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剣聖の技

再び父親と対戦することになったリューライは剣聖の技をコピーして……

***


 リューライは剣聖の技をコピーした。

 これを可能にした理由は2つある。

 一つ目は東龍雷であった時、幼い頃に受けた虐待だ。

 何か少しでも親の機嫌を損ねると殴られる。

 龍雷はそんな環境で生きてきたので、人の様子や動きをずっと注意深く見てきた。

 いつしかそれが癖になっていて、人間観察を息をするようにしていた。

 そんなリューライだからこそ、父親の動きもじっと見てコピーできたのだろう。

 二つ目の理由はリューライとなってこれまでずっとやってきた身体強化によるものだ。

 リューライは身体強化をかける時いつも、目、つまり動体視力を上げてきた。

 これによりリューライには世界の進み方がすべて遅く見える。それはもちろん剣聖の技も含まれる。

 この二つの理由により、リューライは剣聖の技をコピーできたのだ。

 

***


「な、なんでこの技を使えるんだ?」

 俺は父さんの技をコピーしたのだが、それは剣聖の技だったようだ。

 「俺は父さんに勝つ!」

 俺がそう言うと、父さんはニカッと笑って、

 「流石、俺の息子だ!今からは本気で行くぞ!」

 と言った。

 それと同時に、父さんから今まで感じたことのない、凄まじい覇気を感じた。

 全身がヒリヒリする。

 これが、剣聖の、ちから。

 《お前、よく、あの技をコピーできたな。》

 (まぁ、訓練してきたから。)

 《いや、もし見えたとしても剣聖の技は扱えないのが普通だ。やはりお前には何かがある。》

 (そうだといいな、あはは。)

 父さんの圧力で話が入ってこない。

 「アイテムボックス!」

 俺はアイテムボックスから石を投げつけた。

 「そんな攻撃、もう見切った。」

 父さんはいとも簡単にその攻撃を止めた。

 「七の剣、縮地切り。」

 父さんは一気に俺との間にあった間を詰めて、俺の間合いに入ってきた。この技は相手との間にある空間を縮めて相手の急所を狙う技のようだ。

 「一の剣、駿切!」

 俺は慌ててさっき習得したばかりの技を発動した。この技は発動した後のあと隙が少ないから防御にもよく使える。

 縮地切りはもう見た。

 「しぶといな。流石俺の息子だ。本当に7歳か?」

 父さんにはまだ喋るほどの余裕があるようだ。

 「七の剣、縮地切り!」

 俺はすかさず剣聖技を使った。

 「おお!これもコピーするのか。」

 それからも俺たちは斬り合った。


ーーーー1時間後


 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 正直ここまで長引くとは思ってなかった。

 前に戦った時は10分もしないうちに俺の体力が尽きた。

 けど、今は、こんなに戦えている。

 ゴーレムのおかげだ。

 師匠がいてくれたから。

 この世界に来れたから。

 俺は恵まれすぎている。

 「九の剣、雷電の御告げ!」

 父さんはこの1時間、九つの型を撃ってきた。

 俺は全てをコピーして返すだけだ。

 《剣聖の10個目の型は回復の型だ。もうこれ以上の火力が出る技は無いはずだ。あいつがこれまでの剣聖と同じであれば。》

 これ以上の火力はないのか。

 父さんも結構消耗してる。

 これなら勝てる!

 「本当に、強いな!次の一撃で勝負が決まりそうだ。」

 「そうだね。次の一撃で決めよう。」

 俺は今までで1番集中して、全身、そして剣先に魔力を集めた。

 「四の剣、光源の荒鷲!」

 俺は九の剣、八の剣と並ぶ剣聖技の最高火力を誇る技を撃った。

 これは勝った!と思ったのだが、

 「剣聖の剣、最終奥義、紅蓮の神童。」

 「!?」

 なんだ、この技、最終奥義?

 目に見えない。コピーできない。避けられない。

 俺はブラックベアと戦った時に感じた鮮明な死のイメージを感じた。

 

 バコッ!!!! ドスッッ!!

 

 鈍い音がして俺の意識は遠く遠くへと、沈んだ。


 「う、うぅ……」

 目を覚ますと俺がいつも睡眠をとっているベッドの上にいた。

 「いてっ!」

 なんだこれ!?全身が痛い!

 《お前が無理をしたから、体がついていけてないんだ。》

 師匠。最近師匠の声を聞くと落ち着くな。

 (そうですか。そうか、俺、負けたんだ。)

 《俺も最後の技には驚いた。初めて見たからな。お前の最後の技も間違いなく今までで1番だった。それを真正面から砕かれたんだ。しょうがない。》

 (ありがとうございます。師匠、俺もっと強くなりたいです。)

 《そう言うと思ったぜ。1番強くなれるのは魔境で暮らす事だが……》

 (じゃあ俺、魔境に行きます。)

 《お前の親が許さないだろう。》

 (説得します。)

 こうして親を説得しに行ったのだが、

 「そんなの絶対にダメよ!」

 「そうだ、あそこは俺よりも強い魔物がいるんだぞ。」

 やっぱりダメか。だが、

 「魔境が危ないのならここも同じじゃないか。魔境から全然離れてないんだし。」

 そうだ。ここもほとんど魔境の一部じゃないか。

 「魔境には広域、中域、狭域と言う段階がある。広域、中域は俺たちで対応できるが、狭域では俺たちは虫よりも弱い存在なんだ。ここは広域の魔物しか出ないから良かったんだ。」

 「それでも、俺は行く。強くなるんだ。」

 俺は一歩も引かなかった。

 「分かった。」

 両親はなにか覚悟を決めたような真剣な顔でそう言った。

 「ただし、これを持ってけ。」

 何か黒いキューブのような物を渡された。

 「これは?」

 ペットボトルキャップくらいの大きさしかないのにも関わらず、すごい魔力量を感じた。

 「転移魔法陣だ。場所はここに設定してある。一回しか使えないが、命の危険を感じたら必ず使え。それが守れるんだったら行っていい。」

 「やったー!絶対守ります行かせてください!」

 こうして俺は危険な危険な魔境に行く予定を立てた。


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