第1話-4
遅くなりました。
いやはや、色んなゲームを攻略していたら、書く時間がとれず、ーヶ月以上あけてしまいすいませんでした。
取り敢えず、このお話はまだまだ続けていくつもりです。
「来いよ化物、人間の恐ろしさを教えてやる。」
「ガガアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
挑発されたことが理解出来たのか、強烈な咆哮をあげる化物。ムカデのような無数の脚を器用に動かし、陸斗に突進してくる。
化物が動く度に地面が揺れる中、陸斗に軽やかにステップを踏みしめながら蟲を待つ。
相手との距離が無くなる。
お互いが攻撃範囲内にとうたつし、初めに攻撃を仕掛けてきたのは蟲の方。
無数の刀のように鋭い脚が、高速で陸斗めがけて降り下ろされる。普通の人間なら、体を瞬時にバラバラにされて殺されてしまう攻撃を。
「ほ、よっと、はっ、あらよっと。」
見事に回避する。
何をやってもまるで当たらず、相手の行動を未来をんでいるかのように避けていく。あらうことか、
「どうしたどうした、それがテメェのマックススピードか?そんな遅い攻撃じゃあ、いくらやっても無駄の一言だな。ハッハッハッ。」
笑いだすしまつ。だが、笑いながらも見事にステップを踏み左右に体を僅かにずらすだけで見事に回避する陸斗。
まるで踊っているかのような行動に蟲は怒り狂う。
「ガガガガアアアアアアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
人間一人を殺せない事がよほど化物のプライドを傷つけたのか、さらなる咆哮をあげる蟲。脚で攻撃しながら、左右にある蟹鋏を縦横無尽に振り回す。振り回す度に、コンクリート造りの建物が切り刻まれ、小さな瓦礫へと変貌していく。
「無駄無駄!そんな雑な攻撃にーーーーちいっ!!」
陸斗は化物からバックステップで後退、いまだにボーッとして座っている女の子に降り注ごうとしていた瓦礫を拳で破壊する。
「何やってんだお前は!!死にたいのか!!」
「い、いえ、そういう訳ではないんですが。貴方一体何者なーーーー」
「ゴチャゴチャ喋っている場所じゃないぜ、ここは。」
女の子の言葉を遮り、陸斗は座っている女の子をお姫様抱っこして抱えると、自分たちの前のビルではなく、後ろの民家の屋根にジャンプする。
「な、な、な、いきなり何するんですか!」
「うるせえ、デカイ声で喚くな鬱陶しい。そんな事より前のビルを見てみろ。」
「えっ、??」
女の子が陸斗に言われしぶしぶと前を見た瞬間、さっきまで存在していたビルがなくなっている。その代わりに折れ曲りむき出しの鉄筋と、大小様々な瓦礫が山のように積み上げり、砂煙が舞いあがっている。
「…………なんですかあれ?」
「はいっ?なにを言っているんだお前は、化物が突撃して通った後だろうが。」
唖然としながら改めて前方に顔を向ける女の子。
化物は胴体が長すぎるせいか、いきなりは方向転回出来ず大きく右に旋回しながらこちらに向かって来ている。
「だいたい時速七十キロぐらいかな。こちらにくるまで約一分もないぐらいだな。」
「な、なに冷静に分析しているですか!早く貴方は逃げないと死んじゃいますよ。私なら大丈夫ですから。」
顎に手を当てて化物を冷静に分析している陸斗に女の子は「逃げろと。」と注意する。
そんな事をのたまう女の子に陸斗は。
「逃げる?冗談きついぜ。なんで自分より弱い奴に尻を向けなくちゃならないんだ?」
「な、なにを言っているんですか。あれはこの世界の人間で勝てる生物じゃあないんですよ。だから、逃げてください。」
「??この世界??、いきなりなに訳のわからない事を言うんだお前は。それにーーーー」
再び突進して襲いかかってくる化物を、陸斗は再度女の子をお姫様抱っこで抱き上げ、跳躍。「キャッ」と可愛らしい悲鳴が耳に聞こえ、女の子が陸斗の首に両手を回し、ギュ~~と抱きついてきた。
「ジェットコースターは好きか、少女よ。」
「なにいきなり言っているんですかーーーー!!!
