quest13 Love of mother ~母の愛~
おはこんばんちには。
視点変更入ります。
前回、ちょいシリアスだった、早乙女凪の
続編です。
時間がすこしさかのぼったところから、始まります。
では、どうぞ!
私はβテストが始まってから、9日目にテスターの通知が来た。
テスト期間は10日間、だけどわたしには2日しかない。
急いで、取りに行ったブレインギアをLANケーブルにつないで、
ログインした。
いくつもの線が見えて、1つに固まり、収束していく。
「容姿設定しますか?」と出たが、一刻も早くゲームを
したかった私は、設定しなかった。
目を開けると、真っ白な世界に一人の白衣の可愛い少女がいた。
「こんにちは!わたしはアリス…」
と言ってから、しばらく黙っている。
「どうしたの?」と尋ねると、
モジモジしながら、
「お姉ちゃんの、髪、きれい。」
と言って、私の銀髪をじっと見ている。
私は、言った。
「私はナギ。こんにちは、アリスちゃん。
この髪は、死んだお母さんのから受け継いだものなの。」
「そうなんだ!じゃ、じゃあさっそくだけど身元登録
お願いします。」
私は、登録を終わらせた。
「次は、職業を選らんでね。能力はパラメーター…職業は、
戦士、魔法使い、僧侶、武道家、自由は…」などと、
能力値、スキルなどについてや、
5種類の職業全てについて詳しく教えてくれた。
また、本サービスから始まるという新しい情報を聞いた。
この5種類は、基本職であって、一定のレベルまで行くと、
上位職に派生するらしい。
「でね、一人だけ自由を選んだバカがいるんだけど、
そのひと面白くて。今どうしてるんだろう。」と、
気にかけていた。
――――――――ふふ、好きなのかな?
「もしかして、アリスちゃん、その人のこと好きなの?」
と、冗談っぽく聞くと、
「はぁ~?ないない!私はもっと全てを寛容に受け止めてくれる人がいい。」
違ったらしい。小さいのに、すごくタイプが具体的だと思った。
「お姉ちゃん、どうする?女性は、プリーストか魔法使いが多いみたいだけど。」
私は考えた。
たしかに、一般的に考えたら、そうかもしれない。
でも、私は、強くなりたい。そして、自由になりたい。
もちろん、ゲームの中だけど、精神的にも肉体的にも強くなって成長したい。
そう思った私は、言った。
「Lefer(自由)にする。」
驚いた顔をしたアリスちゃん、だけど、すぐに笑いながら、
「お姉ちゃんもLeferね?」
と言って手続きをしてくれた。
最後に、こう付け加えた。
「お姉ちゃんはβテスターの追加の終盤の当選者。」
「本当は、レベル1からなんだけど、今回は、
レベル25からだから。それとアイテムなんだけど、
どれにする?」と言って、
アイテムを選択するように言ってきた。
アイテムは全部で3種類、
武器屋特製、武器引換チケット
冒険者必須のアイテム5種セット
防具屋特製、ランダム防具セット
の3つだった。
強くなりたいと思った
私は、武器の引換チケットをもらった。
頑張ってね、ナギお姉ちゃん!と無邪気な笑顔で
最後に言われて、
目の前が真っ暗になった。
_______17:00 サンシア地方 市街地
「キレイ。」
目を開けると、壮大な世界だった。
遠くの方では、鳥が帰っている、上は雲ひとつない夕焼けの空。
後ろの方が、賑わっているようだ。
後ろを振り返ると、町は、お祭りのようだった。
露店が立ち並び、町中いっぱいの笑顔の人たち。
私は、これから始まるであろう冒険の日々に
心と胸を踊らせていた。
さっそく冒険しようかなと思ったけど、
なにかの店の鏡をみてビックリした。
「えっ!?私の顔、そのまま?」
自分の顔そのままだったから。
「そういえば、設定そのままできちゃった。」
と思って恥ずかしくなり、自分の顔を隠せるようななにかを
探した。
__________『おしゃれアクセサリー フィーナ』
すると、ちょうど、お祭り騒ぎの市場のなかにも、
『アクセサリー』
とかかれた看板を目にした私は、中に入りそこで
顔を隠せるものを探した。
「あら、若いわね。何かお探し?」と、話しかけられた。
40代後半辺りのふっくらとした顔立ちの女性が、笑いながら
立っていた。
わたしは、しどろもどろしながら答える
「は、はい。あ、あの、顔を隠せるようなものを
探しているんですけど。」
「あら、まあ。せっかくかわいい顔してるのに
もったいないわよ?」と笑った。
その女性は大人な女性。というのが、ふさわしくて、体つきは、艶めかしく、大きな胸やミディアムカールの髪型は、
お姉さんっぽい印象だった。
そんな大人な女性になどかわいいと言われたことがなかった私は恥ずかしくてうつむいてしまった。
「ごめんね。少し冗談がすぎたかしら?
わたしは、フィーナ。あなたは?」
小さな声で私は言った。
「ナギ。」
「そう。たしかナギちゃんは、顔を隠せるようなものをさがしてるのよね?」と言いながら、さがしてくれた。
あったわ。といって差し出してくれたのは、
かわいらしい花柄のついた、猫のような仮面だった。
『ティミッドマスク』と言うらしい。
「この仮面はね、不思議な仮面なの。
ナギちゃんって恥ずかしがりやさんでしょ?」
「はい…」
「その性格を直したいとおもってるかしら?」
私は強く答えた。
「はい!」
「うんうん、ならぴったりだよ。大した、能力効果はないけど、
この仮面はまさに恥ずかしがりやさん、専用!
