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第103話 間に合ったなり

「あの少年、一年生ながら闘気剣を使うなんてな! 将来が楽しみだぜ!」

「彼はゲルゼス=グレイゲルの弟ですね」

「なにっ、それは本当か、セルティア? よく知っているな~」

「なぜか凶悪化したダンジョン『岩窟』の一件で、彼も最下層にいましたから。その後、気になって調べてみたのです」


 六年生と思われる男女が観客席で話をしている。

 どうやら対抗戦を見に来たらしいが、彼らは周囲の観客たちの注目を集めていた。


「なぁ、あの二人って……」

「ああ、絶対そうだ。ナインスターズの……」

「さ、サイン貰えるかな……」


 彼らは生徒会〝ナインスターズ〟のメンバーなのである。

 全生徒の憧れでもある生徒会の一員ともなれば、普段から注目されることに慣れているのか、周りの反応など意に介さず、彼らは会話を続ける。


「へえ。それにしては随分と素直そうだな?」

「ですがつい最近までは、非常に喧嘩っ早い性格で、素行も悪かったようです」

「最近までは? 何があったんだ?」

「噂では、あのエデル少年に〝調教された〟とか」

「……意味が分からん」


 そんな話をしていると、いよいよ四つ目の競技が始まるようで、実況の声が響き渡った。


「さあ、一年生の対抗戦も、いよいよ終盤戦に入ってまいりました! そしてそして、次の種目はっ……大人気の殲滅戦~~~~っ! すなわち、敵プレイヤーを倒していき、撃破した人数が多かったクラスの勝利! 全種目の中で最もシンプルと言っても過言ではありませんっ! それだけに純粋な実力が問われます! もちろん、六つ巴の超乱戦っ! いかに立ち回るか、戦略も重要だぁぁぁっ!」


 会場も一気にボルテージが上がり、それに反比例するように生徒会の二人への注目も薄れていく。


「フィーリのやつはまだ来ないのか? そろそろ従妹も出そうだが」

「噂をすれば、ようやく来たようです」


 二人が視線を向けた先から、どことなく眠い目をした青い髪の少女がやってきた。


「ありあり、もう終わった?」

「いいえ、まだあなたの従妹は出場していませんよ」

「間に合ったなり~」

「予定では最初から見るはずでしたよね?」

「それより、ありありと、ぱいせんの姉ちんの組、どーう?」

「……今のところ同率二位につけています」


 そんなやり取りをしていると、また実況が大声を響かせた。


「こ、これはっ!? え、F組、正気でしょうか!? 残り出場可能な生徒九人のうち、なんと、この四つ目の競技に、八人を投入するつもりのようです! わたくしの計算が正しければっ、そんなことをしたら最後の競技、一人しか出場者がいないことになってしまいますっ! こ、まさか、最後の競技を捨てて、この競技で確実に十ポイントを取るつもりなのかぁぁぁっ!?」


 観客たちも全員がこのとんでもない人数配分に驚き、首を傾げている。


「せっかくさっき一位を取って、優勝の目が出てきたってのに何を考えてんだ? これじゃC組に追いつくことしかできないぞ」

「残り九人しかいないし、二つの競技、両方でポイントを取るのは難しいって判断だろ。たぶん、さっきの競技に実力者を投入したせいで、残ったメンバーにも自信がないんだろうぜ。まぁ、準優勝狙いってとこか」

「しかし一人残されたやつ笑」


 観客の大多数が、F組はすでに優勝する気がなく、準優勝を目指していると考えているようだった。

 その消極的な考えに足して、ブーイングをする者たちもいる。


「セルティア、どう見る?」

「そうですね……シャルティア姉様がどう考えているかは分かりませんが、勝負を捨てたわけではないはずです。昔から負けず嫌いですから」

「残ったの、あのヤバ一年?」

「……どうやら、そうみたいです。なるほど、となると、話は大きく変わってきますね……。恐らくシャルティア姉様は、こう考えられたのでしょう」




「――あの一年生なら、一人でも十分だ、と」


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また、同作品の書籍版3巻が15日に発売予定です!

どちらもよろしくお願いいたします!

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女神100人3巻
6月14日発売!!!
― 新着の感想 ―
[一言] 1人でも十分どころか、過剰過ぎるくらいだろうな… 卒業生含めて選りすぐりのメンバーを集めて対抗しても勝負にすらならないと思う。 相手になった人可哀想。
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