表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AFTER THE WISH   作者: マーチヘア
開幕~傘音 琴葉の心内矛盾~
6/57

5 殺意刃【ナイフ】

 今回は葛篭 震のプロフィールを載せました。えっ、ノエルのじゃないのかって?まあ、時が来たらね・・・

 午後四時半 冬摩宅

 

 葛篭さんの顔にはもはや殺意しか表れていない。先生もこうなることは知っていても実際にそうなるとさすがに怖気ついてしまったらしい、さっきから一言も話していない。しかしこの空気を一瞬にして壊せる人物がここにいた。

 「震く〜ん、顔怖いよ?ほら、これ食べて?」

 いや、だからそれ先生のだよ?なんで自分の物のように扱っているの?

 あきれた顔をする先生。葛篭さんの顔も少しだけほぐれた。

 「まあ、いいでしょう、本題に戻りますよ。当然のことながらそんな奴の相手がつとまる訳がありません、やはり同じく異能な者じゃないと無理でしょう。しかし残念なことに先生の能力はこの件に関してあまり役に立ちません。そこで先生のように能力に目覚めているもの、または近い将来に目覚めるものを探していて見つけたのがあなたたちです。そこで・・・

 「よっしゃあ!よろこんで引き受けるぜ!」

 「でしょうね。亜木々君。」

 先生はノエルに目を向ける。

 「そんな危険人物があなたの前に現れるかもしれませんよ?危ない目に逢う前に対処するべきではありませんか?」

 「う〜確かにね・・・わかった、俺も参加するね!」

 とうとう私にも目を向けてきた。

 「ちょっと待ってくださいよ!私は嫌ですよ、そんな危ないことするのは。そもそも生徒を守ることが仕事である教師がそんな・・・

 ここであることに気づく。葛篭さんは個人的な理由からすぐに引き受けたが、ノエルがこれを引き受ける理由はない。それを一言でハイと言わせられたということは、どのように説得すればノエルが引き受けるか知っていたということになる。つまり・・・

 「断るということは葛篭君の母のようにこれからもたくさんの人々が彼の餌食になるということですよ?それでもいいのですか?」

 こうなるわけだ。こんな言われ方をされたら断るのは難しい。受けたくはないが、受けるべきだと私の良心は言っている。悩んだ末、私も引き受けることとなった・・・


 午後七時 葛篭サイド

 

 冬摩先生の家から出る直後、何かあったら報告すること、勝手に行動しないことを約束させられた。ならば行動を起こすときに備えてよりいっそう力をつけておかなくてはならないと思った俺っちは今日も喧嘩をして帰路についていた。

 すでに日は落ちていて、彼は一人で歩いていたのだが・・・

 (ん?待てよ・・・)

 先生の話だと先生はこのような状況で襲われて能力を得たらしい。つまり今の俺っちにも十分起こりうる。

 「望むところだぜ・・・」

 普通なら、普段ならこんなことは望まないだろう。しかし真相を知っている今はむしろ・・・

 その時後ろから足音が聞こえてきた。振り向こうとしても体が動かない。

 (来た・・・!)

 『本来なら待ち構えているような人物には現れないんだけどな・・・まあいいか。君は親の復讐をしたいんだ?でも相手は異能な者、かなう相手じゃない・・・僕のせいなんだけどね。じゃあ君にもあげる、願いを叶えてくれるすばらしい力を・・・』

 すさまじい衝撃が後ろから伝わってきた・・・


 午後十時 葛篭サイド

 

 気がつくとそこは母の事件が起きた廃工場だった。あそこはあれ以来そのままの状態で放置されているので、初めは本当にここへきたのかと思った。だがよく思い出してみると確か自宅のベッドで寝ていたはずなのだ。

 (ああ、こりゃ夢だな・・・)

 ならこれは悪夢だ、なにもここに現れなくてもいいじゃないか?確かこの後、もう一人自分が出てくるんだったな。

 しかしそこに現れたのはもう一人の自分などではなかった。

 「優!?なんで優が出てくるんだ?」

 「自分自身じゃなくてユウちゃんが出たのはね、お兄ちゃんとは逆のことを願っている人物のイメージがユウちゃんだから。お兄ちゃんの担任や傘音先輩がここで自分自身を見たのはそういうイメージを待っていなかったからなの。」

 「・・・」

 「ねえお兄ちゃん、復讐なんてやめよ?あの事件以来お兄ちゃん変だよ・・・昔みたいに明るいお兄ちゃんに戻って。」

 「優・・・お前それでいいのかよ?母さんをあんな目に逢わせて、他にも大勢の人達を殺した奴が今ものうのうと生きているんだぜ?俺っちは我慢できねえよ・・・」

 目の前にいるのが本物の優じゃないのはわかっている。本物なら冬摩先生や傘音さんのことを知っているわけがない。それでもたった一人の妹の顔でこんなことを言われるとついそう接してしまう。

