通学路を歩いている途中、小型の飛行機が墜落してきて、私に衝突してしまった。これはある意味、凄い死に方なのかも知れない。もしかしたら、自分が特別な存在なのでは?と勘違いをしてしまうほど何ともいえない可笑しな死にかただった。
目を覚ましたとき見た場所を、まだ鮮明に覚えている。そこは何にもないただの暗闇だった。その時、私はこんな場所に独りでいるという不安な感情が全身を襲い動けなくなってしまった。ここから動いたら誰かがいるのであろう、そう適当な推測をし、私はこの場から動き出すことを決心し、立ち上がった。
少し歩いていくと、赤黒い世界が辺り一面に広がっていた。世にいう地獄というものであろう。その場から逃げるようにただただ、必死で走り続けた。50メートル走が13秒台の私からしてみればあのときは心臓が潰れてしまいそうなぐらい、苦しかった。
しばらく走り続けると、帽子で顔が隠れたスーツを着たお兄さんが私の目の前に立ちはだかった。もうそのときは体力の限界で、地べたに座り込んでしまった。
『あなたはさっき死んだあの少女じゃないか。』
「えっ」
なにをいっているんだこの人は。最初はそう思っていた。
するといきなりそのお兄さんは分厚いファイルらしきものを取りだし勢いよくあるページをひらいた。
『あなたの名前は三崎砂那。日本人。2001年11月30日にごく一般家庭に生まれる。
そして2月14日7時52分飛行機が墜落し、逝去。で、よろしいですよね?』
少し首を縦にふり、頷く。
『このファイルによるとあなたは、地獄行きです。』
「えっ、どういうこと!?」
いきなりのことすぎて頭がついていかない。
『あなたは小学生の頃、蟻の巣を潰したり、蟻を潰して遊ぶことが趣味だったらしいですね。』
えっ、何故それを知っているの!?
『そしてあなたはその時殺した蟻を大量に殺したため、あなたは地獄に行くことになっているのです。わかりましたか?』
まさか小学生のとき友達がいなくて蟻で遊んでたことが今では仇となって地獄行きという状況が情けなくて、泣きそうになっているといきなり腕を引っ張られた。
『今から選択肢を与える。
このまま蟻を殺した罪を償うために地獄へいくか、俺についてくるかこれはお前にある最初で最後の選択肢だ。早く選べ。』
いきなり変わった言葉遣いや、強引さに少し驚いた。
「……わ、私はあなたについて行きます。行かせてください」
そういわざる得ない状況であった。いざ、自分が地獄にいかされる状況になれば、誰もがこの選択肢を喜んで選ぶだろう。
私はこの時、この人に付いていくという決心をした。
そしてこの時、私はこの人の存在について薄々気づいしまっていた。