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魔女の箱庭  作者: Pon太
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プロローグ


お久しぶりです、Pon太です。「棚からチート」をほっぽり出してのこの「箱庭」です苦笑

ちょっと思いついちゃって、どうしようもなく「箱庭」を書きたくなったのでやってしまいました。


『これは、そう、昔のお話し。この世界の神々が、地上に住んでいた頃のお話し。


まだ、《国》という概念がなく、人々が寄り添いあって生きていた時代、神様と人間は手を取り合って仲良く暮らしていた。 神と人間とで節度ある距離を保ちながらも、一緒に食事をしたり、井戸端会議に花を咲かせていた。







しかし、そんな幸せな時は唐突に終わりを告げた。







ある時ひとりの女が現れたのだ。その女は背後に魔物の大群を従え、全てを蹂躙していった。



魔物の大群を巧みに操り、人々を襲い、街を壊し、神にさえ牙を剥いた。それだけでなく、彼女自身も戦いの中に身を置き、ある時は炎で草木を燃やし尽くし、ある時は水で全てを押し流した。

またある時は風で建物を吹き飛ばし、ある時は土で人々を生き埋めにした。眩い光線で諸々を薙ぎ倒し、世界を暗闇で覆った。その有様はまさに地獄絵図というべきだろう。







人類はというと、その蹂躙を黙って受け容れるべくもなく、その女に立ち向かって行った。しかし、その女の力は強大で、まるで歯が立たなかった。ついには神も戦いに参戦し、神と人類VS女の全面戦争が勃発した。神々の参入でやっと女に有効打を与える事ができたが、死に至らしめる事はできず、女の侵略を止めることは誰にもできなかった。

神は不死であるが、人間とは脆いもので、犠牲者は増えていくばかりであった。




このままではどうにもならないと悟った神々は、最終決断をする。神々が力を合わせ、持ちうる力の全てを出し切り、彼の女を打ち砕いたのだ。神の全力の前には流石の女もなす術はなく、呆気なく終わったかのように思えた。





だがしかし、神々の力は、良い方にも悪い方にも働いたのだ。大き過ぎた力は大地を抉り、山を削り、環境を破壊し、取り返しのつかないような所まできていた。その光景は、それはそれは悲惨な有様であった。







それから人類は長い年月を掛け、土地を耕し、草木を植え、命を繋ぎ、人類の復興を目指し日々を懸命に生きていった。徐々に人口を増やし、国を起こし、ゆっくりと、しかし着実に繁栄していった。





その一方で、疲弊した神々は傷ついた己を癒すために、長い眠りについた。また、この顛末を重く見た神々は、今回の事が2度と起こらぬようにと、人類と関わることを一切やめ、それ以来、地上から神の姿が消えたのだった。







この一連の出来事を人々は後に、《終末戦争》と言った。あの女が何故戦いを仕掛けてきたのか、また、どんな人となりだったかは謎のままである。ただ、戦火の中にありながらも、その女は非常に美しく、見る者全てを魅了したと、まことしやかに囁かれている。




また、この戦いで人類が学んだことも多くある。この戦いから100年余りが経って、《魔法》が発現したのである。発現した当初、人々は恐れ慄き、パニックに陥った。

しかし、年月を重ね、研究が明らかになるにつれ、《魔法》の利便性や有用性が明るみになり、魔法を使える者は高い地位に就いた。魔法を生活の中に取り入れたり、戦争に使ったり、その用途は多岐にわたった。




そして、あの女の事を史上初の魔法使いとして、また、史上最悪の魔女として、憎悪と畏怖を込めて《始祖の魔女》と呼んだ。

各地には様々な魔女伝承が残り、その内容は地域によって異なってはいるものの、代々の言い伝えとして今現在も残っている。辺境の地では、未だに魔女を恐れ、魔法を扱う女性を差別、迫害している所もある。





逆に、ある研究者は《始祖の魔女》が現れたからこそ、人類は協力し、国をつくり、発展していった。魔法も彼女の遺物だ、と崇める者もいる。





しかし、忘れてはならないのが《終末戦争》で《始祖の魔女》が使役していた魔物が、魔女亡き後も人々を襲い続けているということだ。従うべき主人をなくし、統率のなくなった魔物たちは世界の至る所に散らばり、各々の種を残していった。

魔法が魔女の遺産だと言うならば、魔物は彼女の負の遺産と言って然るべきだろう。








《始祖の魔女》が我々人類にとって必要な存在だったのか、はたまた不必要な存在だったかは、私には分からないし、きっと誰にも結論付けることはできないであろう。しかし、長い歴史の中で、この魔女の発現は良い面でも、悪い面でも大きな転換点であったといえよう。ーーーーーーーーー』




ウィクソン・フスラズ 著

『創世記』より













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