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柔らかいベット!

「朝だよ。起きて。」

「ん、まぶし」


私は、リズの声と太陽の眩しさで目が覚めた。

そうだ、私は昨日野宿をしたのだった。

起き上がるのと同時に土を払う。全身から土の匂いがする。お風呂に入りたい。


「昨日のお肉の残りをスープにしたんだけど、朝食にどう?」

「ありがとう。頂くよ。」


私はスープの入ったお椀と木製のスプーンをリズから受け取った。2人で地べたに座り、スープを飲んだ。ほのかに香るスープのいい香りと土の香り。


「ご馳走様。私はそろそろ行くよ。」

「お粗末様でした。そうなんだ。どこに行くのか決めてるの?」

「うんん、適当に北の方向に進んでいるだけ。」

「そう。」

「リズは王都に向かうの?」

「、、、うん。」


どうやら私達はここでお別れのようだ。

リズ無しでどうやって食料を調達しようか。


「ねぇ、私昨日から気になっていたんだ。シェリーは私を神聖力で助けてくれたよね。つまりは才能有りってことだよね?」

「う、うん。」

「それなら、なんでこんな所に居るの?王都での仕事は?」

「あ、あ〜、私は王様から許可を得て旅をしているの。」

「そうなんだ。でも、神の使いが神殿を長く離れるのは良くないよ。早く帰った方がいい。良かったら私と王都に行かない?」


私の嘘はいつまで持つのだろうか。

『シェリー』はいつまで持つのだろうか。

私が『シュガー』だと知れば、リズは私をどうするのだろうか。


「まだ2日目だから大丈夫。王都へはリズ1人で行って。私はそろそろ行くね。またいつか会えたらいいね。」


私はリズの返事も待たずに強引に押し進めた。

去り際、リズが何か言っていたような気がしたがよく聞こえなかった。

私はリズの姿が見えなくなるまで走った。


(ここまで来れば大丈夫。)


私は現在地を知るためにマップ機能を開いた。

マップは相変わらず一直線の線のみだった。

次は歩いた。

北に向かって真っ直ぐに歩き続けた。


随分歩いた。

少し遠くに家が数件見えた。きっと村だ。

もう少し近づくと、家が沢山見えてきた。私の住んでいた村よりも大きな村だ。

そろそろ日も傾いてきた。今日はここに泊まらせて貰えないだろうか。

私は村長の家らしき所を尋ねた。

小太りの優しそうな雰囲気のおじいさんがでてきた。


「すいません。私は旅の者です。今日ここに泊まらせて頂くことは出来ますか?」

「おぉ、旅の者ですか。えぇ、是非どうぞ。この村には宿もあります。是非そちらをご利用してください。」

「ありがとうございます。その宿とはどこら辺にありますか?」

「なに、そこまで遠くはありませんよ。この家をでて真っ直ぐ行くと噴水があります。噴水の左に進んで数件先にある3階建ての建物が宿屋です。」

「ご丁寧にありがとうございます。」


私はお礼を言って村長の家を後にした。

宿に、私の所持金で泊まることは可能なのだろうか。私の所持金は小遣いを持ってきただけだから、たったの1000コインだ。それで今日1日、いやこれからを生きていけるのだろうか。働き口でも見つけて稼ぐべきだろうか。でも、私が?そんなことをしてしまえば、王都にいるのと何ら変わりない。やっぱり働きたくない。でも働かなくちゃ生きていけない。


(はぁ、疲れる)


「ここに今日1日泊めて頂きたいのですが、いくらですか?」


私は村長の言う通りに宿屋にたどり着いた。


「はいよ!なんだいお譲ちゃん、旅人かい?」

「はい。余りお金がないので最低ランクの部屋でお願いします。」

「いや、お金はいらないさ。なにせ俺は金のために宿屋をやっている訳ではないからな。」

「え、でも収入がないと困りませんか?」

「譲ちゃんは知らないのかい?お金は王都から支給されるじゃねぇか」

「え」


どうやらこの世界の村には月一で王都からのお金の支給があるらしい。そのお金でこれまた月一で来る行商人と取引をするんだとか。

王様は才能無しには人権がない、と言っていたが才能有りより無しのほうがいい生活をしている。

だから私も村に居た頃、親が働いていないのにいい生活が出来たのだ。


「それよりも、部屋だったよな。ほれ、これが部屋の鍵だよ。困ったことがあったら遠慮なく相談してくれ!」


私は店主さんから『104』の鍵を貰った。

さっそく部屋に行くことにした。


(100、、103、104あった!この部屋だ。)


私は鍵穴に貰った鍵を差し込み、回した。

ガチャという音と共に扉が開いた。

部屋にはベットと申し訳程度の机椅子とクローゼットが配置されていた。


(無料の割にきれいだなぁ)


部屋は掃除が行き届いており、埃が一つもなかった。

ベットをみていると無性に眠たくなってきた。


(昨日、寝た場所が地べただったからなぁ。)


そう思うと、今目の前にあるベットが雲のようにふわふわしている様に思えた。

私は上着や靴を脱ぎ捨て、ベットに飛び込んだ。

ベットは想像していたより、少し硬かった。でも、私がいつも使っていた布団よりは柔らかかった。

私はこのまま眠りに落ちることにした。

閲覧ありがとうございました。

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