quest14 Novice ~未熟者~
さあ、一日目は、町の中を散策して過ごしたナギ!
10日目、そして、βテスト最終日です。
ナギ、戦闘に出ます。
では、どうぞ!
______15:00 自宅
今日は、祝日。だけど習い事はいつでもある。
βテストのプレイ時間を少しでも長くするために、
わたしは、習い事を前倒しした。当然、できなかったものもあったけど、できるものは、全てした。
そして、迎えた『自由の時間。』
「今日は、短かったけど、最終日。
10日分、楽しんでやる!」と意気込んでいた。
LANケーブルをブレインギアにつないでセット完了。
わたしは、旅立つ。
connect on!!
______サンシア地方、市街地
ゲームパッケージには、映像酔いをする可能性があります。
注意してください。、と書かれてあったが、
わたしは酔わなかった。船にはよく乗っていたから。
―――――――今日は、戦ってみたいな。
そう思ったわたしは、クエスト本部を探した。
昨日、町を散策したから、クエスト本部を探すのは簡単だった。
わたしは、よし、とクエスト本部前で、意を決してクエスト本部へ入った。
________クエスト本部
扉を開けると、周辺には、数人の冒険者たちが、
今後のダンジョンかわからないが、冒険の仕方について
話し込んでいるようだった。
奥には、恐そうな大柄の男性が受付で笑って話している。
あの人だ。と思ったわたしは足を進めた。
横を通るとき、冒険者に不思議そうな顔をされたが、
そのまま、目を合わさないように通った。
恐そうな大柄の男性に近づくと話を止め、
こちらを向いて、話しかけられた。
「おお、姉ちゃん、新入りだな?」と話され、
こく、と頷くと、
まずは、カードを作るように言われた。
私は、受付のお姉さんとやり取りしたあと、
「ナギさん、ご健闘をお祈りしますわ」と言われて
カードを受け取った。
3人の受付嬢は、スミレさん、スモモさん、アンズさんと言うらしかった。
女性と話せて少しだけ、気が紛れた私は、カインズのところへ戻った。
「と、登録終わらせてきました。」そう言うと、
「そうか。よし、」と言ってカインズは手招きして付いてこいの合図をする。
ついていくと、たくさんの武器があった。
「なんでもいいぞ、好きななの選べ」と言われて考える。
最初に目にしたのは、オノ。
試しに持ち上げてみようかと思ったけど…
持ち上がるハズもなかった。
ハンマーも同じように重量に耐えきれなかった。
ツメなら、と思ったが、案外重くてこれもダメ。
わたしには、武器を持つことすらできないのか…
とブルーな気持ちになっていると、
みかねたカインズが、「これならどうだ?」と差し出してきた。
短剣だった。
装備してふりまわしてみると、重量はよし、
フイット感よし、とまさにわたしピッタリの武器だった。
「あ、ありがとう。」と、わたしは小さな声で言うと、
「おう!」と大きな声で言われて、ビクッと反応してしまった。
カインズは、言った。
「これからフィールドポイントと呼ばれる青白い光の中に向かってもらう。
その、中に入ると、モンスターたちがいるフィールドに入れる。
今から行ってもらう場所は、始まりの森だ。
基礎モンスターが主でキャタピラー、マッシュ、メキラが出てくる。
体長は三体とも150センチくらいで…」っておい、
私は、装備をもらった興奮と、目の前の大きな男性に耐えきれず話している最中に、逃げるようにそそくさと立ち去った。
早々と立ち去る途中に、
「おい、待て!待てって!」と聞こえたような気がしたけど、
一刻も早く、この場を離れたかったわたしは、
聞こえない振りをして、そのままクエスト本部を出た。
クエスト本部を出た私は、
―――――― ふぅー、どうにか武器も手に入れることができたし、
これで戦うことができる。と思っていた。
準備をしよう、と市場に出たわたしだけど、所持金の少なかった私はアイテムを買うことを諦めて、あらかじめ持たされていた、体力ポーションと魔力ポーション(小)だけで
すぐに戦闘に出ることにした。
どうやってモンスターのいるエリアに行くのだろう、と探していると、遠くの方から冒険者たちが、帰ってきているのが見えた。
あそこかな、と思い入ろうと青白い光の中に入ってみると、体が光に包まれていった。
_______
目を開けると、周りには、少しだけ不気味に生い茂る木々があった。
――――ついに、始まる。わたしの冒険。
