偉い人は嫌いかも
部屋に入ると部屋にいた人達は僕を見て、周りでコソコソ話し始めた。大方僕がチビとか本当にNo.0なのか?ってことを話してるんだと思う。
「僕の事チビとか言ったら怒りますからね。こんな僕で大丈夫なのか?って不安に思うくらいなら僕に頼まないでくれませんか?」と椅子に座りながら言った。
「あ、いや。すまない」
「すみません。彼らに悪気は無いのです。自己紹介が遅れてしまいすみません。私は東京都知事の宮元です」
後任の宮元さんは意外と若そうだった。都知事になるくらいだからおばさんかと思ったけど、30代後半くらいかな?本人に聞いてないから分からないけどそれくらいに見える。
「悪気が無ければ何でも言っていいと思っているんですか?ま、それはいいです。僕は早く家に帰りたいので本題に入って下さい」
「はい。お電話でもお話した通り、沖縄奪還作戦を4月に決行しようと考えております。そこに相川さんに参加を願えればと思いまして」
国の偉い人ってどうしてこうも偉ぶってるんだろう?僕が参加するの当たり前みたいな態度うざいんだけど。
「電話でも言ったように嫌です」と断ると周りにいた人達は驚いていた。
「あの、それは何故でしょうか?」
「言いましたよね?僕来年の4月は高校の入学があるんですよ。作戦に参加したら入学式出れないかもしれないじゃないですか」
僕は沢山って訳では無いけど、何人か友達作りもしたいから入学式参加しなければならない。
「入学式なんかの為に断るのか!!!」と宮元さんの隣に座っているおじさんに怒鳴られた。え?なんでこの人急に怒鳴るわけ?
「本田さん、落ち着いて下さい。相川さん、この方は沖縄県知事の本田さんです」と、宮元さんが手で示しながら本田さんの自己紹介をしてきた。
「そうですか。本田さん、貴方の価値観で言わないでくれません?僕にとったら入学式って大事なんですよ。高校生活のスタートって入学式からだと思うんですよ。だから、僕は入学式に出たいんです」
ここにいる人たちは僕が学校に通うのを反対しているのかな?じゃなきゃ、こんな反応しないよね。
「君1人のちっぽけな幸せと、何百何千の幸せの方が大切だろう!」
「トロッコ問題ですか……で?それで僕が犠牲になれと?宮元さんもそうお考えなんですか?」
宮元さんは黙ったまま、少し考えた後うなづいた。
トロッコ問題とは1人を助けるか、大勢の人を助けるかのどちらかを選ばなければならない。選ばれなかった方はトロッコに轢かれるというものだ。
「ははっ、子どもである僕の意思を無視でいいと?分かってますか?死ぬかもしれない所に行けって、貴方達は言っているんですよ。No.0だから怖くないとでも思ってますか?そんなことありませんからね」と軽く笑いながら言った。
「それは、」
この人達は僕のことをどう思っているんだろう?何でも言う事聞く子どもだとでも思っているのかな?
「あと、頼む態度がそれですか?電話で頼んできたのもそうですし、僕は貴方達の友人か何かですか?普通なら椅子から立って頭を下げてお願いをする立場ですよね?あ、でも頭下げたからと言ってもそれを聞くとは限りませんからね?ただ、態度がなっていませんよねって言う話ですから」
「君は沖縄の人達が可哀想に思わないのか!普通なら助けたいと思うだろう!」
多分、本田さんは普通に生活をして来れたんだろうな。きっとモンスターが出て来なければずっと……。
「はっきり言いましょう。僕は可哀想とは思いません。どうせ、僕の生い立ち知ってますよね?僕がいた村は母が外国人で、僕と弟がハーフという事で村八分されていました」
「……それは沖縄とは関係ないだろう」
「僕、人嫌いなんですよ」とフードを取って、前髪を捲り見せた。
「このおでこの傷見えますか?これは村の大人に投げられた、何かの破片でこうなりました。血だらけになったのに村の病院では診て貰えなくて跡が残りました」
僕のおでこの右側の生え際には5cm位の傷跡がある。8歳の時に学校帰りにやられた……今だにこの時の夢を見る。母さんも父さんもすごく取り乱して、僕を抱っこして病院に連れていったのに診て貰えなかった。それで、母さんと父さんが泣きながら土下座までしたのに診てくれなかったのだ。それで、仕方なく自分達で処置をした。
「どうせ、学校での僕の事聞いてるんですよね?僕は優しいからすぐ頷くと思いました?僕が護るのは、僕の大切な者達だけです。そこに沖縄の人達は含まれません」
人間には護れる人数には限りがあると僕は思うんだよね。それは増やせもするし減りもすると思う。ぶっちゃけ沖縄の人達を護ろうと思えば護れるんじゃないかなーとは思うよ。けど、この人達の為に動くのはなんか嫌かな。
「相川さん、どうしても無理でしょうか?」
宮元さんって何で自分は関係ない人だと思っているのかな?国の偉い人ってどこか可笑しいんじゃない??
「意志を変える気はありませんよ」
「……先程の無礼を謝ります!お願い致します!沖縄を取り戻したいのです。まだ、沖縄に取り残されている人達がいるかもしれないのです。その者達を助けるだけでも手助けをして貰えないでしょうか?!」と本田さんは土下座をして僕にお願いをしてきた。まだ沖縄に人がいるかもしれないのか……。
「はあーー。分かりました。取り残されているかもしれない人達を助けることだけは手伝います。奪還作戦には参加はしませんよ」
「あ、ありがとうございます!!」
この人達のお願いを聞く気は無かったんだけどなー。でも、取り残されているかもしれない人達は可哀想だし……。
「で?取り残されているかもしれない人達を救出するのはいつですか?」
「出来れば、明日にでもお願いしたいのですが」
「分かりました。学校には公欠扱いにして貰えるよう貴方達がして下さいよ?僕これでも優等生なので休みたくないんですよ」
宮元さんが「分かりました。こちらで対処しときます」と返事をしたので、本田さんに僕は家に帰ると伝えた。救出作戦の詳細はメールでお願いしたので、帰宅石を起動して家に帰った。




