最期に
「あなた…」
私は今にも命の灯火が消えようとしている彼の手をそっと握った。
「なぜ…ここに…」
自身の大量の血で濡れた彼が目を見開く。
この場に私がいるのを見て驚いているようだ。
「ふふっ…幼き頃に約束しましたでしょう?最期は共に、と」
微笑みながら伝えると彼も優しく微笑んだ、ように見えた。
彼の目からだんだんと光が消えていく。
握っていた手が力無く落ちる。
「…っ!愛しております。これまでも、これからも…」
ずっと伝えられずにいた想い。
彼にも、周りにも隠してきた想い。
もう絶対に動くことのない彼に優しくキスをする。
今までの想いが全て伝わりますように。
ドレスに隠し持っていた小瓶を無造作に開け、中身をひと息に飲み込む。
すぐに彼のもとへ。
大切な愛おしい彼のもとへ。
自分の夢から着想を得ました。
私は結構こんなファンタジーな夢ばかり見ている気がします。笑
前後談は未定なので、読者様のご想像にお任せいたします。
なにか閃いたら繋がるお話を書いてみたいと思います。