僕の大切な者
僕はバリケードを作る人達を守りながらモンスターを討伐していた。
今回は人目が多いため魔法だけでモンスターを倒している。もちろん使っているのは風魔法、だって返り血が少ないのと素材が傷つきにくいから。
毎回不思議に思うのはモンスターを倒すと宝箱がなぜ出てくるかってこと。
不思議すぎる……色々な学者が考察をしてるけど答えは出てこない。
風魔法で浮かびながらダンジョンから出てくるモンスターを倒して、影魔法で倒したモンスターと宝箱を別の所(僕が浮いている下)にずらすことを3時間ほどやっているとバリケードが完成したようだ。
バリケードが完成を見計らってか、ダンジョン探索に出掛けた来栖さんとハンター達が帰ってきた。
「来栖ハンター、終わったようだし僕帰るねー」
「ありがとう」
「え??まだ後始末があるのに帰るってどういうことだよ?」と来栖さんに突っかかっていた男のハンターが、今度は僕に突っかかってきた。
「僕はダンジョンから出てきたモンスター討伐をするってことだけのお話なので。僕が倒したモンスターはアイテムボックスが付与されたブレスレットにしまって行きますねー」と言い逃げをした。きっと来栖さんがどうにかしてくれるはずだし。
思ったよりも早く家に帰れた。
千景は速水兄妹の家に泊まりに行っているから、今この家にいるのは僕だけ。
久しぶりに1人なので、夜は買っておいたカップラーメンでも食べようかなと思ってらまたしても僕のスマホが鳴った。
電話に出ると「初めまして。健太とくるみの母です」と名乗られた。お互い掛けたことはないけど、僕と速水兄妹の母親とは連絡先を交換しといたのだ。速水兄妹が僕の家にめちゃくちゃ来るから……。
そして、速水兄妹の母親から驚きの事を聞かされた。
なんとあの馬鹿から“今から家に帰る”とメールが来たが帰って来ない。しかも、その連絡が来たのが15時……今の時間が18時半。
千景もいない。どうしよう。どうしよう。と、とりあえず落ち着かなきゃ。
一応テレビを着けなにか情報がないかと観ていると、緊急速報で僕の家の近所で亀裂が発見されたと流れてきた。
「速水さんのお母さん、今テレビ観てますか?」
「え?テレビ?観てないけど」
「多分……速水兄妹と僕の弟……は亀裂に落ち……どこかのダンジョンに、落ちた可能性が高いです」
「え?!……そんな?!?!」
亀裂とはダンジョンの入口とはまた別なもの。亀裂はどこのダンジョンに繋がっているか分からないため、亀裂に落ちた人を救うには亀裂に入るしかない。
だが、ダンジョンの入口とは違い亀裂は空中にほっぽり出されたり、水中にほっぽり出されたりする。
そのため、亀裂に落ちると死ぬ可能性が高いのだ。
「亀裂に巻き込まれた、人は多いみたいです。救助隊も今から編成するみたい、です」
僕が呆然としていると、いつの間にか通話は切れてしまっていた。
千景が死んでしまったのかもしれない……。
僕のたった一人の大事な弟……家族。
いや、呆然とする前に行動しよう。死んでいないかもしれない。千景には結界と自己治療の指輪を渡してるし、僕の魔力も入れられる限り入れたから大丈夫なはず。使い方も教えたから、きっと大丈夫だ。
僕は亀裂がある場所に急いだ。
亀裂がある場所に着いてみると、警察官とハンターと自衛隊が亀裂を包囲している。
僕は顔を隠す魔道具を発動させ亀裂に飛び込んだ。警察官やハンターと自衛隊が何か叫んでいたが、僕は気にしなかった。だって、弟を助けるためと馬鹿とその妹も助けなくちゃだから。
亀裂の出口はすぐ地面の所だった。不思議なことに亀裂の一方通行なため、出口は入ることができない。
亀裂の傍には誰もいない。
「なんで亀裂の傍にいないの?救助隊が亀裂から来るから出来る限りその場から動かないのが鉄則なのに……もしかしてモンスターに襲われて逃げてる?」
