表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

第1話-5

遅くなりました。いや、前よりは早く更新できてよかったです。駄文ではありますが、楽しんでいただけたら幸いです。

音速ジェット機が過ぎ去ったかのような轟音と、時間差で衝撃波が辺りに響きわたる。

そのまま蟲は走り続けながら少しづつスピード減速。五十メートルほど惰性で進んだのち、ようやく停止する。

蟲の体は黒い甲殻になり、赤い状態からは既に元に戻っており。蟲はデカイ体を器用に反転させたのち、頭を周囲に向けて何かを探る。

蟲が散々通った後はなにも残っはいない。ただ荒れ果てた大地が広がっているだけだ。

それでも、何かを探す蟲。

まるでこの世界の出口か何かを探しているかのように。

地響きを鳴らしながら、今だ壊れていない街の方角にゆっくりと歩き出した。


一方陸斗たちはーー


「いやーー危ない危ない。後一秒遅かったら二人まとめて煎餅みたいにペチャンコになってたな。ハハハ八八ッ。」


「笑いごとじゃあありませんからーー!!私たちし死んじゃうところだったんですからーーーー!!!」


笑って誤魔化そうとする陸斗の頭を、何処に持っていたのか女の子は国語辞書並みに分厚い本を取り出し、陸斗の頭を力強く殴りつける。


「イタイイタイイタイって。」


「このこのこの、バカバカバカバカバカーーーーーーー!!!!」


陸斗の頭をポカポカポカと子供のだだっ子のように殴りつける女の子。力自体は弱いんだが、時々当たる本の角が地味に痛い。


「悪かった悪かったって。いいじゃないか、結果的には二人とも無事だったんだから、そんなに怒ることないだろ。」


「そんな軽い状況じゃありませんでしたーーーーーーーーー。」


じゃれあう二人。陸斗と女の子は地面の中、地下のー部屋の中にいた。

あの時、蟲が攻撃に態勢を崩し、動けなくなった陸斗とリア。だが足元にあった何かに気づきた陸斗は、扉ごと拳で粉砕、同時に脚に絡まっていた糸を手刀で切断、暗闇の中に飛び込んだ。

間一髪、蟲の攻撃がこちらにあたる寸前で二人は地下の空間に飛び込み難を逃れたのである。

一瞬遅れていれば死んでいた状況を陸斗は、謝りもせず笑って誤魔化そうとしたのだ。女の子が怒るのも仕方ないことだ。


「八ァ八ァ八ァ八ァ~~~~~。」


数分間陸斗を殴り続けて、やっと少しは気が晴れたのか反省させる事を諦めたのか。女の子は本を何処かしまい、真剣な表情を造る。


「それで、これからどうするつもりなんですか?」


「どうするとは?」


「貴方には何かあの蟲に対抗、もしくは勝てる手段が貴方にあるんですよね。だから、体勢を立て直す為に隠れたんですよね。」


「ああ、それはだなーーーーーー。」


至近距離でみる女の子はとても綺麗だ。整って顔立ちに長い眉毛、少し大きめにの瞳。綺麗な金髪、神秘的な雰囲気(驚くと子どもに戻るが)がまるで女神のような女の子だと思う。

