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第102話 あんな隠し玉を用意してたなんて

「なんとガイザーくん! C組のフィンクスくんを一撃ノックアウトだぁぁぁぁっ! フィンクスくんといえば、槍技部のエース候補として期待されているほど! それを瞬殺するなんて信じられません! おおっと!? しかも残された三人が、ガイザーくんから逃げていく! こ、これは、むしろ賢い選択かもしれません! このままガイザーくんと戦っても全滅するだけだと判断して、他の大将を狙いに行ったのでしょう! 対抗戦の勝利を目指すなら、間違っていない判断です! ただし、会場からはブーイングが……っ!」


 敵前逃亡は、英雄学校の生徒に相応しくないと思われたのか、実況の言う通り、会場はブーイングの嵐となっていた。


「それにしても、ガイザーくん、以前は剣技部の次期エース候補と言われていたものの、剣技部をやめてしまったとの話から、今回完全にノーマークでした! しかしまさか、ここまでの実力者だったとは……っ! そんな彼を大将に指名し、護衛なしという手を選択したシャルティア先生もさすがですね! あ、いえ、その……ラーナ先生のC組、一人やられたとはいえ、まだまだチャンスはあります! 頑張れ!」


 実況が絶賛する中、シャルティアは頬を引きつらせていた。


「……さすがにあそこまでとは想定していませんでした。というか、さすがに強くなり過ぎでは……? 先ほどの凄まじい闘気、下手したら私でも……。い、一体どんな訓練を……」


 入学時からよく知っている生徒だけあって、異常な成長速度に驚きを禁じ得ない。


「と、ともかく、お陰でこの種目の一位が見えてきました」


 すでにF組の攻撃チームは、E組の大将を撃破、さらにD組の大将と交戦中だ。

 一方、他のクラスはまだ大将を一人も倒せていない。


「先ほど退避したC組、A組の大将のところへと攻め込みました! しかしC組の大将、ここまでB組とD組の攻撃チームの猛攻を回避し続けていましたが、さすがにここにきて限界かっ!? 頑張れ! せめてA組の大将が撃破されるまでは! おおっと、そうこうしている間に、F組の攻撃チームがD組の大将を仕留めました! これでD組は脱落! C組の大将は少し楽になったが、すぐにF組が攻めてくる可能性が高いです!」


 その後、A組の大将がC組に倒され、直後にD組の大将がF組に倒されたことで、残すはB組とF組だけに。

 そしてまだ十分な戦力を残していたF組が、B組の大将を撃破して、競技終了となった。


「これでF組がなんと四人の大将を倒し、一位に! 初めてポイントを獲得しました! 続く二位は、大将を一人撃破したC組だぁぁぁぁっ! 五ポイントを追加し、合計に十ポイントで独走態勢に入ったぞぉぉぉぉっ!」


 こうして三種目が終わった段階で、二十ポイントのC組がトップを守り、同じ十ポイントでA組とF組が同率二位、そして四位が五ポイントのB組、最下位がゼロポイントのD組とE組になったのだった。


「まさか、あんな隠し玉を用意してたなんてっ……」


 一位を守ったラーナだったが、喜ぶことはなく、むしろ苛立っていた。

 この競技で勝負を決めるつもりだったのに、逆に敵にしてやられ、追い上げられたことが許せないのである。


 もし生徒たちがあそこで撤退するという判断をしていなかったら、五ポイント差まで詰められていたかもしれない。


「……だけど、考えてみたら、向こうはこの競技で九人も使ったのよ。残るは二種目でたった九人。……ふふふ、そうよねぇ。結局、あたしの勝利は揺るがないわぁ」


 そう思いなおして、どうにか留飲を下げるラーナ。

 しかしそこで、ふとある疑問を抱く。


「ていうか、あんな生徒がいるなら、九人も投入する必要はなかったような……?」


 シャルティアのことは嫌いだが、さすがにそんな単純な計算もできない人間だとは、ラーナも思っていない。


「何か意図が……って、考え過ぎよねぇ、ふふふ。どのみちF組があたしたちに勝てる方法なんて、一つもないんだものぉ」


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女神100人3巻
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[一言] 取らぬラーナの皮算用?
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