周りを見てみると洞窟の壁には至る所に傷が付いている。傷は一方に続いているので、僕はそっちに向かって走った。
15分ほど走ると悲鳴が聞こえた。
見えたのはモンスターが千景達を襲っている所だった。でも、僕が作った結界が付与された指輪を発動させていたので千景達は一応安全だ。
と、思った次の瞬間結界がピキピキとひび割れてカマキリみたいなモンスターの鎌が結界を貫いた。
でも、結界にひびが入った瞬間に僕のスキル結界を使ったので千景達は無事だ。
遠目から見た感じ千景は大丈夫そうだ。けど、あの狭い結界の中に15人ほどいる……千景の為だけに作った物だからよく15人も入ったな……。
とりあえずモンスターを倒して千景達に近づいた。
「兄さん!!!!」と千景が結界を出て僕に抱きついてきた。嬉しかったけど僕は「千景!ここはダンジョンの中なんだ!結界から出たら危ないだろ!」と怒った。
実の所を言うと千景に怒ったのは初めてだ。
「あ、ごめ、なさい」
「分かればいいんだよ。でも、無事で本当に良かった」
「ちが、健太さんが、僕を庇って、怪我、あの」と千景がオロオロ言ってたので、千景を引っ張って結界の中に入りあの馬鹿を見ると腹から血が出ている。
流石にこれはまずい!早く治療しないと死んでしまう!!
「チビ…ロ、ごめ、俺、お前に酷いこと、」
「出会いのこと言ってんのか?!いいから黙ってろ!」
「お、れ、何でも恵ま、れてるお前が、羨まし、いって思って、いたんだ。で、もそれはちが、うって、知って」
「健太!!お前は助かるから!それは後で聞いてやる!今は気力をしっかり持て!」
千景から指輪を借りこの馬鹿に指輪をはめ僕の魔力を指輪に流した。指輪に入っていた魔力は結界で全て使い切っていたからだ。
健太はギリギリの所で助かった。でも、完全に治った訳では無いから油断は禁物だ。自己治療は完全に治るわけではない。
僕はまだまだ未熟だから完全治療の魔道具が作れない。
油断は禁物とはいえ、健太は一応落ち着いている。
周りの人達は大きな怪我はないようだ。かすり傷は所々あったが。
「ねえ、千尋君……あ、あの、……ぐすっ、お兄ちゃん、ぐすっ、し、死な、ない?」とくるみちゃんが泣きながら僕に聞いてきた。そうだよね、兄のこんな姿見たら不安になるよね。
「大丈夫だよ」
「ぐすっ、ほ、ほんとぉ?」
「うん」と言ってあげるとくるみちゃんはホッとしたのか気を失ってしまった。
僕は早くダンジョンを出て健太を病院に運びたかったので、周りの人達に「僕が皆さんを守ります!なのでダンジョンから抜ける手伝いをしてくだい」と言うと戸惑うだけで手伝いはしてくれそうにない。
でも、この人達だけを置いていくことなんかできない。
頑張って説得を試みたけど救助隊を待った方がいいという流れになってしまった。
「僕が皆さんを守ります!」、「大丈夫です!僕はハンターです!」、「結界のスキルがあるし魔力も沢山あるので安心して下さい」と言っても誰も聞いてくれない。
絶望していたその時、肘を怪我している女性が「子どものこの子に助けて貰って、大人の私たちが動かないでどうするですか!それに、私達はこのお腹を怪我した男の子に命を救われたじゃないですか!この子を助ける行動をしましょう!!」と足を震わせ皆を説得し始めてるくれたのだ。最初は「ここにいた方がいい」や「動く方が危ない」と言った意見も合ったが、「私たちの命の恩人や今私達を助けようとこの子は動いてくれているんですよ!大人の私達が動かないでどうするですか!!」という発言で流れが変わった。
この女性のおかげでダンジョンの出口に向かおうと決まった。
もう1話か2話更新出来たらなーと思っております




