作品がエタって何が悪いのか
読者の中には「連載作品は完結済みじゃなきゃ読まない」という人がいるらしい。
どんな読み方をしようが読者の自由だから、それについてとやかく言うのは筋違いなのだろうが、僕はそういう意見を見聞きするたびに、「ずいぶん窮屈な考え方だな」「もったいないな」と思ってしまう。
作品が完結していることと、その作品が面白いこととは別問題である。
作品が完結していなくても面白いものは面白いし、たとえ作品が完結していても、つまらないものはつまらない。
作品が完結してるかどうかなんて関係ない。
面白いものは面白い。
つまらないものはつまらない。
ただそれだけのことだ。
それに、面白い作品というのは作品の後半だけに限らず、前半も中盤も面白いものだ。
逆にそうでなければ、たとえその作品が完結していたとしても、最後まで読む気にはならないであろう。
僕は、作品が完結しているかどうかは特に気にしていない。(唯一、作品が完結していないと困るのは、推理小説くらいじゃないかと思う。さすがに謎解き部分の無いミステリーを読もうとは思わないが、気にするとしてもその程度である)
「完結済みじゃなきゃ読まない」というのはまるで発想が逆であって、「面白くて読み進めていくうちに最後まで読んでしまった」「続きが読んでみたいな」となるのが、本来あるべき作品の読み方というものだ。
「完結していないマンガは読まない」とか「マンガは第一巻から最終巻まで揃えてからじゃなきゃ読まない」という人がいたら、アナタはどう思うだろうか。
きっと、そんな考え方はナンセンスだと思うに違いない。
まったくその通り。
そしてそれは、「連載作品は完結済みじゃなきゃ読まない」と言っているのとほとんど変わらない。
何をどう考えれば、「完結済みじゃなきゃ読まない」という結論に至るのか。
僕には到底理解できない。
仮にその作品が途中でエタっていたとしても、エタる直前まで面白く読み進めることができたのであれば、それで充分に収穫はあったではないか。
エタっているからというだけで、「その作品を読んで損した」なんてことは絶対に無いと思うんだが。
また読者とは逆に、作者の側にも「私は絶対に作品をエタらせません」と宣言している人がいる。
そのような宣言に、いったい何の意味があるのだろう。
先ほど出てきた「連載作品は完結済みじゃなきゃ読まない」という考えの人を惹きつける効果くらいはありそうだが、そういう人に限って、完結済みの作品すら最後までまともに読まなかったりするので、実際は大した効果は無いんじゃないかと疑っている。
僕は作品がエタることを何も悪いとは思っていないので、その作品がエタろうがエタるまいが、僕にはどうでもいい事のように思える。(気に入った作品がエタっていたら残念に思うが)
そもそも読者の立場から見れば、たとえ作品がエタらなくても、読者が途中で読むのをやめてしまえば、それはそこで作品がエタっているのと同じことになる。
どんなに作者が作品をエタらせないと宣言したところで、作品がエタるかどうかを実質的に決めているのは読者の方である。
途中で読むのをやめてしまった作品をどれだけ完結させたところで、読者にメリットは無い。
(念のため断っておくが、僕はここで「私は絶対に作品をエタらせません」という作者の書く作品がつまらない、ということを言っているのではない。ここで述べているのは一般論であって、特定の作者に限った話はしていない)
無論、面白い連載作品を完結するまで作者が書いてくれるというのなら、文句のつけようなどあるはずもないが、そういう場合であっても、肝心なのは「面白い連載作品であること」であって、「完結した連載作品であること」ではない。
なろう系作品は、作品タイトルを見ればおおよそのストーリー展開が予想できるし、そのほとんどがテンプレ作品だから、結末までテンプレ化していて「だいたいこういう感じのハッピーエンドになるんだろうな」というのが容易に想像できる。
例えば、以前から僕が小馬鹿にしている「白い結婚」という言葉をタイトルに含んだ作品であれば、最初は形だけの結婚で相手から冷たくあしらわれるが、次第に二人が打ち解け合い、最後はラブラブになって終わるというオチまですべて分かってしまう。
「完結する前からオチが分かりきっている」
ここに投稿されてる作品なんて、そんなのばっかりだよね。
いいよ、べつに完結させなくたって。
どうせ大したどんでん返しも無いんでしょ?
それなのに、完結にこだわる意味ってあるのかな。
むしろ気にすべきは、作者が作品をエタらせないことではなく読者に作品をエタらせないこと、つまり、途中で読者がその作品を読むのをやめてしまうことだと思う。
作品の途中で作者がそれ以上書き続けるのを断念することよりも、作品の途中で読者がそれ以上読み続けるのを断念することの方が遥かに多いはずだ。
エタっているのは作者ではなく、圧倒的に読者の方なのである。
それに比べれば、作者がどんなにエタった作品を書いたところでタカが知れている。
まったく問題は無いし、ちっとも悪いことなんて無い。
むしろナイスチャレンジだ。
いいぞいいぞ、もっとやれ。
作品がエタることなんて気にするな。
作品がエタって何が悪いのか。