13歳のおねしょ
ある夜、ニコは目を覚ました。
最近なぜだか眠りの浅い日が続いていたのは隠しカメラの発する微量な電磁波を自然と感知しているからだろうか。その日もまた、寝苦しそうに眉根を寄せていたのが録画から見て取れる。しかし不快そうな表情は寝不足だけが原因ではなかった。
「んぅ……」
金髪の幼女が寝返りをうつと、べちょり……とベッドの中から水音が聞こえてきた。
見れば、掛けた白い布(外国でも掛け布団って言うのか?)のちょうど真ん中あたりが丸く円状に濡れていく。その下腹部を覆う謎の不快感が原因で目覚めたのだろう。
しかしまぶたを開いただけでまだ夢と現をさまよっているような状態だ。
「……ん、え? 濡れて……え?」
寝ぼけまなこの間抜けな表情が段々しっかりと、確実に青ざめて覚醒していく。
眼を見開いて、ごそごそとベッドの中の濡れた様子を手で確かめていく天才魔導士。くぐもったぐちょぐちょという水音は、ニコの全身にティーンエイジャーとしてありえない失敗を伝えていく。
あ~スローで再生してえ~。最高だよ~絶望の表情たまんねぇ~。
寒くもないのにかちかち、と歯の根がかみ合わず、瞳が潤む。小さな唇はぷるぷると震え、はあはあと息も荒く、これ以上ないほど悲壮感を顔に貼りつけていた。夢なら早く覚めて、とでも考えているのだろう。
「残念、夢じゃありませ~ん! ははははははは!」
『うわぁ……』
俺はカメラ越しに爆笑していた。深夜の教会でリアルタイムに隠しカメラの録画ができているかチェック中だ。そろそろだと思ったが大当たり、ついにあのクソ金髪ロリ、やらかしたがった。
おねしょ。
13歳にもなって、それも天才などと呼ばれているプライドが天より高い少女にとっては信じられない失態だろう。ざまあみろざまあみろざまあみろ! あれだけ舐めた態度をとっていたクソ生意気なガキが、寝小便たれて泣き出す寸前だ、ははは。
アナトミアのドン引きの声も耳に入らないほど、俺は有頂天になって喜ぶ。
「う、嘘です……こんな、わ、わたしが……おね、おねしょ……っ」
「ぎひひひひ! げひゃひゃっ、ぶへへへへへ!」
『笑い声が汚いですね……悪魔でもそんな笑いかたしませんよ……』
ひっそりとした教会内にニコの泣きべそ混じりの声と、俺の哄笑がこだまする。
あ~神の家で幼女のおねしょに大爆笑するの最高なんじゃ~。
祭壇に置いたノートパソコンの中では、掛け布団をがばっとはねのけて惨状を確認する白魔導士の少女が動いていた。罰当たりもいいとこだろうが、女神さまが公認されているので。
さて、ベッドの中とニコの股間は酷いものだった。
シーツの上は世界地図、まあこの世界の大陸の様子はまだよくわかんねぇけど、どでかい水たまりが拡がっていた。出したてなのか湯気まで立てている。乱暴に濡れた掛け布を引きはがしたせいか、ベッドの脇にまで恥ずかしい染みが垂れている。よくまぁ、あんだけちっこい体から大量にションベンを出したものだ。
パジャマまで着て小学生同然の姿のチビガキはもっと惨憺たる有り様だ。
クマ柄の明らかに子供向けデザインのパジャマの股ぐらは、しわが寄るほどびちゃびちゃに濡れそぼっている。もちろん股間に丸く、なんて生易しいものではない。脚の内股、足首に至るまでべっちょりと黄金水にひたされ、肌に貼りついている。部屋の中に洪水でも起こったのかな?
もちろん、その洪水が自分の尿道から引き起こされたのは部屋で呆然と突っ立っているニコ自身がよく分かっているだろう。うひひ、かわいそ~(笑)
「あ、あ、ありえないです、こんな……天才の私が……こんなにいっぱい、おしっこ漏らすなんて……」
「天才は関係ないだろwww」
『……ぷっ』
思わず草生えるわ。
パジャマの足首の裾からぴちょんぴちょんと、布地に吸収しきれなかった小水を垂らしながら立ち尽くす少女の姿はまーお笑いであった。女神も笑っとるわ。
現代で盗撮動画配信で食っていた時、ロリコンの視聴者どもから小学生のトイレ盗撮の要望があって、試しにと小学校に侵入して隠し撮りした時があった。普段とは別の層が流れ込んで儲かったには儲かったが、児童ポルノ関連だからかそれで警察の捜査レベルが跳ね上がったなぁ。あれ以来、金はともかく逮捕の危険が高まったので、それ専門の配信は控えて、公共トイレで小学生以下が撮れた時に別枠で売ったりしていたが。別に幼女だけに興奮するわけじゃねぇし俺。
だが、今ならあの時のロリコンどもの気持ちが分かる。
ニコみたいな普段調子こいた、可愛らしくて頭のいいメスガキの睡眠失禁は色んな意味でそそるものがあった。
小学生(のおねしょ)は最高だぜ!
