第1.5話 転生-地上へ
ガサッ
物音がした。目の前の草やぶからだ。
「ピピッ」
鳥が羽ばたき飛んでいった。
「……なんだ。」
驚いて損した。さて、ここはどこだろう。
いきなり暗闇から起こされて、あのタルタロスとかいう男女によれば何か罪を起こした私を助けてくれたようだ。
しかし、暴れた?全く記憶がない。名も適当につけられたばかり。そもそもタルタロスという人物が誰なのかも知らないしあの獣面の人物も知らない。そして修行と称して今ここの森に飛ばされた。どうやったのか知らないが一瞬で景色が変わり、タルタロスたちの姿は見えない。転移させられたのか。
「さて、と」
記憶はないが、知識はある。まずはやれることをやろう。自分の確認だ。
服は見た感じ布切れ1枚。痩せている。背はそこまで高くない…子供…いや少年と言えるぐらいか。髪は長いようだ。金色に近い。性別は男。指も動く、足も動く。麻縄で編まれた靴。歩ける、走れる。
「あ、あーーー!」
声は出る。先程まではなかなか声を出すのが難しかったが、発音に慣れていない…いや、発音を忘れていたようだ。慣れてきた。
さて、次は周りの確認。
どこかの森のようだ。天気は晴れ、雲ひとつない晴天。季節はわからない。寒くもなく、暑くもない。日当たりは悪くないが奥に進めば悪そうだ。正直布切れ一枚でうろついていい場所ではない。太い木がまばらにある。それなりに古い森か。
とりあえず進もう。修行と言っていたが、何も言われない。生き延びろというのだろうか。
わからん。
道がわからん。
あれからどれだけ歩いただろう。平坦な道が多いとはいえ石や木の根があり歩きづらい。靴も縄で編まれただけだ、こすれるし、石が刺さるし痛い。
近くに村か何かないか。このままさまよいつづけるだけなのは嫌だ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
歩き疲れた。靴に血がにじみ、汗が垂れる。歩くだけでも汗はかく。少し休んで
パキッ
枝が折れた音がした。それ自体は大したことではない。しかし、
「ぶもぅ!」
「くっ……!!」
イノシシだ。