表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/124

第82話 明日また続きに挑戦だね

「まだクリアじゃないよ? だって今の、ただの中ボスだから。一応、まだ全行程のほんの五分の一くらいかな?」

「ちゅ、中ボス!?」

「じゅ、十分の一!?」


 聞きたくなかった情報に、思わず裏返った声で叫ぶアリスとガイザー。


「うん、そうだよ。だから今日のところはここまで。明日また続きに挑戦だね」

「「……」」


 どうやらまだこの過酷なダンジョン攻略は終わらないらしい。

 二人は絶望的な顔で絶句するのだった。







 それから何日もかけて、大幅に強化されたダンジョン『岩窟』に挑み続けたアリスとガイザーの二人。

 ただひたすら魔法陣から出てくる魔物を倒すだけの訓練も、もちろん非常に過酷だったが、やることが絞られている分、まだマシだった。


 こちらはどこから魔物が現れるか分からない上に、厄介なトラップまであって、常に色んなことに注意を払い続けなければならない。


 しかも複雑な迷宮だ。

 現在地が分からなくなったら、幾度も同じ場所を行ったり来たりしなければならない。


「ワオオオオンッ!?」

「はぁはぁ……こ、今度こそ、ボスを倒した……?」

「違うよ。今のも中ボスだよ」

「どんだけ中ボスがいるっすか!? しかもちょっとずつアップグレートされてってるっす!」


 加えて、なかなかボスのところまで辿り着くことができない。

 幸いすでに攻略した地点までショートカットすることができたものの、どこまで進んでも中ボスに次ぐ中ボスで、一向にダンジョンの終わりが見えなかった。


「これが本当に最下級ダンジョンだったの……?」

「……とてもそうは思えないっす」


 こうした過酷なダンジョンで、彼らは来る日も来る日も戦い続けた。

 そんな彼らの間には、いつしか友情が芽生え――




「ちょっと! 何でまたトラップ引っかかってんのよ!? 今の見ただけで分かるでしょうが! 馬鹿なの!?」

「自分だって、さっきトラップ発動させて、天井から魔物を降らせたじゃないっすか!」

「あ、あれは魔物の攻撃を避けた場所に、運悪くスイッチがあったからよ! あんたみたいにただ歩いてるだけで踏んだりしないわよ!」

「オレにばっかり前を歩かせておいて、よく言えるっすね! 自分も前を歩いてみたらどうっすかっ?」

「はあ? 後衛の私に前を歩かせるとか、意味分からないんだけど! 盾役のあんたが先頭を行くのは当然でしょうが!」




 ――ることはなかった。

 むしろ幾度となく互いを罵り合い、険悪な雰囲気になってしまっている。


 それでもついに、真のボスの部屋へと到達したのだった。








「ワオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!」


 彼らを待ち構えていたのは、今まで倒してきた中ボスとは比較にもならない巨体と、凄まじい威圧感を放つコボルトである。


「こ、こいつは間違いなくボスでしょ!?」

「これでまた中ボスだったら心折れるっす!」


 本来ならごく普通のエルダーコボルトが、このダンジョンのボスだった。


 しかしエデルによって強化されたことで、キングコボルトへと変化。

 それどころか、様々な特殊能力すらも身に着けていた。


「オオオオオオンッ!!」

「「く、口から雷撃っ!?」」


 咆哮と共にその口から飛んできたのは、雷のブレスである。

 だが通常のキングコボルトにこのような能力はない。


「ただのキングコボルトじゃないってことね……っ!」

「雷撃っていうのが厄介過ぎっす! 多分、まともに喰らったら麻痺状態にされるっすよ!」


 言ってみれば、キングコボルトの変異種だ。

 そしてさらに二人を絶望させたのは、中ボスのエルダーコボルトも行っていた配下の召喚である。


「「「ワオオオオオンッ!」」」

「「って、エルダーコボルト!?」」


 加勢に現れたのは、なんと中ボスとして幾度となく彼らの前に立ちはだかったエルダーコボルトだった。

 しかも三体である。


「も、もしかしてクリアさせる気ないんじゃないの!?」

「でも、やるしかないっす!」


 何とか気力を奮い立たせ、最後の戦いに挑むアリスとガイザーだった。


『生まれた直後に捨てられたけど、前世が大賢者だったので余裕で生きてます』の書籍版2巻が、今月18日に発売されました! よろしくお願いいたします!!(↓の表紙をクリックすれば公式ページに飛べます)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

女神100人3巻
6月14日発売!!!
― 新着の感想 ―
[良い点] 最初は俺ツエーのありきたりで幼稚な作品に思えましたが、 「読み進めてしまう」魅力があり、最後まで読んでいました。 色々と振り切った表現や、工夫された予想外の展開などが作品の魅力になってい…
[良い点] 中ボスって、中間地点に一体だけいると思ってましたが、何体もいるんですね。鬼畜w 二人ともなんだかんだ仲良し!
[気になる点] 主人公「まだクリアじゃないよ? だって今の、ただの中ボスだから。一応、まだ全行程のほんの五分の一くらいかな?」って言ってるのに、女の子の方が「じゅ、十分の一!?」っていうってなんかおか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