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今後の方向は

アイザックたちが来てから、5日が過ぎた。コロニーには、新たに4つの家が建った。アイザック兄弟に基礎づくりを任せている間に骨組みを作ったり、製材をすることで、効率的に造り進めることができたのだ。

「はーい!そろそろお昼の時間ですよー!」

また、アイザックの妹であるパロマが家に造りをしている男たちに声をかける。パロマは家事のスキルが高く、バーバラの料理をよく手伝った。これにより、バーバラに時間の余裕ができ、野草やベリー類の採取もはかどっていた。今ではクロエが安定して猟を行うことができ、コロニーの安定はぐっと増した。

今いる人数分の家が確保できたお祝いに、その日の夕飯はいつもより豪華だった。ベリーソースのかかった鹿肉は柔らかく煮てあり、ホロホロと口の中で崩れた。さすがに頻繁に鹿肉を食べていたので、肉の獣臭さに参ってきたため、久しぶりに鹿の肉をうまく感じた。食事も一段落ついた頃に、ハジメはみんなに今後について相談をした。

「みんな、これからのことなんだが、これからどんなふうにしたらいいか、ぜひ意見を聞かせてくれ。」

「そんなことは、領主の旦那が決めたらいいだろ?」

ダネルが茶化す。

「いや、ここはみんなの場所だ。それに俺だけじゃ気づけないこともある。ぜひ、みんなの意見を聞きたい。何がほしいとか、何がしたいとか、そんなことでいいんだ。」

みんな空を見つめたり、首を傾けたりして、考える。1番最初に口を思い付いたのはドナルドだった。

「周囲の開拓を進めるのどうでしょう?いくつか表示を建てていきながら探索していけば、迷いにくくなりますし、新たな発見があるかもしれません。」

「まだここには木も石もあるだろ?それより旦那、鍛冶場をつくろうぜ。」

ダネルがそう言うのを聞いて、ドナルドが続ける。

「ダネル、それならなおさら、鉄鉱石を見つけるために、先に山の方を探索すべきだろう。」

(探索と新施設……どちらもいずれ必要だ)

クロエも意見を出す。

「私は、周囲に塀か堀を作るべきだと思います。いつ襲撃があるか、わかりませんし。」

「確かにそれは俺も思っていた。」

「ほら!さすがハジメ様です!」

(だが、最優先でもないような気もしているんだよな)

バーバラも参戦する。

「井戸を掘りましょうよ。水を汲みにいく手間が省けるわ。」

「いや、水こそ我々の魔法でどうにでもなるだろう。」

「ドナルド。魔法の水じゃ今日のお肉もこんなにおいしくは作れなかったわ。」

バーバラの言葉が真実かは分からないが、井戸があれば、快適性も増すのも事実だ。

「ニックはどう思う?」

突然指名され、驚くニック。

「ぼ、僕は……今のままでいいんじゃないかと思います。」

「どうして?」

「い、今なんだか順調にやってきてる気がするし……しばらくしたら、また新しい人も来てくれると思うし……」

「おいおい、消極的なヤツだな。」

「す、すいません……」

「ダネルさん、言い方考えてあげてください。」

「別にそんなにひでーこと言ったわけじゃねーだろ!気にしすぎなんだよ。」

クロエに言い返すダネル。

「まぁまぁ……アイザックたちは?」

「えーっと、俺らはまだここに来て、日も浅いし、みんなの決定に従いますよ。な?」

デュアンとパロマは頷く。

「さて、どうしたものか……」

多くの意見が出たが、どれも正当性はあり、同時に決定打がない。みんな議論を続けているが、あとはハジメがどう決めるかだけなのをみんな分かっている。

「やっぱり、大きく動くには人が集まってからになるかな…」

「そうなると、次の入植者が来るまで待つことになりますかね。」

ハジメは自分のいまいち納得はいかないが、とりあえず現状維持のための選択をすることにした。しかし、そのとき、暇そうに足をブラブラさせていたヒューゴが話し出した。

「じゃあさ!呼んじゃえばいいんだよ~。」

「静かにしてろ!」

「いや、待ってくれダネルさん。ヒューゴ、何の話だい?」

「だからさぁ、人が来るなんて待たないで、探しにいけばいいんじゃないかなって……」

ヒューゴは突然注目されたので、少し恥ずかしそうに話した。

「探しにいく、か……なくはないな。」

「人を探すって言っても心当たりはあるんですか?」

「いや、ないけども、それなりの大ききさの村なら、出ていく人もいるんじゃないかな?」

「確かに、嫌な領主のいる村なんてごまんとありますからね!あ、もちろんここはいいところですよ。」

ドナルドが言うには、他の村では、領主は絶対的な権力を振るっていたり、厳しい税を取り立ていたりもするので、逃げ出したい人もいるだろうとのことだった。

「その方針で行こう。前に聞いた話だと、馬車で半日の場所に村があるらしいから、ちょっと遠いけど、そこまで行ければ、何か変化はあるだろう。」

「一応、道ができていますわね。」

「人が歩いたら2日もあれば着くか?」

「大変な旅になるかと思いますが、今回はドナルドさんとクロエに行ってもらいたいと思います。」

そして、ハジメは二人が旅に行っている間の全体的な動きを伝えた。各々が自分の役割を確かめ、眠りについた。

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