いやまぁ年齢的には中学生だし、飛び級で高校三年生扱いなんだろうからセーフですわ。
「うぅ……隠さなきゃ、は、はやくかくさなきゃです……!」
ニコは袖の余ったパジャマに包まれた指を翻す。萌え袖ってやつ? すると、部屋の中に明かりが灯る。以前の≪灼光≫とかいう魔法の応用で、電気エネルギーで照明を作ったのだろう。
俺はキーボードを叩いて隠しカメラを暗視モードから通常モードに切り替える。
彼女の濡れたパジャマもベッドもカラーで鮮明に映しだされる。高画質フルカラー盗撮に自分から協力するなんてさすが天才魔導士様だ。感謝です。
夜明けまではまだ遠いが、自分の失態が知られないように、さっさと洗濯でもして隠し通すつもりなのだろう。いいよいいよ、そういうこそこそしたみっともない動きが、あとで上映した時にさらにみじめさを強調するからな。せいぜい真剣に頭を使って隠してくださいよ。
コンコン
「ひぃっ!?」
唐突に聞こえたノックの音に、大げさに体を震わせて情けない悲鳴をあげるニコ。
どうやら隣室の生徒が心配して様子を見に来たらしい。さすがに鍵はかけてあるようだが、今のおねしょ娘をビビらせるのには十分すぎるほどだ。
じょろ……と、よく見れば、パジャマの太ももから足元に残尿までこぼしている。びっくりしてさらに失禁してしまったのだろう。
ああ、今日はなんて日だ。イベント満載じゃないか、これも教会のおかげか? 神に感謝!
「な、なんですか、誰です!?」
「なんか騒がしいけど、大丈夫ですかニコさん……」
隣の生徒は、少しおびえながらも神学校の嫌われ者のニコに優しく声をかける。
だというのに……。
「う、う、うるさいです、余計なお世話です! 絶対に入ってこないでくださいです、あ、頭の悪いマナー知らずが!」
「……そう、ごめんなさい」
おねしょを知られたくないとはいえ酷い暴言で追い返す金髪寝小便たれ。
これにはさすがの隣室の女子も気を悪くしたようで、冷たい声でさっさと部屋に戻る音。お前さぁ、そういうところが友達ができない原因だぞ。……ええ、自分のことは棚に上げてますが何か?
「……うぅ、これじゃあ、外に洗濯に行けないです……よけいなことを……」
ああ、確かに騒ぎが起きているのだ、女子寮の誰かが目を覚ましたかもしれない廊下をおねしょ布団を抱えて歩けないということらしい。無駄に頭いいな、この天才少女。
「こ、こうなったら仕方ないです……。えいっ、です!」
ぽぉ……と先程の照明の魔術、それをさらに強くしたような光が指に灯る。
やべやべ、カメラが焼き付く! 輝度を調整しないと。
俺は慌ててカメラの設定調整をしながらも、ニコの動向に注目する。≪灼光≫のレーザーが放たれる寸前という感じの閃光を指に止めたまま、少女は濡れたシーツに近づいていく。ま、まさか……w
「はやく、はやく乾くです……」
「ぎゃはははは、ま、魔法で濡れたシーツを乾かそうとしてるーっ! ぎゃひーっ!」
『わ、笑っちゃかわいそうですよ……一生懸命考えたんですからw』
お前も笑っとるやないか―いw
現代で言うと、ドライヤーで乾かそうとしてる感じだろうか。にしても、天才少女のその才能たるレーザー光でおしっこでいっぱいのベッドを乾燥させようなどと、これで笑うなというほうが無理だろう。本人はいたって真剣なのだからなおさらだ。笑っちゃいけない葬式ほど笑えるあの感じ、ギャグの基本はシリアスとのギャップだよなぁ。
だがいかに天才といえど、大量の小便はなかなか蒸発していかないようだ。
「うぐぅ……は、はやく乾くのです、このままじゃ、わ、私のおねしょがバレてしまうです! 頭の悪い同級生どもに馬鹿にされちゃうですぅ!」
「もうやめてくれーw 笑い死ぬーw また転生してしまう―www」
そんなに心配するなよ、頭の悪い同級生のみんなにその姿を見せてやるからな。
しばらくたって、まだシーツの色は小便で濃く変わったままだが、だいぶあの閃光で蒸発したらしい。ちっちゃなお鼻でくんくんとニコはベッドの臭いを確かめて、また俺の腹筋が崩壊した。
「う、うぅ……まだおしっこのニオイがする気がします……でも、時間がないですし……次は……」
「実況あざーす……おおっ!」
べちょり、とフローリングの床に濡れまくったパジャマズボンが落ちる。カメラには尻側が映っており、クマちゃんプリントの刺繍がされたパンツが照明魔術に照らし出された。どんだけ熊が好きなんだよこの小娘、トータルコーディネートすぎる。おねしょで濡れて皺が寄って泣いているみたいなクマ公の顔であった。
『あ、あー、いけませんそんな! こんな小さな子のそんな姿まで!』
「うるせぇな、何を今さら言ってんだ。ケツが見えるだけだろが」
まあトイレで前の方も盗撮しているんですけどね既に。なにとは言わんが一本も生えてませんでした。
クマちゃんパンツもずるり、と小便でまとわりついて脱ぎずらそうにしながら剥がしていくニコ・N・フラーウゥス13歳。照明と小水でぺかっと光る小ぶりな丸尻が露になる。あら~。その小尻をカメラに向けるようにしゃがんで上に向けて、足元のズボンと下着を乾かす作業に入っていく。ケツの穴までまる見えだ。大サービスかよぉ。神のご加護が効きすぎでは?
ヴェルミよりもだいぶ未成熟な臀部と肛門を録画されたまま、ぷりぷり尻を振って必死におねしょの証拠を乾燥させていく天才少女。シーツよりも濡れたズボンはだいぶ時間がかかりそうだった。
「あー最高最高。これは使えるぜ、色んな意味でな」
『本当に今さらですけど最低ですね……』
こうして俺の計画通り、白魔導士ニコの恥ずかしい秘密の映像を作り出すことができた。
あとはまた、何回かこういったおねしょ映像を盗撮してバリエーションを付けていく。
「必死に隠してるおねしょがバレるまで、楽しみにしてろよメスガキ……!」
夜の教会に俺の悪辣な笑い声が響き渡った。夜明けはまだ遠い。