存在確認
この話は、前のページの話の元になり、没にしたエッセイです。
「PVゼロの夜に、「存在確認」としての創作を考える」
なろう系、いわゆる「なーろっぱ」と呼ばれる異世界ものを書いてみたい、という気持ちは、ずっとある。
年頃の男女がキャッキャうふふしている恋愛ものも、正直、好きだ。
異世界転生はちょっと難しそうだけれど、異能やギフト、そういう「生まれ持った才」を持つ人間が出てくる物語には、今も心が惹かれている。
…いわゆる「ざまあ」展開は、一度書いたから、もういいかなと思っている。
書きたい気持ちは、たくさんある。
本当に、多々多々多々ある。
ただ、私は長い話が書けない。
異世界ファンタジーを書いても、途中をさっくり省略してしまうことが多い。
自分で読んでいて、途中で飽きてしまうからだ。
だから、自然と一話完結ものを書くことが多くなった。
最近でも、せいぜい四話か五話くらい。
ジャンルは童話だったり、純文学寄りだったり。
交流も、ほとんどしていない。
PVが伸びないのは、当たり前だ。
日々ゼロが並ぶのも、当然だと、頭ではわかっている。
わかっている。
わかっているのだけれど。
時々、とても、とても、虚しくなる。
理屈では納得しているのに、心が置いていかれる。
わかっているからこそ、余計に虚しくなる瞬間が、ふっとやってくる。
交流をしないことも、人気ジャンルを選ばないことも、全部「自分で選んだ」結果だ。
最初から、人の多い市場には立っていない。
山奥で、小さな灯りを灯して、細々と暮らしている。
たまに旅人が通りかかって、ペコリと会釈をして、また山を下っていく。
そんな創作をしているのだと思う。
それでも、虚しさが来るのは、「誰にも届いていない気がする」からだ。
書いたものが、空に向かって消えていく。
そんな感覚に、どうしても襲われる時がある。
「評価されたい」という気持ちも、もちろんある。
承認欲求は、かなり強い。
けれど、それだけではない。
たぶん私は、「存在を確認したい」のだと思う。
ちゃんと、ここにいるよ、と。
書いているよ、と。
誰かに気づいてほしい。
誰かが読んでくれた。
何かが、少しでも引っかかった。
それを、何かしらの形で確認したい。
それが承認欲求とどう違うのか、と聞かれると、うまく説明できない。
PVがない。
反応もない。
そうすると、現実世界と同調するように、私は透明人間になった気分になる。
自分の足場が、どこにもないような、不安に襲われる。
「誰かに読まれた痕跡が欲しい」。
承認以前に、「届いていますか?」「接触していますか?」という確認が欲しいのだ。
拍手喝采してほしいわけじゃない。
……いや、正直に言えば、めちゃくちゃ欲しい。
でも今は、足音が一つ聞こえれば、それでいい。
PVも反応もないと、世界が無音になる。
書いた自分だけが取り残されて、
「私は今、消えていないだろうか?」
そんな不安が、静かに湧いてくる。
沈黙にも、「受け取られた沈黙」がある。
けれど、書き手側からは、それが見えない。
だから、少ししんどい。
私は透明人間になったわけじゃない。
ただ、「見えにくい場所」に立っているだけだ。
たとえ透明だったとしても、ちゃんとそこにいて、触れた人だけが「あ、いた」と気づく。
そんな日が、多いだけなのだと思う。
「今は誰にも見られていないけれど。
書かなかったら、この話は最初から存在しなかった」
読者がゼロでも、世界にひとつ、物語が増えたのは事実だ。
だから。
「今日は誰にも見られていない」ではなく。
「今日も書いた」という事実で、自分を慰める日があってもいい。
そう、思いたいのだ。
ー了ー