だが、それゆえにーーーーー


「だが、その前に俺は貴方じゃない、陸斗だ。藤間陸斗。これからは陸斗お兄ちゃんと呼べ。」


自身を親指で指差しながら言いきる。


「あ、はい。わかりました。陸斗お兄ちゃん。」


一瞬戸惑いながらも「お兄ちゃん」と素直に呼ぶ女の子。あまりの素直さに驚きながらも、「グッジョブ」と笑顔で親指を立てる陸斗。

が、数秒が経過したのち、女の子は自身が「何を」言わされたのか気づきか顔を真っ赤にする。



「…….….って、なんで私が出会って間もない貴方を「お兄ちゃん」なんて恥ずかしい呼び方しなくちゃいけないんですか!」


「オオーッ。ノリツッコミとはやるな幼女よ。」


陸斗を指差し可愛らしくガオーッと怒る女の子に、手を叩き拍手する陸斗。からかうと面白い。真面目な人ほどからかわれる事に慣れていないのだ。

いつまでも真面目にならない陸斗、女の子は怒りの表情を造り再び分厚い本を取り出す。


「待て待て、悪かった。もうやらないから、その武装を解除しろ、な。」


「.……………次はありませんから。」


しぶしぶと本をしまう女の子。

陸斗は本をしまうのを確認してホッとする。

ヤバイヤバイ、今度からはもう少し加減してからかうか。全くもって反省していない陸斗だが、いい加減話が進まないのでこの辺でやめる。 


「わかったよ。策を話そう。まあ、策と言う程のもんじゃないんだが。しかしその前に。」


「その前に?なんですか。」


キョトンと可愛いらしく顔を傾げる女の子。

仕草がいちいち可愛いのはこの子が天然だからだろうか。そんな女の子に陸斗自己紹介を始める。


「さっきも言たけど、改めて自己紹介するな。俺の名前は藤間陸斗、高校二年、どこにでもいる普通の男子生徒だ。よろしくな。」


右手を前に出して握手を求める陸斗。


「普通という言葉が気になりますけど。‥……………まあ、いいかな。」


何かを無理矢理納得させたのか、難しい表情から笑顔に変わる女の子。スッと、女の子も自身の右手を出して力強く陸斗の手を握りしめる。


「私の名前はリア。リア・アーシアム・アンジェリーナです。リアと呼んでください。」


「ああ、よろしくなリア。」


握手する陸斗とリア。

小さて可愛い手だな。リアは力を込めているのは表情から理解出来るが、子どものような握力だ。

握力二十もないじゃないかと疑うレベルだ。

そんな二人の頭上からーーーーーーーーー


ドゴォォォォーーーーーーーーー!!!!


ナパーム弾が落ちてきたかのような轟音と震動が伝わり、地面がグラグラと激しく揺れる。いまだ、蟲の化物が地上で暴れ回っているのだろう。

それと同時に、リアの顔が僅かに歪む。


「?どうかしたのかリア。何かあったのか。」


「いえ、少し問題が発生しました陸斗。」


「問題?」


頭に疑問符を浮かべる陸斗。リアの周囲には青い円陣が浮かび上がり、ドンドン拡張していく。

直径五メートルぐらいまで広がった円陣の中に、地図が描かれれていく。

まるで『魔法』のような光景に、さすがの陸斗も驚きを隠せない。


「これは一体なんなんだ?」


「知らないんですか?」


何度か頷き肯定する陸斗にリアが説明する。


「はい。これは私のオリジナルの隔絶術式『造られた模型」


リアがない胸を張る。

自分は凄いんだぞ、と褒めてもらいたのは分かるが、この術式がどれだけ凄いのかがわからないのであえて無視する。

そんな陸斗に不機嫌そうな顔をするリアだが、話しを進める。


「この術式はオリジナルの街のレプリカを造ることで相手を一定時間、そのレプリカの街に隔絶、捕らえることが可能な術式です。」


スラスラとまるで当たり前かのように説明するリアに、陸斗は困惑しながらも、まったと手を挙げ質問する。。


「いやいや、そう言う事がわからないではなくてな。」


「それでは何がわからないんですか。」


陸斗は地面に描かれ展開された青い円陣を指さし。


「これは一体なんなんだ。」


「術式ですが、それがなにか問題でも?」


「???『術式』???よくラノベや漫画で出てくる魔法とは違うのか。」


陸斗が好きで読んでいるマンガやアニメ、ラノベではお馴染みのものだ。

てっきりこれも「魔法」だと思っていたんだが、


「はい。ですが、この世界の人から見れば魔法とたいした差はありません。ですから、魔法と思って下さって構いません。」


あっさり否定される。


「そんなもんか?」


「はい。」と笑顔で頷くリアだが、黙りこむ陸斗に「???」と頭に疑問符を浮かべる。「魔法」と「術式」は何がどう違うのかがさっぱりわからない。暇ができれば時間をかけて説明して欲しいが、今は暇ではない。

