quest27 Insensitivity ~鈍感~
すいません。かなり長く悩んでました。ちょっとはまってますが、抜け出せるように頑張ります。
みなさん、これからもよろしくです!!
コウとアルは、左回り順路の方から進んでいた。
2本道の左を選んだ二人だが、選んだ方の道は、選ぶまでに5人で歩いた道とさして変化はないようだった。
っとコウは、先ほどの自分の行動とナギとの別れ方に少し反省をしていた。
ーーーーちょっときいてみるかな??
「アル??俺が悪かったかな??
どうよ正直に答えて??」
「正直どっちもどっちネ。」
「どちらにもいい理由があるし、どちらも自分勝手ネ。」
笑いながら、言うアル。
「なんか楽しそうだな・・・」
「それはそうネ。他人の修羅場やいざこざを第三者からみるものほど楽しいものはないネ。」
満面の笑みでそう答えるアルに黒い星がきらめく。
ーーーーーーあ、やっぱりこいつルッコの友達だわ。
そう思いながら、
「いい趣味してんな・・・はは。」
と笑うコウ。
気を取り直して、違う質問をしてみる。
「で、どうよこの世界。VRMMORPGは??」
「最高ネ。こんなにきれいな世界観のゲームは初めてネ。」
「やっぱりか。
すごいスケールだよな。俺もいろんなゲームやってきたけど
その中でもダントツ1位だわ。βテストの時は、そんなにたくさんのモンスターは出てこなかったけど十分な楽しさだったしな。」
ーーーーまあこの際だから疑問点はすべて質問しとくかな。
「で前から気になってたんだけど、その語尾はやっぱり武人意識??」
「まあ、そうネ。日本の貴婦人はこういう言葉遣いするネ。
ワタシは、留学生ネ。中国からの交換留学生ネ。」
ーーーーーーーなるほど。なんかやっとこいつのイメージがつかめた気がするわ
しかしながらネをつけるタイミングとイントネーションが明らかにおかしい。
たぶんいろんな人の影響をうけたんだろうな。
と、心中で慰めるコウだった。
「へ~。俺も外国語はぼちぼちだけど。中国語は習ったことない。」
「にしても日本語うまいな。なんか母国語に武人オタクが組み込まれた人かと思った。」
「まあ、結構日本にいたのネ。7年くらいだったネ。」
「長いな。」
「第2の故郷って感じか。」
「そうネ。」
だんだんと進むうちに地面の構造が変わってくるのを感じたコウは
注意をし始める。
「アル。世間話はここまでだ。楽しかったけどここからは気を引き締めていくぞ。」
「とその前になんかお前の声お・・・」
「わかったネ!!出発するネ。」
「お、おう。」
地面のタイルはひび割れた正方形。グレー色でいかにも何かの仕掛けがありそうな。感じである。
「おっと、そこのタイル沈むぞ。」
「了解ネ。」
ーーーーーーー今回は、余裕そうだな。アルもなんだかんだ戦力になるし。
そう思いながらアルを見ると、俺が注意したタイルを堂々と踏み込むではありませんか・・・
「アル!?お前??なにしてんだ・・・」
「タイルが沈むから気を付けて踏むようにって・・・」
そう言いかけたとたんに横から針が飛び出してくる。
ヒュン
「あぶね!!」
「おっと危険ネ!」
慌てて前へと飛び出る二人。
「アル??ここはトラップ系のダンジョンなんだから注意して進めって
言っただろ??」
「まあ、避けれたから結果オーライネ。OK牧場ネ☆」
壁に手をつきながらいうアル。するとその壁も沈み、後ろからズシンと大きな音。
「走れ!!」
「岩ネ。」
「みりゃわかるだろ。」
・・・
「ほらいわんこっちゃない」
「ダジャレネ。寒いネ。」
「お前のOK牧場もだいぶ古いぞ。」
「お互いさまネ。」
「いいから走れ!!」
走って逃げるコウたち。
坂道に入り、一気に岩が速度を上げる。
「やばい!!このままじゃ、追いつかれる。」
「あそこに穴があるネ。」
「入るぞ!!」
俺たちは、ギリギリのところで穴に入る。
「飛び込め!!」
二人はジャンプして、ようやく難を逃れる。
「は~危なかったネ。」
「まったくだ。気をつけろよ・・・」
はあはあ。
かなりの長距離ランニングしかも坂道ダッシュさすがのふたりも疲れが見え始めていた。
そんな中・・・
アルやっぱり日本人じゃないな・・・距離感が近い・・・
あと、なんかいい匂い・・・まあ、アメリカの人とかも結構香水強いからな。
コウは笑いながら言う。
「アル。近い近い。結構疲れてるけど大丈夫か??