 今にも泣き出してしまいそうな優の頭を優しく撫でながらなだめる。

 「大丈夫だ。全部終わったら元の俺っちに戻るさ。だから今はわかってくれ・・・!」

 「わかったよ。お兄ちゃんには資格がある、思いを形にする資格が。でも本当はユウちゃんが賛成していないことを忘れないでね。」


 次日 午後一時半


 傘音家の電話が鳴った。休日ということでついさっきまでベッドの中にいた少女がそれを取る。

 「もしもし、傘音です・・・」

 『傘音さん!?冬摩です。すぐに先生の家に来てください!』

 なんか最近すごく忙しい気がするな・・・


 午後二時十五分 冬摩宅

 

 私が到着したときノエルはすでにそこにいた。 

 「どうしたのですか?先生。」

 「昨日気になって葛篭君の夢を見たのですけど、あれほど勝手に動かないように言ったのに彼、狩意のところへ行ってしまったのです。このままだと危ないかも・・・」

 「葛篭さんは具体的にどこへ?」

 「篝火しの西の端にある廃工場へ・・・そこは葛篭君の母の事件があった場所で、狩意は今もあそこを住処にしているんです。」

 「わかりました、すぐに行きましょう。」

 しかし先生の顔色はかなり悪い。おそらく連続で夢を見たからだろう。

 「先生はここでゆっくりしてたほうが良いと思わない?傘音ちゃん。」

 なんで私に振る?でも確かにその通りだ。

 「先生はここで待っていてください。葛篭さん私たちで連れ戻します。」

 幸いそんなに遠くはない。葛篭さんが狩意を見つける前に、というより狩意に見つかる前に葛篭さんを見つけないと!


 午後三時 廃工場 葛篭サイド

 

 「まさかまだここにいたとは・・・」

 「久しぶりに会ったな、震少年。どういった用件だ?」

 目の前には白いコートと白いニット帽の憎い奴がいる。

 「その様子だと俺の忠告は聞いてくれなかったようだな・・・ならもう知らん、勝手にしろ。黙ってやられてはやらないがな。」

 そう言うと近くの壁を殴り、粉々にした。辺りには大小様々な瓦礫が散乱している。

 「これで武器はよし・・・と。次は前みたいに見逃してやらないぜ。」

 改めてその理不尽な能力を目の当たりにする。でもそんな異能が使えるのは奴だけではないのだ。実際にやってみたことはないが、自分自身の中にずっとあったそれが何でどんなものかはよくわかる。

 右の拳を前へ突き出し、手を開いて意識を集中する。やがてそれは目的、つまり人を傷つけるための姿へと形を変えた。

 「お前も彼に会ったのか?これはますます真面目にやらないとやばそうだな。」

 今、右手には巨大な両刃の大剣が握られている。重さはちょうどいい。当然だ、自分の一部なのだから。

 思いきり狩意に近づいて振り下ろす。狩意は防御のためだろうか、天井へ小さな石を投げて天井を崩した。本来なら動作を中止しなければ刃が欠けるがあえて切り込む。弾かれるはずの剣先はそのまま降りて、瓦礫の山は真っ二つになった。断面が鏡のように滑らかできれいでである。

 「なるほどな・・・切断に特化した能力か。」

 どうやら天井を崩したのは自身が逃げるためのフェイクだったらしい。

 「うおぉぉぉ・・・!」

 間髪いれずに再び切りかかる。

 

 午後三時 廃工場

 

 目的地には着いたのだが、葛篭さんの姿を見つけられずにいる。ノエルはもう疲れたらしく、涙目でその場にへたれこむ。

 「琴葉ちゃ〜ん疲れたよ、休憩しよ〜よ・・・」

 「ちょっとノエル!急いで見つけないと葛篭さん危・・・ん?」

 今何か聞こえたな、音からすると・・・右!

 「見つけた・・・かもしれない。ほら、行くよノエル。」

 「うへ〜、また走るの!?」

 間に合えばいいのだが・・・


葛篭 震 13歳 男性

ツヅラ シン

身長175cm 体重60kg

運動能力 5/5

頭脳 1/5

器用さ 2/5

癖 思い立ったらすぐ行動

能力 【殺意刃】刃に触れれば確実に切ることができる剣を具現化する能力。事実上の一撃必殺だが・・・


 要するに単純バカです。デザインサンプルはこちら(http://7441.mitemin.net/i64799/)ようやくバトルものらしくなってきました。次回はどうなることやら・・・(もはや次回予告になっていない)

 ではWISH 6 「皆がいる」をお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