そして、ズンズンと、奥を目指して歩いていくのだった。
奥へ目指すと、キャタピラー、マッシュ、メキラ?とかなんとか言ってたようなそんなモンスターに出会った。
体長は三体とも150センチのようなモンスターで小さくて可愛かった。
しかし、一応はモンスター。ということで、気を引き締め直して戦闘に臨んだ。
キャタピラーもぞもぞと、かなりのろい様子だった。
木に隠れながら、近づいてきた瞬間に、一気に短剣
を降り下ろした。
マッシュも突進してきたけど、当たるような速さでもないと判断したわたしは、駆けて頭を攻撃した。
メキラには少しだけ攻撃を与えられてしまったけど、耐えきったわたしは、倒すことができた。
三種類のモンスターのみるみる減っていった体力ゲージを見て、
――――わたしすごい。できる。
満足感に包まれていた。
『それもそのはず、本人は気づいていない、いや頭に入っていないが、レベルは25である。 ちなみに能力値は以下である。
ナギ Lefer(自由) Lv25
str154
def132
agi189
tec198
for173
レベル4~7の基礎モンスターには無敵と言ってもいいぐらいである。むしろ、この先からが冒険者の本分が見極められるところであるのだ。』
順調に、奥へと進んでいくわたし。
するとなにやら、雰囲気の違うモンスターが
出てきた。
さっきのマッシュ、キャタピラー、に似ているようで似ていないそんな模様のあるモンスターだった。
さっきの戦闘で自信がついたわたしは、駆けてまず近くのキャタピラーに攻撃を仕掛ける。
しかし、キャタピラーは糸のようなものを出してきた。
一直線でキャタピラーの元に向かっていたわたしは避けきることができず、その糸を受けてしまった。
すると、障害物競争にあるネットのようで、思った以上にスピードがでなかった。
あと、キャタピラーまで残り30センチメートルというところで、
マッシュの突進攻撃を受けてしまった。
たまらず、吹っ飛ぶ私。
くっ、とどうにか、足で踏ん張ると、わたしは、考え直した。
さっきの先頭とはまるで違う。
少し工夫をしよう…と変化を加えてみた。
キャタピラーに向かって駆けていくわたしは、
キャタピラーが糸を吐く瞬間に、右サイドステップでフェイントを入れる。
すると、キャタピラーは、私の右のフェイントに釣られて、たまらず右に糸を吐く。
隙が生まれたキャタピラーの首もとを狙い、攻撃。光に包まれていった。
マッシュは、キャタピラーが倒されて警戒しているようだった。
どうにか倒しきった私は、すかさず、次のマッシュ対策を施す。
わたしは、赤い布を取り出す。
この布は、わたしが軽い荷物を入れるショートバッグを作ろうとして買っておいたものなのだが、まさかここで使うとは、全く予期しない出来事だった。
先ほどの突進を見る限り、闘牛のようだと思ったわたしは、試したくなった。
木の側で赤い布をヒラヒラと舞わせる。
見事に引っ掛かってくれたマッシュ。
赤い布めがけて一気に突進、そして、当たる瞬間、
布をサッと避ける。
マッシュは、ハッと、気づくが止まりきれず、
木に激突。気絶状態のところを攻撃し、昇天させた。
やった。終わった。と安堵し、少し気を休ませていると、
ゆらゆらとさまよう、光を発見した。
不思議な光。誘われるままについていった。
光が無くなっていくのを儚げに見届けたわたし。
カサカサ、ザッザッ、と聞こえる無数の足音。
えっ?
わたしの周りを囲むのは、無数のモンスターたち。
さっきの2体で体力ゲージ半分なのに、これじゃあ…
とりあえず、私は赤い布でマッシュを引き寄せようとする。
しかし、キャタピラーの方が少し早く、行動を開始していた。
わたしは、背後にいたキャタピラーから糸を吐かれ、受けてしまった。
横の方から2体のマッシュに突進されて、今度は、木に打ち付けられる。
「きゃあ!」
残りの体力ゲージはわずか、
―――――やばい、ポーション使わなきゃ…
と、手を動かそうとするが動かない。
このままじゃ、死んじゃう。
ゲームとは思えないほどの死への恐怖。
途切れそうになる意識の中でモンスターの足音だけがわたしの鼓膜を響かせていた。
そして、私は目をつぶった。
To be continued
ナギ、絶体絶命!
いや~途中まで順調だったのに…
どうなっちゃうんでしょうか?
次回はコウ視点に戻ります。少しさかのぼって5日目ですね。
では、また!