陸斗はわからない事は後で考えることにして、とりあえず先を促す。


「で、何が問題なんだよリア。悪いがこの地下室が壊れるなんて冗談はいらないからな。」


「よく分かりましたね。正確に言えば、後十分ほどでこの地下だけではなくて、この捕縛結界が崩壊するんですが。」


「…………………………‥…マジで。」


「はい。マジもマジ。大真面目です。」


リアが冗談を言っているようには見えない。

それはつまり、本当に後十分ほどでこの世界が崩壊してしてしまうのだろう。僅かな緊張と、抑えられない興奮が心の中で入り乱れる。


「それで、この世界が壊れたらどうなるんだ。具体的に言ってくれ。」


「はい。具体的に言うと、この世界『造られた模型』が破壊されたと想定します。すると、あの蟲の化物が陸斗のいた繁華街に姿を現し、貴方に負わされたダメージの回復のため人間たちを食べ始めると思わます。」


「予想通りだな。」


「八ァ~~~」とため息つく。当たり前のことだ。昆虫だろうと、人間だろうと、'生き物'ならば怪我をすれば、回復の為に栄養をを取ろうとするのは当然だ。ただ回復させるものが人間か、それ意外かと言うだけの話。


覚悟を決めるーーーー


このまま時間が過ぎる事は、大勢の人間が殺されることを意味する。あんな化物風情に大勢の人間が無惨に殺されるなど、我慢できる筈がない。

あまり人に見せたくない兵器だが、致し方ない。


「やれやれ、派手にやっていやがるな。あの蟲は。」


再び爆音が地面に伝わってくる。時間がない。


「残り九分になりました。どうしますか?」


考える陸斗だが、すでに考えは纏まっている。

先ほどから地上から地鳴りと爆音、何が倒壊した音が聞こえる。が、ペースが少しずつ落ちてきている。

これはおそらく、壊すべき建物などの建造物がなくなってきていることを意味している。同時に床に描かれている地図の一部分が赤く点滅しながら、ビーッビーッと嫌な音を響かせている。

この隔絶結界は相手の居場所も分かるのか。なんて便利な魔法だな。

やるべき事は決まっている。迷いはない。

立ち上がり、地上に上がる為に階段に向かおうと歩き出す。すると、


「ど何処に行くんですか?トイレですか?乙女がいるんですから我慢して下さい。」


「トイレじゃね―よ!だいたい何処に乙女なんているんだよ。」


「失礼な人ですね陸斗は。ここにいるじゃないですか乙女が。」


「………………ハッ(゜д゜)」


「なんですかその笑いかたは!顔文字まで使って!」


両手を振り回してお怒りだすリア。

陸斗はそんなリアにの行動に微笑みながら、リアの髪をクシャクシャと少し乱暴に撫でる。

髪型が乱れ、「キシャーー!!」と威嚇するリア。

そんなリアに心配させる訳にはいかないからな。

パシッと軽く右手で左手を殴り込み。気合いを入れる。


「んじゃ、あの蟲の化物を軽く倒してくるから、リアはこの場所でじっとしているように。」


「え、あ、はい。分かりました。気をつけて。」


「おう!任せておけ!!!」


階段をゆっくりと上がっていく陸斗。

拳を上に掲げていく陸斗の後ろ姿がちょっと格好良くて、顔を僅かに赤く染めてしまうリアだが。

数秒が経過してハッと思いだし、陸斗の後を追いかける。


「ま、待って下さい!あの敵を倒せる手段があるんですか?」


リアの質問に答えないまま階段を上った陸斗。数十分しか経過していないが、太陽の光りが心地いい。結界に覆われいるせいか太陽が見えないけど。周囲を見渡すと、自分たちがいた時よりも酷い光景だった。


(いくら偽物の光景ではあるが、自分の街がこうなるのはムカッとくるな。)


家、信号機、電柱、ビルなどほとんどの建物が原型を保っていなく。ただただ荒野のような光景が広がっているだけだ。 

足音が聞こえ後ろ振り向くと、地上に上がって来たリアの姿があった。よほど急いで来たのかハァ八ァと息切れしている。

いや、陸斗には詳しくはわからないが、おそらく運動による息切れではなく。壊れそうな術式を維持するのが難しくなり、必死に維持してくれているんだろう。

時間がない手早く始末する。


「いくぜ化物。」


化物がいる位置は陸斗から北に500メートルほど離れた場所だ。

こちらに気がつく前に、陸斗は自身の武装を装備する。


「いくぜ!『デウス・エクス・マキナ』(機械仕掛けの神)起動!!!」










次で第一話は終了です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