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難関

「俺は決めた…今年の夏こそ彼女をつくる!」


突然、立ち上がり何を言い出すかと思えばこれだ

この台詞去年も聞いたんだけどなぁ


「去年は彼女つくれなかったもんな」


なんて俺が冷やかせば小さなくちをムッと尖らせ反抗してくる


「去年の俺はまだ子供を抜けきれてなかったからっ…!

だが、今年の俺はひと味違う!!」


「へぇ…主にどの辺が?」


「ふっふっふっ。わからんかね、ワトソン君!?」


俺はいつのまにか探偵の助手になっていたらしい…

目をキラキラさせながら訪ねられると困る。


「うーん…。わかりませーん、教えてホームズさん」


やる気なさげに聞き返すと嬉しそうに口元を引き上げる


「しょーがないなぁ!俺は気づいてしまったのだ大人への一歩を…。

それは…彼女が欲しいなら受け身では駄目だ!みずから動かなければいけない!!というわけで俺はナンパする!」


誇らしげにこちらを見てくるがこいつはバカなのだろうか

いや、バカなんだろう今さらそんなことに気づいたのか。ていうか今時ナンパとかやる人いるのか…?

そもそもナンパとか言う前にこいつ好き人居るみたいなこと言ってなかったっけ?


「あれ、好きな子いるんじゃなかったの?」


と俺が投げ掛けるとこいつは目を伏せながら答えた


「いるよ…。けど、さっき言ったろ!?俺は気づいたんだって…なにも行動しなきゃはなにも始まらないって。けど、俺は好きな子に話しかけるのもままならないし…そもそも、好きな人と付き合えるなんてすごく可能性の低いことだってわかったんだよ…。だったら、そこら辺の女の子に頑張って声かけるほうができるかなって」


なんて珍しく顔を曇らせながらボソボソと呟く


そんならしくない姿を見たからか、こいつの好きな子への想いを見せつけられたからなのか俺は思わず言ってしまった


「そんなのただの言い訳だろ、逃げだそんなもん。なんにも頑張ってすらいないくせに最初から無理だなんて思い込んで諦めんのかお前は?」


こんなのただの八つ当たりだ

自分だって逃げてるくせに最初から諦めてるのに

なに偉そうに俺は言ってんだろう

頭では分かってるのに口からはどんどん言葉が溢れてくる


「諦めるんならな、せめて精一杯あがいてそんでも駄目だったあとにしろ!

そもそも好きな子へ声をかけらんないやつが見知らぬ女の子に声かけられるとは思えないけどね?

それに…まったく可能性がないわけじゃない。お前がほんの少しでもなにかすることによってこれからどんどんその子との可能性は広がっていくんじゃねぇの?

なにヘコたれてんだよ…。らしくねぇよ」



わかってるこんなのただの独りよがりなアドバイスだ。

自分が勇気をだせないのとこいつがヘコたれてんのを重ねてみてるんだ…

それでも、こいつには俺のように臆病になって可能性を潰してほしくない

臆病者は俺独りで十分だ


「…たしかにらしくないねwもし好きな子に話しかけて嫌われたらって思うと言葉がでないんだ。笑えるだろ?けど、お前の言う通りだよ。試してもいないくせに怯えてバカみたいだwwありがとう、ちょっと勇気でた!」


そう言うと先程とはうってかわり意地の悪い笑みを浮かべ言われた


「俺も頑張るからお前も頑張れよ?」


「…俺はそういうのないから」


「またまたぁ~、俺は分かってんだからな?ずっと隣にいればそれぐらい気づくって!」


なんで、こういうことには気づくんだよ普段はとことん鈍いのに…


「俺はいいの。…側にいれれば十分。相手が幸せなのを見守れるならいいんだよ」


「でもそれじゃあ、お前が幸せになれない…!俺はお前と俺が二人とも幸せになれなきゃ嫌だよ…」


それは無理だ

俺がお前を好きな限り叶うことはない。

そう思っても口にだせるわけない


「そんな日がきたらいいんだけどなぁ」


「くる!絶対くるから!そもそもお前、顔整ってるんだから一言いえばきっとイチコロだぞ?」



そんなこと言わないでくれ

「じゃあ、お前は俺と付き合ってくれんの?」なんて意地の悪い言葉が出てきそうだ。


「そんなことないよ…。」


「俺は自分一人だけ幸せとか嫌だからな?大事なお前にも幸せになってほしい」


お前はわかってない。

その言葉だけで俺がどれだけぬか喜びするか

あぁ、当分諦めきれそうにないや


「…じゃあ、お前が幸せになったのを見たら俺も頑張るよ 」


「本当!?じゃあ頑張らなきゃな!」


なにも知らないでいつまでも笑っていて

君の幸せを見届けさせてほしい

だからそれまではこの想いをどうか許してくれ


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