8.ピザと パイとパン
第8話
ピザと
パイとパン
すると、おじさんの話しでは、「バリバリ」という大きな音が聞こえたら、黒い穴が道の真ん中に出来ていたらしいのです。
しばらくすると、穴が大きくなり、周りのものを吸い始めたようでした。
そう、世界の綻びは、穴が大きくなると、周りを吸い始めるのです。
ある程度、吸い尽くすと閉じるのですが、人や家畜、大きい場合は家や橋等も吸い尽くします。
「先生、何故、世界の綻びは穴を開けて、閉じるのですか?」と、アキちゃんは先生に尋ねました。
「うん、世界を維持している魔力が足らないと、穴が開くのよ。
そして、空いた穴から、人や物が吸い出されると、そこに魔力が引っかかり、ある程度溜まると穴が閉じるわ。
だから、周りの魔力で穴埋めをしたから、今度は他が足らなくなるわね」
「となると、益々、世界の綻びが増えるという事ですか? カロリーネ夫人?」
「そうなるわね。実際、増えているんでしょう?」
「……」
ルッツ王子様は、下を向いてしまいました。
「そのために、私達が来たのですから、その様な顔をされる必要はありませんわ」
カロリーネ先生は、穴の開いたところに手をかざして、
「魔力開放!」と、叫びました。
まだ、ヒビ割れが残っており、先生が修繕しました。
「これでよし! 足らない魔力は足しておいたわ」
世界の綻びによって出来たヒビ割れを直し、宿に帰るアキちゃんと先生でした。
***
ルッツ王子は、王宮に帰り考えていました。
『自分には、世界の綻びの修繕は出来ないけれど、二人の護衛をしよう』
そして、その事を王様に相談すると、王宮の兵士を連れて行っても良いと言ってくれたのです。
そして、明日、この事を二人に話そうと思うと、落ち着かない王子様でした。
なんだか、アキちゃんの事が、気になっていたからです。
その頃、アキちゃんは、カロリーネ先生とお風呂を楽しんでいました。
「アキ、あなたも、そろそろ大人ね」
「先生ぇ、ボクはもう大人です。毛も生えてます」
「本当ね。先生が剃ってあげましょうね」
「ダメです。せっかく大人になったのに、剃ったらダメです」
「アキ、何故、大人は毛が生えるか、知っている?」
「うーん、無くても良いような???」
「じゃあ、剃ってしまいましょうね」
「ダメです。なんだか、剃ったらダメなような気がします」
「というか、先生、自分のを剃って下さい」
「そう、今度、してみるわね♡」
そして、また、お腹が、少し痛みだしたアキちゃんでした。
すると、アキちゃんの身体から、尻尾が生えてきました。
「あっ、尻尾が!?」
「本当ね。尻尾だわ」
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ストックが……