3話 ダンジョン前夜
3話目が書けたので投稿しました。
読んで頂けたら、感想などよろしくお願いします。
3話 ダンジョン前夜
薄暗く、嫌な雰囲気の路地裏を抜け、僕とテスカは人通りの多い道へと戻ってきた。日は落ちて街灯の光が町を照らしていた。
「あのさ、テスカ。僕は、お金とか何も持ってないし、モンスターがどんな感じなのか知りたいから、これからダンジョンに向かおうと思っているんだけど、テスカはどうする?」
さっきまで赤の他人だったテスカに、駄目元で一緒にダンジョンに入ってくれるか聞いた。
「これからですか? 全然いいですよ。私も暇ですし。それに、アヌスさんの強さも見てみたいですしね」
「本当に⁉︎」
「ええ、本当ですよ」
僕は嬉しくなって、テスカの手を握りながら喜んだ。最初は驚いていたテスカも、だんだんと笑顔になり、一緒に喜んでくれた。
「でも、テスカはダンジョンに入ったことあるの? 武器も持ってない感じだし」
「もう、何回かはダンジョンに入ってモンスターと戦ってますよ。一応ステータスもありますけど、見ますか?」
「うん。見たい!」
僕は、とても興奮していて、即答だった。テスカは、ポケットに手を入れると、ポケットから紙切れを出した。この紙切れは、ステータスを自動で表示してくれるとても便利な道具だ。
駆け出しのアサシン
Level1
ステータス
剣技 80
断ち力 60
剣の速さ 1秒間に10回
魔力 30
スキル・・・・
魔法 回復
テスカは腕を組んで、「どうですか!」と言わんばかりの顔をしていた。
「Level1なのに、剣技とか剣の速さは、高いね。だけど、どうしてLevelは1のままなの?」
「それはですね。モンスターを倒したからと言ってLevelが上がる訳ではないんですよ」
僕は、Levelの上げ方を知りたくなってきた。
「それじゃあ、どうやったらLevelは上がるの?」
「Levelを上げるには、200層あるダンジョンの、20層ずつに出てくるBOSSモンスターを倒さないと行けないんです」
「BOSSモンスターを倒さないと、Levelは上がんないんだ」
テスカはちょっとだけ、声を小さくして話しを続けてくれた。
「そうなんですよ。それにLevel上げで1番怖いのは、出てくるBOSSモンスターの強さが異なると言う事なんです」
「モンスターの強さが異なるの?」
今日、冒険者になった僕には、疑問しか出てこない。だけど、そんな僕にテスカは、分かりやすく教えてくれている。
「そうです。BOSSモンスター以外は、階層ごとに出てくるモンスターのLevelが決まっていて、冒険者達は自分のLevelに合わせて、階層に入ることが出来るんですが。BOSSモンスターだけは、強さがランダムで予想がつかないんです」
「っていうことは、200層に出てくるようなモンスターも、20層に出てくることがあるってこと?」
「極端に言ってしまえば、そうゆうことになりますね。なので、Level上げは冒険者達に取って1番の難関なんです」
「それじゃあ、Level上げはまだまだ出来なそうだね」
「それはそうですよ。それよりアヌスさんのステータス見してくださいよ」
テスカは、手を差し出しながら言ってきた。僕はポケットに入れていた、紙を取り出して、テスカに渡した。
「アヌスさんのステータスは、魔力以外は高いですね」
「えっ、そうなの?」
「はい。普通は20とか、15なんですよ。まあ魔力が0って言うのもすごいですけどね。それにもう一つ驚きなのは、スキル、魔法、能力、冒険者にとってとても重要なもの3つを持っていることです」
テスカの言っていることが、ほとんど分からなかったが、とりあえず首を振っていた。
「能力はLevelを上げると目覚めるんですよ。能力によって目覚めるLevelは違うんですけどね。でもどんな能力か気になりますね」
「気になるけど、まずはモンスターがどんな感じなのかって方が気になるな」
「アヌスさんは、目の前のことしか頭に入ってこないタイプなんですね」
テスカは笑いながら僕に言ってきた。そんなこんなでいつの間にか、ダンジョンの前までやってきていた。
「この中にあるのが、ダンジョンです」
「この中にダンジョンがあるか。早くダンジョンに入ろう」
「そうですね。行きましょうか」
僕とテスカは、ゆっくりとダンジョンのある塔の中へと入った。