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Grand Quest Online (仮)  作者: プードル
GQOの世界~本サービス開始編~
27/32

quest26 Arrogance ~驕り(おごり)~ side nagi

すいません。お待たせしました。


ナギ視点 続編です。


前回は、口論となったナギとコウは別行動になったところですね。



スフィーダ 右回り順路



コウと別れた私は、ずんずん奥へと進んでいた。


途中にルッコが、私を止める声がした気がしたけど、

あそこで、止まったんじゃ、私の収拾がつかない気がしたから

きこえなかったふりをしていた。


―――――――なんで、わかんないの!今日は、経験値を得るためにスフィーダに、行くって言ったくせに。

コウは、ちょっとずれてるよ。その、経験値がダンジョンの経験値を得ることだと思ってたなんて。








「そろそろちょっと戻ろうかな?

あれ…ここどこだっけ。」




「と、とりあえず、元来た道を戻ろなきゃ。」



ギシャー



!?



「何?あのモンスター。」



大きな一つ目の羽のはえたコウモリのようなモンスター。

見るからに鋭利な歯をもっている。特に、犬歯が発達して、まるでライオンの歯のような作りになっている。


私が状況を整理するのも待たずに、そのモンスターは上空から。襲いかかってくる。


とりあえず、戦わなきゃ。


前は、何もできなかったけれど今回はそうはいかない!


ナギは、自分自身を奮い立たせて、立ち向かっていく。


モンスターが飛び付いてくるのを、避けると、


モンスター名が見えた。


遺跡のコウモリ(ルーインズバット)




―――――やっぱりコウモリ。



とにかく、あの、凶暴な犬歯の噛みつきを受ければひとたまりもない。


一回攻撃、すぐ逃げるの繰り返しが一番安全。


そう判断したナギは、避けては、短剣ドルヒで、攻撃の繰り返し、ようやくルーインズバットを倒す。

ルーインズバットが青白い光に包まれ、ナギは歓喜に包まれる。


「やった!私もできる。」


そう、確信したナギは時間がかかりながらも、次々とルーインズバットを倒していく。




ふと、避けたルーインズバットの攻撃の後、

ルーインズバットの弱点が赤い円で示された気がしたナギは、モーションをとり、攻撃に移る。


pointattack(急所刺し)!

βテストでは、攻撃さえままならないナギは、驚く早さで戦闘を理解していく。

「これが、スキル!」

ポイントアタックは、



βテストでは、上がることもなかったレベルも上がり、さらに喜びを覚えるナギ。


「ルッコ、アル!レベルあ…」


そこまで言って気づいた。


「私、一人だった・・・」



やっぱりみんなで一緒に行けばよかった。


あの時、ルッコに呼び止められたとき、変な意地を張るんじゃなかった。


でも、自分のせい。


「まずは合流しなきゃ!!」



ナギは、道の結合地点に向かうべく、どんどん先に進んでいく。


体力ポーションはとっくに空になり、魔力ポーションを残すのみのアイテムバッグを片手に複数のルーインズバットと対峙するナギ。


ーーーー今は、ルーインズバットだけでそこそこの数ならどうにかなるけど、

このままじゃ、やられるのも目に見えてる・・・


「ポイントアタック(急所刺し)!!」


最後のルーインズバットを倒し、疲労困憊になるナギ。

その場に座り込むのを止めることはできなかった。

いくら、体力がポーションで回復したとしても、精神的な回復は難しい。

これがVRMMORPGの闇の部分。ひどく現実を自覚してしまう瞬間でもある

「はあ、はあ。もう、ダメかも。」



その場に倒れこむナギを横目にダンジョンはひどく残酷な洗礼を浴びせようとする。









ズン!!ズン!!




大きな地響きとともに、現れたのは、先ほどよりも大きなルーインズバット。

ビッグルーインズバット二体と5メートルほどの巨人が姿を現した。


その角が生えた鬼のような巨人は甲冑を身にまとい、豪快な3メートルの斧を持ち、


強靭な体は防御力の高さを表しているようであった。


「あ、あれは入口の壊れた銅像・・・」













「ナギ!!」

「ナギちゃん!!」


声の先を見ると、シンとルッコが心配そうな顔で私を呼んでいる。


「ルッコ!!シン。」



二人は、素早く、ナギに近づき、立ち上がらせる。



「何??あのモンスター??」


「わからねえ!さっきとは格が違うぞ。名前は・・・

BigruinsBat(ビッグルーインズバット)

