神界と外界
朝起きると、青髪青眼の幼女が、僕の体を布団代わりにしていた。人間だった頃もだけれど、ここではっきり宣言する。
僕はロリコンではない。幼児性愛者でもなくば、幼女の体で発情したことなど一度もない。だが、今この状態を誰かに見られてしまっては、僕の悪評が広まりかねない。どうにかして眼前の幼女を起こさねば成るまい。
幼女の肩をポンポンと叩き、うっすらと目を開けた瞬間、幼女の体を持ち上げ、床に落とす。これで、僕の悪評が広まることはなくなったのだけれど、しかしまぁ、汚ったねぇ部屋だなぁ。
この世界の事について分かったことといえば、取り敢えず、外界と同じような、と言えばまたクレイジーファザーに注意されてしまうのだけれど。簡単に言うと、外界は神界の産物であるという事。因みに、ガヴリの部屋は1LDKのアパート。
しかし、随分とまぁゴミ屋敷なもんで。一応、外界にいた頃は高校生で一人暮らし。金も無いから毎日自炊で、部屋にもベッドとテレビ、あとはクローゼットくらいしか無かった。勉強は常設の机でしていた。
取り敢えず、ガヴリを昼過ぎくらいに起こし、大掃除でもしようかなと。それまで何をするかと言えば死役所に行こうかなと。というのも先日、クレイジーファザーとの対談の際、この世界に僕の存在を証明する為の手続きをしてくれるらしい。
死役所に着くと、スーツ姿のクレイジーファザーが椅子に座り、新聞を読んでいた。
「お待たせしました、クレイジーファザー」
「おぉ眞木野世くん、私もつい先に着いたところだ」
新聞を折り畳み、クレイジーファザーが立ち上がる。クレイジーファザーの立ち姿は、少々畏怖を覚えるところもあるのだけれど、喋ってみれば、意外と温厚だったりする。
「君はここで待っててくれ」
そういうと、クレイジーファザーは受付から紙をもらって帰ってきた。
「ここに自分の名前を書いてくれたまへ、住所はガヴリールくんのものを使わせてもらう」
ちゃちゃっと書いてクレイジーファザーに渡す。そこから長い話を終え、手続きが終了した。
次は携帯ショップに行った。なんでも、死神間での連絡に不可欠らしい。案外人間社会と変わらないのだ。
ケータイで時刻を確認すると、もう正午だった。
「クレイジーファザー、そろそろ」
「ん、何か用事でも?」
「はい、ガヴリの部屋を掃除しようかと」
「成る程、承知した。頑張ってくれたまえ」
そう言って、クレイジーファザーと別れ、ガヴリの部屋へと帰ったのだった。
少し短めですが、今後は更新頻度上がると思います。