休息
あの日以来、なるべくあいつに近づきすぎないように気を付けてる。
近すぎると更にこの思いが強くなりかといって離れれば俺が耐えられないから
それに急に離れるなんてしたらあいつも不審がる…
俺の気持ちなんて知らないし仕方ない。
あいつはただの友達としか思ってないんだから突然避けられたりしたら良い気分じゃないだろう
その代わり滝口先生と絡むことが多くなった
俺は先生に誰が好きかなんて話してない。
けど俺は関わる人自体少ないから先生は誰を好きなのか気づいたんだろう
気を利かせているのか俺があいつから逃げたくなる良いタイミングで先生が現れる
だから俺はついそれに甘えてしまう。
特にあいつが彼女と帰る日は決まってなんだかんだ用事をいいつけて俺を呼び出す
今までは俺があいつと帰っていたそう意識させないためだろうか…
そして今日も例のごとく呼び出された
「今日はなんの用ですか?」
「ちょっとこの資料を運んでもらいたくてな」
「…俺のために無理して用事言いつけようとしなくていいんですよ?」
「そんなんじゃねぇよ。人手が足りないから呼んでんだよ。」
そういいながら髪をかきあげる
これは嘘をついてるときの癖だ。
短期間とはいえこれだけ毎日のように関わっていれば癖の1つくらいわかってしまう。
それほど俺は先生と時間を過ごしすぎた
先生はきっとすごく優しい人だ
だからきっと俺のためにさいてる時間をもっと他のことに使いたいはずなのに…
そう思うとすごく申し訳なくなる。
けど、同時に先生とのこの時間が消えたら俺は今の心の拠り所をなくしてしまう。この居心地の良い時間を手放す勇気がないんだ
「…お前またなんか難しいこと考えてんだろ」
頭をコツンと叩かれる
先生はため息をつきながら続けた
「確かに俺は少しお前のことを気にかけてる節はある…。けどそれはお前のためってのを建前にして俺がお前と話すのが楽だから設けてるんだ。決しておまえのためだけじゃない、おれ自身のためだ。わかったか?わかったらもうそんな顔すんなよ」
「…はいっ」
…先生はやっぱり大人だ
その言葉ひとつで俺の気持ちはこんなにも軽くなるんだから。
こうして今日も先生に助けられてるいるのだ。