人間見た目通りとはいかないらしい
お店を出ると10月ともあり少し涼しく過ごし安い気温だった。薄い長袖でちょうどいいや、分厚いやつだったら暑そうだったなー。
「兄さん、ごめん」
「ん?何で千景が謝るの?」
「僕が、回転寿司に行きたいって言ったからこんなことに」
んー……千景よく落ち込むな……頭が良すぎるのもあんまり良くないな。
「多分だけどね、どこのお店でもああなってたと思う。あの女性は僕達の家を見張ってたのかもしれないからね。それにさ、謝るなら僕だよ。亀裂に飛び込んで千景を助けに行った時、顔は隠してたけど千景の事を知らん振りするのを忘れてた僕が悪いんだ」
「で、でも!」
僕は両手をパンって叩き、「犯罪する人が悪い。これだけ分かってればいいんだよ」と言って話を終わらせた。
「学校は楽しい?イジメられてない?」
「あ、うん。楽しいよ!クラスメイトはうざい時もあるけど」
「そっか!楽しんでるなら良かった!将来の夢が決まったら僕にすぐ教えてね。手助けするからさ」
千景の夢なら僕は精一杯手助けしたいと思っている。千景には苦労をさせたくない、ただ幸せでいてそれを見守っていたい。
「うん!兄さんの夢は何?」
「僕の夢かー……夢はまだ無いけど、安全なダンジョンを作ってみたいなって思っているよ」
「安全なダンジョン??」
千景に僕が考えている安全なダンジョンを話してみた。攻撃を受けても死なないというのが大前提だ。致命傷を受けると、入口に転送される仕組みを取り入れる。その人の経験の差によって罠がどこにあるか知らせてくれるとか、ダンジョンの説明書配布とかを考えている。ちなみに入場料はちゃんと取るつもりだよ。
「安全なダンジョンが出来れば、ハンターも強くなれるし兄さんにもお金が入るのはいいね!!いつから作るの?」
「なるべく早く作り始めたいとは思ってるんだけどさ、中々時間が取れないんだよね。他のダンジョンも見てみないと」
ん?別に他のダンジョン見に行かなくても周りの人達に話を聞けば良いだけでは?フィノは長生きだから色々知ってると思うし、見に行かなくていいかも……。
「なにか手伝えることあったら教えてね!!僕さ兄さんのお手伝いしたいんだ!」
僕は千景の頭を撫でて「ありがとう」と言った。
「そういえばさ、鮫島さんってしっかりしてる時もあるんだね」
「確かにね。見た目と違くてびっくりしたなー。千景はどういう大人になりたい?」
今までこういう話をしたことがないから千景はどういう返答をするのかな?僕みたいになりたいとかかな?
「僕は、兄さんを護れる大人になりたいなって思う。それでね、あのお巡りさん?みたいなカッコイイ人になりたい」
「僕を護れる人か……あのお巡りさんって、刑事の合田さんかな?確かにあの人はかっこよかったね」
僕みたいになりたいって言うのかと思ってたから、なんか……うん……ちょっと、寂しいかも。
でも、成長してるってことだもんね。これから、見守ることも増えていくのかなー。
「じゃあ、将来は警察官になりたいの?」
「うん!警察官なら兄さんに何かあった時護ってあげられるでしょ!」
「そっか。千景なら頭も良いし運動神経も良いからなれるよ!」
千景の将来の夢が決まった瞬間に居合わせられて幸せだな。間宮さんに着いて来て本当に良かった!僕も友達ができたし、千景が幸せそうに笑ってくれているんだもん。
「そういえばさ、学校では何話してるの?」
「え?うーん……ハンターの話とかNo.0の話とかかな!でも、No.0ってどんな人なんだろうね〜」
ん??千景って僕がNo.0ってこと気づいてないの??千景の前で間宮さんとNo.0の話してたよね?それでNo.0は僕だって言ってたはずなんだけどな。両親以外の初めての大人に緊張していて話聞いてなかったのかな?
「どんなかね〜」
僕はイタズラ心が芽生え千景が僕がNo.0というのを気づくまで黙っていることにした。キングということは知っているから、早く気づきそうだな〜。気づいた時の反応が楽しみだな。
「兄さんは学校でどんなことしてるの?中学校ってどんなことするの?」
「勉強かな〜、中学校はあんまり小学校と変わりはしないよ。ただ、小学校ではクラブがあるけど中学校では部活っていうものになるくらいかな。あ、そうだ!クラブ入りたいのあったら入って良いからね!お金の事は気にせずね」
「うん!あ、じゃあ料理クラブに入りたい」
ん?何で料理クラブ?サッカークラブとか野球クラブとかもあるらしいのに、何で料理何だろう?
「何で料理クラブ?スポーツとかじゃなくていいの?」
「えっと、秘密!!」
「秘密か〜。いつか教えてね」
千景と色々話しているとあっという間に家に着いた。
「ただいま〜」と言って家に入ると玄関にフィノがいた。え?まさかずっと玄関にいたとかないよね?
「あの、ご主人様お願いがあるのですが」
「何?」
「……愚妹がこちらに来たいと五月蝿く……何度断ってもしつこく……嫌ですが、愚妹をこちらに招いて貰っても宜しいでしょうか?」
フィノはなんか物凄く疲れているように見える。僕達がお寿司食べに行ってから何かあったのかな?
「えー……すぐ帰るんならいいけど……そういえば、君達ってどこからこっちの世界に来たの?」
「奥深くの地下にゲートがあるのですそこからです。完全に重なってはいないので、私が現在知っているゲートの数は10個程です。恐らくこれから増えると思います」
重なり合った所は地球ではなくなるって訳では無いって事?ゲート?……まあ、扉みたいな物ができてそこから行き来ができるってことかな?で、フィノが日本にいるってことは異世界と重なり合っているのは日本なのかな?他の国は分からないけど、モンスターとダンジョンの多さから見て日本は完全に異世界と重なり合っていると思っていた方がいいかもしれない。
「なるほど。で、そのゲート?からフィノの妹が来る訳?」
「はい。よろしいでしょうか?」
「……人間に手を出さない、脅さない、誰にも見つからないこと、すぐ帰るなら許す」
絶対面倒臭いことになると思うけど、フィノの妹からも何か新しい情報が聞き出せるかもしれないからね。
「ありがとうございます」
今日は色々あって疲れたな。でも、千景と将来の話ができて良かった!