Deceive Titan(騙しの巨人)Area boss

まじか・・・エリアボス・・・

おい!!ルッコ、ナギ、体力ポーションまだ持ってるか??」



「さっき使ったので終わった。」


「わ、私も切れちゃってる。」



「そして、当然俺も切れてるっと・・・とりあえず、俺が盾役タンクになるから、ルッコは回復担当よろしく。」


「OK!!シン。魔力ポーションはまだ、十分にあるから、攻撃力だけ確認して。」


「ナギは、後方で休んで、私が狙われたときだけ攻撃して、

休めたら、シンが引き付けてる間に攻撃して!!」


「たぶん、時間かかると思うけど、すべては、攻撃力次第。」



MMORPGのパーティ戦闘において重要なのが、

役割分担である。

その中でも、主に3つに分類される。

アタッカーと呼ばれる敵にダメージを与える攻撃系役職

タンクと呼ばれ、壁役・盾役、敵の攻撃を受けてひきつける防御・挑発系役職

ヒーラーと呼ばれるパーティを回復させ、時には幻術・妖術を使う

治癒・幻影系役職の3つに分かれる。



そして、タンクが攻撃を受けたダメージをヒーラーが全回復すれば、

非常に有利な状態となる。なぜなら、魔力ポーションが切れない限り

タンクが倒される場合が存在しないからである。



そして、今






「来いよ巨人!!」

シンが防御の態勢に入り、騙しの巨人の攻撃を受ける。



ルッコが回復魔法<レジリエンス>を詠唱する。

「レジリエンス!!」


黄色い光がシンを包む。


「体力は・・・・全回復!!よし、いけるぞ。」


「ルッコ、ナギ、俺がこいつを引き付けるからビッグルーインズバットに

攻撃をどんどんかませ!!」


「OK!!」

「わかった。」


シンから指示を受けた二人は、ビッグルーインズバットにターゲットを絞り

攻撃を開始する。


ルッコは、サブウエポンの弓を取り出し、素早く攻撃を繰り出す。

「クイックアロー!!」


彼女から放たれた二つの矢は、ビッグルーインズバットに一直線向かい、

命中する。


「ナギ!!行けるよね!!」


「うん!!」


ナギは、ルッコのクイックアローを受け、よろついたビッグルーインズバットに

向かい、今日の収穫を披露する。


「ポイントアタック!!」

急所を突かれたビッグルーインズバットのHPはみるみる減り、

空白となる同時に青白い光に包まれていった。





一方、シンが反撃のスキルを発動する。

「やられてばかりじゃ男が廃る!!インパクト!!」


大きくジャンプして大剣を地面に振りおろし、衝撃波と地割れが騙しの巨人に

襲い掛かる。




インパクトを受けた、騙しの巨人(Deceive Titan)は、動かない。


その巨人の頭上には、衝撃のマークが点滅している。




「ルッコ、ナギ!!あいつ、今混乱状態だ!!今のうちに、総攻撃だ!!」



三人は、自分のスキルをフル使用し、ここぞとばかりに、攻撃に繰り出す。



「ルッコ!!私が攻撃していく場所にクイックアローを打ち込んで!」


「シンもお願い!!」


「わ、わかったわ!!」

「おう!!」




「ポイントアタック(急所突き)!!」


赤のサークルで表示された騙しの巨人の目をめがけて高く跳躍し、

鋭く尖った短剣ドルヒで攻撃。



「クイックアロー!!」

「ブーメラン!!」


大剣と矢が騙しの巨人のweekpoint(弱点)の目に刺さり、切り裂く。




ウガッー!!



騙しの巨人は、苦痛な声を上げ、感情を高ぶらせる。



残り3割ほどになった騙しの巨人の目が再生し、その眼光が赤く光る。

「もう一度!!ポイントアタック!!」


「おい、待て、ナギ!!」


混乱状態から回復した騙しの巨人は、

攻撃しようとするナギに向かい、斧を振り下ろす。


ザンッ!!  ドン!



ナギは、受けてはいけない強烈な振り下ろしを直に受け、

地面に叩き付けられる。


「キャー」




「ナギーーー!!どうしよ・・・シン!!ナギが・・・ナギが・・・」



「ルッコ!!落ち着け!!また繰り返す気か!!」


・・・!?ルッコの中で、βテストの時の光景がフラッシュバックする。



「光に包まれてないってことは、まだ、死んではない!!