少し休んだら進むぞ。結構進んだからあと少しだ。」
「平気ネ。」
それから少し休み今度こそ注意を向けながら進んでいく。
頭一つ大きな穴が見えてきたところ口を開けるコウ。
「アル。あそこはボス部屋。なんか雰囲気が違うのはわかるか??」
「勘でならなんとなくならわかるネ。」
ーーーーーーー野生の勘ってやつか・・・
「よし、ダンジョンとかで大切なのは勘とか雰囲気だ。」
「一番怖いものは、不意打ち。唐突。予想外。この3つだ。似ているけど
死なないためには重要。」
「まあ、アルはそこらへんは敏感だから心配してない。心配なのは・・・いやなんでもない。」
「心配なのは??」
「あいつらのほうだな。シンなんかはお調子ものだし、ルッコもナギも皮被ってるが結構雰囲気に流されやすいからな。そのためにもはやくこっち側のダンジョンをクリアして合流地点に急ごう。」
「そうネ!!」
「じゃ、進むぞ!!」
コウとアルは、怪しい雰囲気を醸し出す道を進んでいく。
ーーーーあいつだな。
今までみたモンスターとは、また一回り大きさが違う巨人型のモンスターが立っていた。
そのモンスターの頭上にはDeceived Titanという名前。
「騙しの巨人か・・・」
ーーーーまあ、あの大層な剣に当たらなければ倒せる。攻撃力は高そうだが、防御力と俊敏性には欠けるだろうな。
「アル、ヒットアンドリターンってわかるか??」
「当て逃げネ??」
「まあ、簡単に言ったらそうなる。攻撃力が高いが俊敏性が低い敵に有効な一般的な作戦戦術だ。」
「なんか、本当の闘いって感じがするネ。」
「そう思ってくれた方がいい。」
「ほら来るぞ。斧にだけは注意しろよ。」
「りょーかいネ。」
そう言い合ってお互いに注意しながら攻撃を与えていく。
「ソニックアクセル!!」
「炎渦!!」
コウは、加速し、素早く巨人の背後に回り、灼熱の一撃を与える。
「次、アル!!」
「はいネ!!」
アルは、声に応え、飛び出していく。
アルが攻撃を与えている間にこの作戦をもう一度吟味する。
ーーーーーーー彼女の装備は、爪で攻撃。martial(武道家)。攻撃と素早さに特化したプレイスタイルに対して、ヒットアンドリターンは最適。だが、圧倒的に防御が低いのが難点。
時間はかかるが、安全第一に進めるのが一番だろうな。
死ぬよりはマシだ・・・・・・
時間はかなり経過していくが、着々と騙しの巨人の体力を削り、ようやく1割まで、減らした二人。
よし、アルとどめ指して来い!!
ーーーーーー前は散々だったけど、今回はいいところをみせてやりたいネ。
そのために、シンとルッコとも特訓したネ!!
「フューリ―スワイプ!!」
まるで、ネコのようなひっかきを繰り返し、左右交互に切り裂き続ける。
騙しの巨人の動きが止まり、コウたちの動きも止まる。
「終わりネ!!」
最後の左ひっかきを終え、スキルが終了する。
「よし、よくや・・・・・・・前に飛べ!!アル!!」
一瞬かなりびっくりしたアルだが動物の勘とやら働いたのかもしれない。
すばやく、前に緊急回避をする。
気配の正体は、騙しの巨人。
強攻撃の大斧を振り回し、回避したアルの方へと向かう。
「直撃こそは、避けたもののかすっただけで体力は7割が削られ、体力ゲージは黄色へと変化していた。」
「アル!!」
確認を取るため、駆け寄る。
「アル!!大丈夫か??」
顔を歪めながら答えるアル。
「ちょっとかすっただけネ・・・」そういうと立ち上がろうとする。
「アル!!とりあえず、ポーションを!!」
「最後は、自分で行かせてほしいネ。仕留め損ないほど心がモヤモヤするネ。」
「ダメだ・・・・・・」
「なぜネ。いかせてほ・・・・・・」
「だから、ダメだって!!」
突然声を荒げるコウの口調に少し、目を大きく開いたアル。そして何も言わせないその表情は、ゲームの中とは思えないほど緊迫したものだった。
「わ、わかったネ・・・・・・声大きいネ。」
「す、すまない。少し興奮してしまった。頼むから、ポーション使って回復してくれ・・・・」
「うん」
「すぐ、あいつを殺してくるから待ってろ!!」
「うん・・・」
