ダンジョンからの脱出に向けて
「とりあえず、ここから移動しましょう。さっきの戦闘音でモンスターが集まって来ると思うので」
「君、小さいのに強いのね」
「……小さいは余計です。さっきも言ったように僕はハンターなので、貴方達一般人を守る役目がありますので」
毎回毎回、僕を小さいやチビって言うの止めて欲しいよ。
健太とくるみちゃんは体格のいい男の人、2人がおんぶをして運んでくれることになった。くるみちゃんはおんぶできるけど、健太は無理!まあ、僕は戦闘をするからおんぶなんか出来るわけないんだけどね。
「結界は張っているので大丈夫ですが、一応モンスターには気を付けて下さい。物理や魔法、毒を通しませんが地面に生えてる毒草は退けられないので」
「君のランクって何位なの?」
この女性……なんでそんな事聞いてくんの?さっきは助かったけど、この人面倒臭い!!
「教えることは出来ません。少しでも体力温存の為に黙って歩いて下さい」
「顔なんで隠してるの?見せてよ」
まじこの人なんなの??知りたがりもここまでくると腹立つんだけど。
「……モンスターが寄って来るかもなので黙って下さい。人を守りながら戦闘するのって大変なんですから。戦ったこともない貴女には分からないかも知れませんけど」
この女性以外は皆静かに着いてきてくれるのになんで喋りかけてくんのさ。探知の魔道具を使ってモンスターやトラップを避けて通って、安全な道を探すの大変なんだから。
「え、でも」
「なぁ、姉ちゃんよ。黙ってくれよ。この坊主が言ったようにモンスターが来ちまうだろうがよ。それに、さっきのを見て俺達を守れるくらいには強いんだからそれでいいだろ」とおじさんがあの女性を説得してくれた。これでこの女性も黙って歩いてくれると助かるんだけど。
15分ほど歩くとこの人達がキツそうにしていたので、一旦ここで休憩することにした。
「これ、水と携帯食です」
「お、坊主悪ぃな」
全員に水と携帯食を渡して僕も水分補給をした。
ダンジョンの中ではスマホは使えないから、来栖さんや間宮さんに通信ができる魔道具渡しとくんだったな。
「皆さんはここで待っていて下さい。僕はこの先を少し見てきます」
「危険じゃねえのか?」
「僕の結界はそんな簡単に破れないので皆さんは安全です」と答えると、おじさんから「そうじゃねえよ。坊主が大丈夫か?ってことだよ」と言われてしまった。
「え?」
「坊主、いくらハンターといってもお前も子どもだ。お前が強くても心配位はする」
僕が強くても心配してくれるなんてこのおじさんは良い人だな。普通こんな状況なら、自分の心配しかできないだろうに。
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。弟を見ていて貰ってもいいですか?」
「え?!兄さん、僕も」と僕のパーカーの裾をギュッとしてきた。健太のあんな状況を見て不安に思ったんだろうけど、千景を連れて先に行くことはできない。
「千景、それはできないって分かってるよね?」
心苦しいけどここに居てくれないと困る。僕と一緒に行って千景がパニックになったら戦闘しながら、パニクってる千景を守れるかは少し不安だから。
「……でも」
「僕のお願いは断らないって決めてるよね?それにさ、くるみちゃんが起きたら千景が傍に居なかったら不安になると思うよ。だから傍に居てあげて」
「分かった。兄さん、すぐ戻って来てね?」と瞳をうるうるさせながら言ってくる千景が可愛い過ぎると思う。今思うことでは無いと思うけど可愛いと思ってしまった。
「じゃ、行ってくるのでおじさん弟のことよろしくお願いします」
「おう、頼まれた!」
万が一がないように結界をかなり強めに張った。
とりあえず片っ端からトラップを踏み抜いたり、解除して回った。千景達がトラップで怪我をするかもだから。
30分ほどモンスターを倒したり、トラップを解除して千景達の所に戻った。
「兄さん!無事で良かった!!!」
「うわーん!千尋君ー!!!!」とくるみちゃんが泣いて抱きついてきた。まあ、こんな状況だもんね不安だよね。
珍しく千景はくるみちゃんが僕に抱きついていても文句を言わない。
「ヒック、千尋君、も、うどこも行かないで、ヒック、くるみ、から、ヒック、離れ、ないで、ヒック」
くるみちゃんは鼻を垂らしながら泣いているので鼻を拭いて涙を拭った。
「くるみちゃん、ごめんね。それはできないんだ。僕はねハンターとして、ここにいる人達を守らなきゃ行けない。それには先に危険がないか見なきゃいけないんだ」
「で、でも!!」
「速水さん、我がまま言わないで。僕だって、ここにいて欲しいけど我慢するって決めたんだから」と千景が説得をすると、くるみちゃんは渋々ながら分かってくれた。分かってくれたとは思うけど、めちゃくちゃ僕をジーっと見てくるけどね。
「で、坊主どうだったんだ?」
「モンスターも倒して来ましたし、トラップも見つけられる限りは解除して周ったので一応危険はありません。なので進みましょう」
おじさんは僕に「坊主は休憩しなくていいのか?」と聞いてきたので、僕は「平気です」と答え先に進むことになった。
あらかたモンスターを倒したが何があるか分からないから警戒は怠ってはいない。
けど、後ろの人達はずっとモンスターが出てこないのでホッとし始めて油断していると思う。
「何が合っても僕が護りますけど油断は禁物ですよ」
周りの人達は僕の言葉に共感してくれて気を引き締めてくれた。
本当だったら今日は本を読んでダラダラするはずだったのになー……。
1時間程歩いてもう皆の体力が限界そうだったので、洞窟の中で野営することにした。
こんなことになるんならもっと食材とか入れとくんだった……今ブレスレットの中にあるのは携帯食と水と軽い調味料のみ。色々(食材とか家)入ってる、あのアイテムボックスが付与されてる服はリビングに置いてきてしまったからなー……。
「携帯食ではお腹貯まらないと思うので、モンスター狩ってきます」
「いや、大丈夫だぞ?携帯食を分けてくれるだけで助かっているんだからな」
周りの人達も「そうだよ!」や「食べる物があるだけ良いんだから」と言ってくれたが、明日もかなり歩くから食べとかないとキツいと思う。
「いえ、行ってきます。明日の為にも狩って来ます」
洞窟を出て森の中を探索すると、丁度よく兎みたいなモンスターを5匹見つけたので狩った。この兎みたいなモンスターは頭に角が合って大型犬程の大きさなので、15人くらいなら十分なはず。
血抜きをして毛を全て抜いてから兎みたいなモンスターをブレスレットにしまった。
千景達の所に戻ると皆なんでかホッとしていた。聞いてみると、僕がいつまで経っても帰ってこないから不安にさせてしまったみたい。
「すみません。血抜きとかしてたら遅くなってしまって」と言って、ブレスレットから血抜きがされてる兎みたいなモンスターを出した。
「おお、こりゃ大量だな」
「これを焼いて食べましょう。調味料も塩胡椒ならあるので」と言うと何人かからぐぅという音が聴こえた。
「僕もお腹空いちゃいました。焼いて食べましょ」
「おう!そうだな!坊主ありがとうな!」
健太はまだ目が覚めない……命の危険は無くなったけど、まだ危ない状況ではある。
兎みたいなモンスターを3匹焼いて皆で食べた。ただ焼いて塩胡椒をかけたぐらいなので、お世辞にも美味しいとは言えなかった。
でも、皆満腹になり眠くなってきたのでもう明日に備えて寝ようということになった。




