7.アキちゃんは、モテモテ?
アルパカ、ほしいよねぇ。
第7話
アキちゃんは、モテモテ?
「ルッツよ!」
「はい、父上!」
「あのアキという少女のイタコという技、是が非でも欲しい」
「確かに、何時でもお祖母様にお会いできます」
国王様は“お祖母様か?”と、苦笑しました。
昔の女王様は、国王様のお父様と女王様を一人二役をしていたのです。
本当は、男なのですが、女のフリをしていました。
それは、その時の国王様が女なのに男のフリをしていたからです。
ですが、その男のフリをしていた国王様が亡くなったあと、女王様は女のフリを止めてしまいました。
そして、女の人と再婚し、今の国王様が生まれました。
ですので、お祖父様なのですが、国民はそのことを知らないのです。
なので、王子様はお祖母様と言うようにしています。
「アキという娘を王妃に迎えるとか、ルッツよ! 出来んか?」
「ち、父上! 私には公爵家の……」
「婚約者か!? くだらん」
「父上! 私の婚約者を『くだらん』とは、言い過ぎです」
「あぁ、すまん。ついな、あのイタコという技を見せ付けられては、もう、どの女もカスにしか見えん」
「今度は『カス』ですか? だったら、父上があの魔法使いと結婚すれば良いではないですか?」
「バカを言うなよ。儂は四十代だぞ! あの娘は、せいぜい12歳ぐらいだろう」
ちなみに、ルッツ王子様は15歳になり成人していますので、いつでも結婚出来ますが、アキちゃんは、まだ、13歳になったばかりでした。
しかし、ルッツ王子様も、アキちゃんのことを、『カワイイよなぁ』と思って気になっていたのですが、婚約者がいるので、口には出しません。
次の日、アキちゃんと先生は、王都での“世界の綻び”の調査をすることにしました。
そのことを、国王様に報告すると、なんと王子様が付いて来くるではないですか。
「まあ、殿下が調査に協力してくださるのですか?」
「はい、世界の綻びは、国益を損ねる重大事項です。私も知りたいのです」
「まあまあ、国王陛下のご命令かと思いましたわ」と、王子様と先生が話しています。
ルッツ王子は、額に汗をかき、肝を冷したのですが、アキちゃんには何のことやら。
しかし、先生はキツく言いました。
「このアキは、私のものですからね」
「えっ!」
ルッツ王子は、ビックリしました。『私のもの』とは、どういうことだろうか?
おそらく、保護者ということなのだろう!
と、ルッツ王子は考えました……
先生は、国王様がルッツ王子に、アキちゃんの監視役、出来れば、王子様の婚約者として欲しいのではと勘付いていました。
先生は、人生百戦錬磨なのです。
さて、王都で世界の綻びが発生したところは、3箇所あります。
まず、1つ目のところに行きました。
そこは、普通の街の通りです。
近くに住んでいるおじさんに、その時のことを教えてもらいました。
すると!?
「いきなり、通りの道が『ビリビリ』って音と共に裂けて、人や物を吸い込んでしまったよ」
その後は、ある程度吸い尽くすと、自然と閉じてしまったようでした。
先生は、その避けたところに手を当てると、僅かなヒビ割れを見つけたらしく、魔法で修理します。
「先生ぇ」
「すごく小さいけど、歪みがあったわ」
修理を終え、この日は帰ることに。
「私もお供します」と、ルッツ王子はアキちゃん達と帰ることになりました。
ですが、
「この子は私のものですわよ」と、先生は密かに呟くのでした。
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