おそらく気絶状態だ!!俺が、攻撃を受けるからその間にナギを連れ出して


遠い所へ!!」


「わかったわ!!」


シンはインパクトを繰り出し、騙しの巨人の注意を引き付ける。



「今だ!!」


ルッコは、ナギに駆け寄り、脇の下から抱える形で、戦線から離脱させる。


ルッコは、歪む視界を耐え、手でナギの

ほっぺたを叩きながら話しかける。


「ナギ。早く、目を開けて。早くしないとシンが・・・今度はシンが・・・」



そうつぶやいたルッコの手で震える感触。

「う、」


「ナギ!!」


「る、ルッコ??」


「うん、ルッコだよ。」


「し、シンは??」


「今、身代わりになってくれてる。まだ戦える・・・??」


「うん。行ける。いかなきゃシンが!!」


「うん、あいつもそろそろ限界かも・・・私の魔力ポーションも切れてるから

たぶん、スキルが使えるのは、二回が限界・・・

自動MP回復時間は長いから期待できない。」


「ラストチャンスだね・・・次で決めなきゃ全滅しちゃう。」


「行くよ!!ナギ。立って!!」


そういったルッコは、ナギを立ち上がらせ、

戦場へ復帰させる。





「おい!!遅いぞ。くたばるところだったじゃねえか!!」


「あんたがくたばっても、私たちは逃げるだけだから心配しないで。

まあ、<レジリエンス>!!これで回復させるけどね!!

あ、ちなみに今の最後だから、もう受けても回復できない。」



「おいおい、とことんSなんだから。ルッコちゃんは。」


「ナギちゃん大丈夫か?あれだったら・・・」


「大丈夫です。あと、ちゃん付けやめてください!!

気持ち悪いです。」


「ぼくちゃんもう泣きたい・・・っと

二人ともそんだけ元気があれば行けるな。」



傷だらけの三人は一列に並ぶと、ルッコがラストチャンスの作戦を告げる。

「シン!!作戦は、一番最初と同じ!!あんたが受けて、

私が、クイックアローで目を攻撃。その隙にナギがトドメを指す。」


「了解。あと3割ほどあるから、最初に俺も最後のインパクトをぶち込む。


運が良ければ、混乱状態になるから狙ってみる!!」



「わかったわ!!じゃ、いくよ!!カウント3!2!1!0!」


ルッコの0の掛け声で走り出す、シンとナギ。


「インパクト!!」

最後のMPを振り絞りスキルを発動させる。

混乱状態にはならないが、クリティカルヒットで1割の体力が減る。


「ルッコ!!」


そう言い騙しの巨人の横払いを受け、吹き飛ばされるシン。

壁に激突し、つぶやく。

「くっ。さっきよりも攻撃力増してるじゃねえか・・・」


「任せて!!クイックアロー!!」

こちらもクリティカルヒットでさらに1割の体力を削る。




「ナギ!!トドメ指しちゃって!!」


ものすごい速さでダッシュし左手でルッコを吹き飛ばす。



「はあーーーーー!!ポイントアタックーーーー!!!!」



最後の一撃を騙しの巨人に与えると、右膝、左膝と地面に付き、


地面に手をつき、こうべを垂れる。



ナギは、振り向きルッコとシンに向かって歓喜の声を上げる。


「やったー!!」


ーーーーーーーーやっぱり、みんなで喜べる・・・この方が絶対に楽しい。

苦しさとしんどさは半分。でも楽しさと達成感は2倍!!



しかし、ルッコとシンは動けず、慌てた様子でなにか口を動かしているのが見えた。



ーーーーーーあれ、なんで喜んでないの??

楽しくなかった??私だけ??



音が聞こえないので、口の動きを読む私



「つ?う?う、ち?し?うし、お?ろ?うしろ??」

そこまで口の動きを読み、やっと声が聞こえてくる。


ルッコの声とシンの声だ

「ゥ、ㇱ、ㇿ、うしろ~~!!!」

「うしろだ!!」



ーーーーーー後ろ!!



すぐに振り向くと、斧を振りかぶる巨大な影が・・・



ーーーーーーーごめん、二人とも。私、油断してた。浮かれてたんだ。一人でモンスター倒せるんだって・・・次こそは、死ぬ・・・


死を受け入れ私は、目を閉じた。









To be contiued

ナギ。絶体絶命。


コウ早く助けに来て~!!



次回に続く。

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