王都に行くぞ!!
目が覚めた。朝だった。午前8時
どうやら、私は昨日のお昼ごろから翌日の朝まで眠っていたらしい。よっぽど疲れが溜まっていたようだ。
さて、今日は何をしようか。
「ぐぅ~、、」
情けない腹の虫が鳴った。
(お腹すいた、、)
そういえば昨日の朝から何も口にしていないのだ。お腹がすくのは当たり前だ。
「ぐぎゅるる、、」
モンスターの鳴き声のような音が鳴った。
(何か食べよう)
私は部屋から出て、店主さんがいる一階に向かった。
「お!譲ちゃんおはよう!昨日はよく眠れたか?」
「はい。とてもよく眠れました。」
「それならよかったよ。」
「あの、ここら辺で美味しい料理屋ってありますか?」
「料理屋か、、そうだな、ルナさんとこのステーキは絶品だぞ。近くにあるから良かったら行ってみてくれ。」
「ありがとうございます。行ってみます。」
店主さんに『ルナさん』の場所を教えてもらった。そこは、店主さんの言う通り、本当に近くにあった。この宿の目の前だ。
私は早速行ってみることにした。
「すみません、今ってやっていますか?」
「やっていますよ!、、って、あの時の!!」
「え、、あ!」
『ルナさん』は、王都から私と一緒に逃げた女の人だった。
「お久しぶりですね。でも、貴方は西側へ行ったのでは?」
「はい。私は西側へ行きました。ですが、途中でモンスターに襲われてしまって逃げているうちにいつの間にかこの村に辿り着いたのです。そして、ここの人たちにモンスターを追い払ってもらったお礼に料理を御馳走したら人気がでてしまいまして、、。」
「それで料理店を営んでいるんですね。」
「はい。営んでいると言っても、大したことはしていないんですけどね。」「それより、ご注文お伺いしますね。」
「えっと、ここのステーキが美味しいと聞いて来たんですけど、」
「あぁ、『マンモスステーキ』のことですか?」
「多分そうだと思います。」
「分かりました。少々お待ちください。」
私は驚いた。この世界には『マンモス』が生息しているらしい。しかも食べられる。私の前世の世界だったら食べるなんて恐れ多いことだ。もし食べようものなら殺されるかもしれない。
「あの、マンモスってどこら辺に生息しているのですか?」
試しに聞いてみた。
「マンモスですか?わりと何処にでも生息していますよ。でも、ここら辺なら『フィックマンモス』ですかね。」
「マンモスにも種類があるのですね。」
「はい。他には、『フィンマンモス』や『ノークマンモス』もいます。」
「何か違いはあるのですか?」
「はい。ありますよ。」
私は、料理が出来るのを待つ間、クーナさんとお話をした。ルナさんは私と話をしていても手は止まることなく、料理を着実に作っていった。
「そういえば、この村に来る前、モンスターに襲われていたのですよね?」
「はい。」
「貴方は弓の才能の持ち主なのになぜ自分で追い払わなかったのですか?一匹や二匹ならどうってことないでしょう。」
「はい。本来ならそうなのですが、その時丁度矢を切らしてしまって、」
「そうだったのですね。すみません、詰めるような言い方をしてしまって。」
「いえ、大丈夫です。それより、『マンモスステーキ』が完成しましたよ。」
「わぁ、美味しそう。頂きます。」
(美味しい!!)
出てきた料理は見た目、味共に素晴らしいものだった。これこそ、料理の才能とも言えるだろう。
そうだ、何も才能はたったの五種類ではないのだ。もしかしたら今まで『才能無し』認定を受けていた人たちにもルナさんのように五種類以外の才能有りがこの世には沢山いるのだ。
これを王に訴えればこの世界の制度は変わるかもしれない。
私は、再び王都に行くことにした。そして訴えるのだ。
この世には数えきれない程の才能があることを。
才能の数の数百倍『才能有り』がいることを。
才能はたった五種類に納めてはいけないということを。
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