「いや、なに。今から、ジェットコースターみたいに動くけど我慢しろよ。」
「いやーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
跳躍した方向を見る。
そこには、移動先に先回りしていた化物が待ってましたとばかりに、固そうで、よく斬れそうな鋏をジョキンジョキンと動かしながら待ち構えている。
「どうするんですか?どうするするんですか?このままじゃ私たち、仲良く真っ二つですよ。」
「わかってるよ!!耳元でギャンギャン喚くな!」
迫りくる鋏。
陸斗はズボンのポケットに入れておいた小さな瓦礫を取り出し自身の足元の放り投げ。
「よしっ!」
小さな瓦礫を足場にして、空中でさらに跳躍する。景色が猛スピードで後方に流れていき、同時に
一回転して、脚を太陽に向ける。
「イーーーーヤーーーー」と叫ぶ女の子、あたり前だが、いきなりスピードが上がり、一回転して上下が逆転すれば叫びたくもあるだろう。
「古式藤間流打撃、二の型三組目!!」
迫る鋏に、陸斗は上げていた脚を高速で降り下ろす。
「爆雷斧!!!」
鋼の鋏と人間の踵が激突する。
周囲に爆弾でも落下したかのような衝撃が伝わっいく。どんなに勢いがついていようが、所詮人間の脚である。鋼の塊に勝てる通りがない。
だが、
「チッ、意外と硬いんだなその鋏。凹んだだけかよ。」
勝ったのは人間である陸斗の脚。
化物の鋼で出来ていた鋏は無惨に凹み、刃の部分は割れ、まったく動かなくなるほど歪んでしまっていた。
「ギギィィィィィィーーーー」と苦痛の声をあげる化物だが、闘争本能は失った訳でではなく、残る左の鋏を振り上げて陸斗たちを襲う。
「古式藤間流打撃、二の型八組目!」
左側から襲いかかる鋏をしゃがんで回避した陸斗はその場で右脚を軸にして回転、敵の装甲部分ではなく。駆動部、つまり関節の柔らかい部分に狙いを定める。
「水激山断!!!(すいげきさんだん)」
高速蹴りをくり出す。
蹴りは狙い通り鋏の隙間、柔らかい部分に直撃する。蹴られた場所から大量の紫色をした液体が溢れ出す。陸斗は液体を浴びるのは危険だと判断、急ぎバックステップを仕様して二十メートル離れたビルの屋上に移動、敵から間合いをとる。
「少しはダメージになったかな?なら嬉しいだが。」
手応えは感じたが、どれぐらいのダメージになったかはわからない。
そんな陸斗に幼女は。
「いくらなんでも凄すぎます。………………貴方、本当に人間ですか?」
疑問の声をあげる。
普通の人間が自身の体より硬い物を叩けば、こちらの体が壊れることがあたり前であり。
例え武術などで鍛えたとしても、せいぜいバット等の木製品が限界のハズ。
(それをこの人は一方的に叩き潰しいる….………)
自身より大きな昆虫に人間が勝てるハズがないのだ。そもそも、人間と同じ大きさの昆虫にすら人間は勝てないのに。
だが陸斗は、硬い甲殻を拳で破壊し、鋼の鋏を蹴りで粉砕した。人間のできる芸当ではない。
化物はのたうち回り、周囲に紫色の液体をばら蒔きながら悲痛の声をあげている。そんな化物を冷静に観察している陸斗は真剣な表情をしながら。
「失礼な幼女だなお前は。見てみろ何処にでもいるだだの高校二年生だよ。」
親指を自身に向けてどや顔する陸斗に。
「そんな強さをしている高校生なんていませんからーーーーーーーーーーーーー!!!」
叫びながら、陸斗の顔を指さす。陸斗は「ハハハッ」と苦笑しつつも、何かに気づいたのか目つきを鋭くして化物を睨みつける。
「?どうかしましたか?」
「いや、別に。どうやらやっこさん、まだまだ殺きいっぱいそうだなと思ってね。」
二つの鋏を破壊された化物の体全体が赤く染まっていく。体全体から湯気が噴出されると、湯気があたったビルが赤く染り、地面も真っ赤になっている。
「かなりの熱量、どうするきだ。」
「さあっ?私にはわからないですが…………….」
幼女を抱きかかえたまま、陸斗は注意深く相手を観察していると。一瞬で相手の姿が消え失せる。
「!ちっ!!」
「キャッ!!」
隣のビルに跳躍していては合わない。
そう判断した陸斗は、上に跳躍する。
その瞬間に陸斗たちがいたビルが粉々に粉砕され、ソニックムーブが発生する。いや、それだけではない。そのソニックムーブはそのまま、ビルの直線上に建ててあった建物が全て破壊する。
「おいおい、結構な速度と威力だな。いくらなんでもあんな重量であんもん食らったら、俺でも怪我するぞ。」
「……………………………」
瓦礫の上に着地した陸斗は感心した声をあげ、抱えている女の子は驚きのあまり声を出せずに膠着している。
