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ゴーレムとの修行

父さんにボロ負けした。

よし、ゴーレムと修行しよう!

 「あーーー!!!!どうしたら勝てるんだ!」

 初めて父親に稽古をつけてもらってから1週間が経ったが、いまだに勝つどころか剣先を当ててすらいない。

 毎日魔力の特訓をしている。それも今まで以上に質を上げて。

 そして何より、その訓練に上乗せして剣の修行もしている。木に木刀を当てるだけだが、やはり相手が欲しい。動く相手が。

 (と言う事なんですよ。)

 俺は師匠に相談していた。師匠なら何か知ってるかも。

 《なんだ、そんなことか。相手なら作ればいい。》

 つくる? そんなことが出来るのか?

 《ちょっと体の主導権渡せ。》

 相手を作ると意味のわからない事を言われてから体をあけ渡せと言われたので少し混乱している。

 《早くしろ。相手が欲しいのだろう?》

 (はい。)

 俺は師匠と人格の入れ替えが自由に出来るようになっていた。

 『やはりこの体は動きにくい。早くレベル上げろ。』

 (ごめんて、それで相手を作るって?)

 《ゴーレムだ。》

 ゴーレム? ゴーレムって何だ?

 《ゴーレムは戦うお人形とでも思っておけ。》

 なるほど。これなら相手ができる。

 でも、、

 (そんなもの作れるのか?)

 《あぁ、よく見とけ。》

 師匠はそう言うと、地面に手を当てた。と思ったら、土の形が変形して俺と同じくらいの大きさの人形になった。

 《これは土魔法【形成】だ。土を好きな形に変形できる。》

 おー、これでお人形の完成だ。……でも、これ動かないじゃん。土の形を人と同じにしただけじゃないか。

 (師匠、動かないと意味がないよ。)

 《あぁ、もう今からやるから待っとけ!》

 俺が短気でした。すいません。

 師匠は人形に手をかざすと人形の指先、つま先、頭や心臓にまで細かく魔力を流していった。

 そして魔力を流された人形はゴーレムとなった。

 [ワタシハ、ゴーレム、アナタノ、アイテヲ、スル、カカッテコイ。]

 どっかのAIみたいな話し方だな。

 (師匠、これがゴーレム?)

 《あぁ、今のお前よりすこーしだけ強い設定にしてある。今日からは四六時中これと戦え。》

 

 この日から俺はゴーレムと戦った。何度も、何度も、何度も何度も。

 父さんは1日一回と言っていたが、俺はゴーレムに勝つまで稽古はいらないと言っておいた。

 目標がいくつもあると集中できなくなると思ったからだ。

 いつも俺より少し強い設定なので俺が強くなればなるほど、このゴーレムも強くなる。

 1日20時間庭で戦っているので、疲れる。

 「おい、リューライ、ちょっといいか?」

 いつものようにゴーレムと戦っていると、横から父さんが話しかけてきた。

 ここ最近見守ってくれていた父さんだが、今日は母さんと隣り合って俺を見ている。

 「どうしたの? 2人とも。」

 俺がそう質問すると2人は答えた。

 「「どうやってゴーレムを作ったの?」」

 どうやってゴーレムを作っただと?

 「なんだ、そんなことか。このゴーレムはししょ……」

 両親、師匠の存在知らないんだった。

 「俺が土魔法【形成】で形を作って、魔力を込めたんだ。」

 やばい、俺がこんな魔法使えるわけないだろ。

 そう思ったのだが、

 「凄いわ!これだけ高度なゴーレム、6歳にできることじゃないわ!流石私の子!」

 えっ!?

 「そうだな。このゴーレムも凄いし、最近の剣の動きも見てて心地が良いからな。」

 いやいや、普通に考えて6歳児に出来ないだろ。

 バカなのか? まぁ、こんな2人が好きなんだけど。

 「冒険者になりたかったらいつでも言え!王都まで連れてってやるからな。あぁ、でも冒険者は10歳からしか出来ないな。それまで特訓だな。」

 両親は俺のやりたいようにやらせてくれる。

 俺はより一層訓練に精進するのだった。

 

 ーー「うぉーら!」

 俺は今日もゴーレムと戦っている。

 お互いに木刀を持って戦っているのだが、それらがぶつかり合うと、手榴弾が爆発したような音があたりに響き渡る。

 もう毎日ゴーレムと戦うようになってから1ヶ月が経とうとしている。

 だが、一勝もした事がない。

 当たり前と言えば当たり前だ。

 自分より強い設定にしてあるのだから。

 だが、師匠は《勝つ方法はある。》と言って俺もゴーレムも強くなっていく一方だ。

 俺は毎日身体強化をかけながら戦っているので、魔力量や、魔力の質、密度、制御などの魔法使いに必要な力をどんどん身につけていった。

 でも、勝てない。

 どうしたら勝てる?

 身体強化はいつも限界までかけている。

 剣の振り方?

 いや、師匠に指導してもらいながら振っているからそれもない。

 せめて相手の武器が無くなってくれたら剣で受け止められることもないし、流石に避けられないだろう。

 んっ、武器を無くす……

 これ、可能なんじゃないか?

 無くすにはどうすればいい?

 アイテムボックスに放り込む?

 いや、そんな繊細なことは出来ない。

 他に無くす方法…………

 壊せばいい。

 壊すにはどうすればいい?

 思いっきり武器をぶつける?