「恥ずかしがっているときほど、その仮面は固くなって
取れなくなるの。」
「でも、ナギちゃんの心が強くなって、恥ずかしくないって
思えるようになったら、魔法が起きるわ。」
「魔法?」
「うん、その仮面が取れる魔法。」
―――――強くなりたい。と思った私は、
「それください。」そう言った。私にわかったわ、
と 言うフィーナさん。
「2000ガルドよ。」
そう言われてお金足りるかなと、思った私だけど、
アリスちゃんがみんな、10000ガルド持ってるから。
と言っていたのを思い出した。
お金を払って、
私は、未来の自分に向かって、宣言し、自分に言い聞かせる。
―――――――『私は、強くなる。』
さっそく、時計から取り出してから装備した仮面の
感じを確かめて、本当にとれないのか確認しようと思ったとき、
何か思い詰めたような顔をしたフィーナさんが、
急に近づいてくる。
すると、
「ナギちゃん、やっぱり、かわいい。」
と、耳元でフィーナさんに囁かれた。
私は、不意討ちのかわいい発言に仮面で見られないと思っても
わかるような顔の赤さになっていると、
「えいっ!」と、フィーナさんが私の仮面を取ろうとした。
でも取れなかった。
「ね、とれないでしょ?」とおどけてみせるフィーナさん。
「ほんとです。驚きました。」
「でも、フィーナさん不意討ちでそんなこと言うのやめてください…」と、私は、少し笑って言った。
「だってナギちゃん、かわいいんだもん。
でも、これからみんなのこともさん付けとか
しちゃ、だめよ。みんなになめられちゃうから」と口に人差し指を立てながら、言ってきた。
「もう!でもわかりました、いや、わかった!」
「うふふ、ねえ、ナギちゃん?
よければ、恥ずかしがりやさんになっちゃった理由を教えてくれない?
大抵の恥ずかしがりやさんって、なにかしら人に対してのエピソードがあるはずなの。よけれは、聞かせて?」と言ってきた。
――――どうしよう。でも、ゲームの世界ならいいかな。
と思って、現実世界であったことをすべて話した。
叔母さんのことも。家族のことも。
話し終わったわたしに対して、
「ごめんね、そんなつらいことかあったのを話させて。」
と、申し訳なさそうな顔で言ってきたので、
「いや、そんなことないよ。」
実際そうだった。
これまでいろんなことがあって、悲しみや苦しみを抱いたまま生きてきたけど、誰にもこの話をしたことがなかったわたしだが、
これまでに体験したことのない、安心感と満足感に
つつまれていた。
フィーナは手元から写真を取って、語り出す。
「ほらこれ、」そういって見せてきたのは、
家族の写真。 3人で写っていた。
「こっちが、夫、こっちが娘。」
「まあ、伝染病で亡くなっちゃんだけどね。」
と、寂しそうな顔をするフィーナ。
そして、決心したような顔でフィーナは言った。
「ナギちゃん!じゃあ、私がナギちゃんのお母さんになるから!
ナギちゃんがお母さんを恋しくなったときはフィーナさん、
親しいお姉さんとして話したいときは、フィーナって呼んでいいから。」
黙って頷いたわたしは、
うぅ~フィーナさん…と、嬉しくなって泣きついてしまった。
フィーナさんは、わたしを抱きしめ、大丈夫。お母さんはここにいるよ。とささやいてくれた。
涙を拭いて、私たちはしばらく話しこんで、
笑い合ったりして、すっかり仲良くなった。
―――――お母さんが生きてたらこんな感じなんだろうかな?
しばらくしたあと、
私は、
「フィーナ、またくるね!」と、元気よく出ていった。
「うん、楽しみにしてるわ。」と、手を振りあった。
一人残った、フィーナは願う。
――――――――どうかナギちゃんが哀しみを乗り越えて未来に歩いていけますように。
がんばりなさいよ。ナギちゃん!
フィーナの店を出た私は、
とりあえず、と思ったが、
クエスト本部と呼ばれる場所には行かなかった。
今日は、町の中のいろんなところを探検しよう思った。
時刻は21:00
すっかり、夜の町だが依然として、市場は盛り上がっていて、
いろんなものを見て回ったりした。
酒場では、ビールは、飲めないので、
ジュースにしておいた。
「オニグルミ」と呼ばれる白濁のジュースらしいけど、
クルミの一種のようだった。
(っ!!ココナッツミルクのような感じ。まろやか!)
「おいしい!」私は、酒場のマスターに言った。
「それは、それは。お嬢さんのお口にあってよかったです。」
と温和な表情をしながら返してくれた。
ここは常連の店にするべき。いやする!と決めた私は
――――私も料理できるようになってやる。
と、マスターに対して対抗心を抱いていた。
そして、町中を散策し終わって満足した私は、ログアウトした。
To be continued
母親がわりのフィーナさん、
ナギも、居場所ができてよかったですね。
さあ、次回は戦闘にナギ、でます!