視線を動かしてどのぐらいの破壊力があるのか確認すると。だいたい二百メートルほど離れた直線上の壊れたビルに体の三割程が埋まったままもがいている化物が見えた。。
未だ、体は真っ赤に染まっており、体のいたる所から白い気体が吐き出されている。
「………..…あの化物風情が。生意気にもドーピングしやがったな。」
「ドーピング?蟲がそんことができるんですか。」
「知らん。だが、いくら何でもスピードが速くなり過ぎだ。体全体に無茶をさせても俺たちを殺したいんだろ。」
油断することなく、陸斗は警戒しながら化物を見ていると。凄まじさい音が発生してビルが倒壊。蟲は向き回転させ、陸斗たちを視界に入れる。
また、あの攻撃をされれば普通に回避しては間に合わない。ならば、
「おい、幼女よ。」
「はい。ーーって誰が幼女ですか。誰が。」
「腕に力を込めろ。全力で俺にしがみついて、振り落とされないように注意しろ。」
「ええっと、なーー」
「来るぞ!!!」
訳もわからない事を言う陸斗に、女の子は困惑しながらも、首に手を回して力を込める。
二人の体が密着すると。髪から僅かに漂ってくるレモンのような柑橘類の匂いと、女の子の体の柔らかい感触に感心する。
女の子って小さな時でも女の子なんだな。
感心しつつ、雑念に頭が捕らわれいると。
「ガガガガアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
雄叫びを吠えながら蟲が再び突撃してくる。音速を超える一撃、普通の人間なら回避しようのない必殺の一撃だ。
だが、
「誰がそんなワンパターンな攻撃に当たるかよ
!!」
蟲と陸斗たちが衝突する瞬間。忽然と陸斗たちの姿が消え去る。蟲は急には止まれず、そのまま直進して、いくつものビルを破壊したのちに転び転倒する。
「ハッ!のろまがこっちだ。こっち。」
もといた場所から二十メートルほど離れた位置に二人はいた。抱き抱ええている女の子は、どうやって陸斗が移動したのかが分からず困惑する。
「すいません、今ーー」
言いきるより早く、女の子の視界の景色がぶれる。いきなりのことで目を瞑る暇もなく変わる景色に、少女は驚きを隠せずにいる。
驚く事に無理はない。
藤牧陸斗が仕様している回避技術は、速度を極めた者だけが使うことの出来る。ごく僅かな人達しか使う事が出来ない技術だからだ。
一秒にも満たない一瞬だけ、使用者は光速に匹敵する速度で移動できる。その技を陸斗は『瞬卦』(しゅんか)と呼んでいる。脚に膨大な力を込め、爆発させる。すると、その瞬間に限定されるが高速移動が可能となった。
何より恐ろしいのは陸斗は誰に教わる訳でもなく、自身の才能と努力をした結果だけで「瞬卦」を習得。そして、この技を強化し続けてきた。
ゆえに、この技を使用出来る陸斗に対して、音速程度での攻撃方法では当てる事は困難である。
だが、
「あれ?」
ズルリと左足が滑り、膝が地面につく。体勢が大きく崩れた陸斗にリアは落ちないよう、コアラのように抱きつく。
「しまった!」と思った陸斗は、急ぎ体勢を立て直そうと脚に力を込める。が、ズボンが何かに引っ張られる。なんだ一体、と思いながら足に視線を向ける陸斗。
「なんだこれは糸か?」
「………….…おそらく蜘蛛の糸かと思われます。」
「蜘蛛の糸だと?」
あらためて自身の左足を見る。足には細く長い糸が何十、何百と絡みつき、白い毛玉のようになった糸が陸斗の動きを妨げている。周囲を見渡すと、糸は至るところに張り巡らされ、そのすべてがの瓦礫につながっていた。
理解する。あの蟲はただ陸斗たちに突撃していたのではない。この細い糸を張り巡らせ、陸斗たちが動けなくなる時を待っていたのだ。
「この蟲風情が、罠をはるとはやるじゃないか。」
「なんで相手を褒めているんですか!来ます来ます来ますーーーー!!!」
うんうんと、敵の行動に感心して頷く陸斗の胸をポカポカと叩くリア。力が弱く少しも痛くない、むしろ心地いいぐらいだ。
「ガアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
勝利を確信したかのような咆哮をあげる蟲。ーーっていうか、今さらながら外見は昆虫なのに、狼のような咆哮をあげるのは生物的にどうよ?
なんてアホな事を考えをしている内にーーーー
蟲の姿が消える。
「あっーー。」
「えっ?」
轟音とともに二人の姿も消え失せた。
次はもう少し早く投稿します。
感想がありましたら、ガンガン下さい。心が折れる感想は除く。