 いや、耐久力は同じだから無駄だ。

 じゃあ俺の武器の耐久力を上げればいいのか?

 どうすれば…………

 

 無属性魔法にはなんでもできる。


 師匠の言葉だ。

 そうだ。自分の武器に強化エンチャントを掛ければいいんだ。

 俺は昔アニメで見た自分に仲間にバフをかけて強くなる映像を思い出して想像した。

 仲間を剣と置き換えて……

 俺がイメージしていると、

 

 バチっ、ビリビリ、ヴォーン……


 俺が握っているのはただの木刀なのにも関わらず、凄まじい覇気を纏って周りの空気を揺るがしているのを感じ取る事ができた。

 これなら勝てる!

 俺は今まで何回も挑んだ高い壁、ゴーレムに向き合った。

 「今までとは違うぞ!ゴーレム!」

 [カカッテコイ、ナンド、ヤッテモ、オナジダ]

 俺は今までゴーレムの首を狙って剣を振っていたが、今日は相手の武器を目掛けて攻撃を仕掛けた。

 もちろん武器に強化魔法を付与して。


 バキッ!!!!


 鈍い音がした。

 そして、ゴーレムの胴体は真っ二つに切断されていた。

 「えっ!? あれっ?」

 《やっと勝てたか。》

 (俺、剣しか切ってないんですけど、なんでゴーレムまで切れてるんですか?)

 俺は多分剣を切った。でも、なぜか全く切った感覚がなかった。

 確かに当たったはずだけど、俺は空振りしたと錯覚した。

 しかし、剣が折れた音がしたし、この目で見ている。

 《お前の武器強化が強すぎたんだ。だから剣だけを切った感覚でもゴーレムまだ切れた。切った感覚がなくても完全に真っ二つになってるんだ。流石にここまで武器強化出来るとは思ってなかったぞ。》

 俺、そんなにイメージできてたのか?

 確かにアニメの中のキャラたちもめちゃくちゃ強くなってたけど。

 まぁ、とにかく勝てた。

 ここで俺は一つ決心した。

 「父さん、手合わせ、お願いします。」

 それは父へのリベンジマッチだ。

 「いい表情だ。早速やるか。」

 前にやった時は手も足も出なかった。

 今も勝てるとは思っていないけど、少しでも着いていけたらと思う。

 そして、父親対息子の勝負が始まった。

 「身体強化、武器強化、付与。」

 俺がそう唱えると俺の周りにはヒリヒリとした空気がまとわりつく。

 「よし、来い、リューライ。」

 父はドンッ、と構えてこちらの様子を伺っている。

 俺は今回、師匠の指示なしで1人で動いている。

 ゴーレムとの戦いの中で師匠は勇者の剣の型を教えてくれた。

 型は全部で8個ある。


 一の型、閃光の雷

 二の型、赫狼の豪炎

 三の型、蒼水の神水

 四の型、橙楼の土城

 五の型、翡翠の木槍

 六の型、真珠の双蘭

 七の型、黝緇の覆拳

 八の型、幻姫の伊奘冉

 

 教えてもらった。やり方も。それでも俺は何一つとして出来なかった。まぁ、あの勇者サンドラと同じ型なんてすぐ使えるわけないとは思っている。

 それに、この型を使うには勇者術という特別な力が必要らしい。

 そして俺の体には勇者術に対応できる核が存在するらしい。

 この核は師匠と俺にしか無いらしい。

 理由は知らないけど。

 だからこの型は後々使えればいいと思う。

 それよりも、今できる技で、父さんを倒す。

 俺は父さんに斬りかかった。

 

 キィーーーーン!!

 

 剣と剣がぶつかり合う。

 今、俺たちは木刀で戦っているが本当の剣で戦っているかのような耳に響く音が辺りの空気を揺らす。

 「……」

 武器に強化魔法を付与しているのにも関わらず父さんは受け止めた。これが剣士としての才能ってやつか。

 すかさず俺はカウンターをくらわないように距離をおいた。

 「いい判断だ。」

 「そう言ってくれるのは嬉しいけど、父さんも気を抜かないほうがいいよ。」

 俺の言葉に父さんはキョトンとしていた、が、

 「いてっ!」

 俺はアイテムボックスを使って父さんに攻撃をしかけた。

 アイテムボックスの中のものは自由に操れるのでアイテムボックス内から外に物を飛ばすこともできる。

 俺は20センチほどもある石をアイテムボックスにいくつも溜め込んでいたので、それを思い切り父さん目掛けて飛ばしている。

 「なんだ、これ!いてっ!魔法か?」

 「こんな魔法、見たことない。」

 戦いを見守っていた母さんも驚いた表情をしている。

 「隙あり!」

 石への防御に専念しようとしていた父さんに隙が生まれたので、すかさず斬りかかった……のだが、

 「一の剣、駿切!」

 父さんはそう口にすると目の前から消えた。

 「まさか、お前相手に剣聖の技を使うことになるとはな。」

 剣聖? そんなものがいるのか?

 《あれは、厄介だな。剣を極めた者、いわゆる剣聖と呼ばれる者しか使えない技だ。やはり、お前の父親は剣聖だったのか。》

 はっ? 父さんが剣聖?

 「剣聖相手とか、テンション上がるな!俺も負けねぇぞ!一の剣、駿切!」

 「!?」

 よし、できた!

 この時、俺は剣聖の技をコピーした。

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