アルの胸の中で少し違和感が残る。
ーーーーーー殺す。なんてコウが使うとは思えない言葉ネ。それにさっきの顔は本気だったネ。あんな顔のコウは見たことないネ。少し心配ネ。
たぶん勘違いだと思うけどネ。
少し、不安になりながらポーションを口に含み、身体的な回復を行う。そして重くのしかかってきた疲労感に耐えられず、目を閉じてしまう。
ーーーなんか力が抜けたネ。でもこれじゃ・・・眠ってしまうネ・・・・
そして、静かに暗闇に身を投じたアル。
ーーーーーーーーくそ!!くそ。安全第一に行こうって言ったのに。言ったのは俺なのに・・・情けない。くそ。とりあえず、あいつは消す。すぐに消す。もう傷つけさせない。
暗い表情でスキルを発動するコウの顔を見ているプレイヤーがいるはずもなく
スキル名は告げられる。
「ソニックアクセル・・・」
ゆったりと動き、騙しの巨人に一直線に向かうコウ。
最後の一撃の瞬間だけ力が入る。
「炎渦!!!!」
体力を0にし、ようやく青い光に包まれていく、
しかし、コウは、通常攻撃を消えていく青白い光に空を切りながら続ける。
右。左。右上。左上。切り上げ。交差切り。
そして無言のスキル発動。
炎渦。炎渦。炎渦。炎渦。炎渦。炎渦。
ようやくスタミナとMPが切れ、動きが止まる。
「はぁ。はぁ。はぁ。はぁ。」
次第に、コウの息も落ち着きを取り戻し少し長い静寂がボスエリアを包む。
ーーーーーーーーーくそ。まだたりない。守れない。俺が弱いから。弱いから。
目をつぶりながら懺悔のような心の叫びをするコウ。
と、ぐったりしていたアルも起き上がり、状況を確認する。
ーーーーーコウはやってくれたみたいネ。
すっかりダンジョンをクリアし有頂天になるアル。
「コウ!!」と大きな声で呼ぶと、こちらを振り向くが顔は下を向いたまま。
「コ~ウ~??」様子が変な気がしたアルは、もう一度心配そうな声色でコウを呼ぶ。
すると、コウは顔を上げ
「アル。ダンジョンクリアだ。やったな。」
そう言ったコウの言葉でアルにはさらに実感がわく。
思わず、感情が抑えきれなくなったアルはコウの手を握りしめ、耳元に感謝を伝える。
「コウのおかげネ。βテストの時は、ボロボロだったけど今日は、結構ダメージを与えられたネ。成長してるネ。コウ。ありがとうネ。」
一方、アルに耳元でささやかれた差後は上目遣いで感謝を伝えられたコウは少し動揺する。
「ま、まあ前回よりは、よ、よかったな。うん。」
コウの頭では、最後のアルの言葉が反芻していた。
「コウ。ありがとうネ。コウ。ありがとうネ。」
ーーーーーーー上目遣い。いや破壊力がすごい。
とは思ってたけど・・・ここまでとは。なんか男なだけにボーイッシュな感じの女の子に見えてくる。
スキンシップか・・・いい匂いがするか・・・なんかいいかも。
あれ?なぜだ。男なのに・・・・・・男なのに・・・・・・
なぜかドキッとしてしまう・・・・・・これは、危ない。
俺もしかして、ホモなのだろうか。
アルは男。アルは男。
と、その状態が続いていると、左上の体力が激しく減ったり増えたりしているのが目に入ってくる。
ーーーーーーーあいつらも今頃はボス線か。それにしても体力の増減が激しい。
回復はルッコだからMPがきれるとやばいな。そろそろ合流地点に移動して逆ルートから助けに行こう。少し、言い過ぎたな。謝るか。
「アル??そろそろルッコ達のところに合流しよう!!」
二人は、移動しながら話始める。
「もう、謝る決心はついたネ??」
「まあな。相手の意見も尊重しなきゃな。」
アルはぼそっと独り言をいう。
「ナギは、無心で心を許してるからケンカするネ。それをわかってやらなきゃ
男じゃないネ。鈍感ネ。」
「なんかいったか??アル??」
「なんでもないネ!!」
「なんで機嫌悪いんだよ。お前まで。さっきまで喜んでたのに・・・」
「知らないネ。」
アルが不機嫌な理由をコウが知る由もなかった。
コウ×アル。この組み合わせは初ですね。
まさか自分でも書くと思ってませんでした。
次回は、ナギのピンチからです。
感想、誤字脱字は報告くれると助かります。(>_<)




